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 −「CIM」− 3次元設計のための3次元測量
 

 国土交通省はi-Constructionによる「ICTの全面的な活用」において、施工のみならず、測量、設計段階からの3次元データ活用・流通を推進していく方針を示しています。
 「ICTの全面的な活用の推進に関する実施方針」の具体的措置の1つとして、“3次元地形データ作成業務実施要領”を公開してます。本実施要領は、CIM活用業務・活用工事に関する測量業務において、空中写真測量による地形・地物の高さ情報を含む3次元地形データ(数値地形図)作成を行う際に適用されます。この要領により、今年度からCIMに関連する事業において、測量段階からの3次元地形データ作成を試行的に実施することとされます。将来的には、測量業務において3次元点群および3次元地形データを作成して設計に引き継ぎ、設計業務では全面的に3次元設計を導入することを目指しています。
 現在はまだ試行段階ではありますが、近い将来、3次元測量成果の標準となるかもしれない、“3次元地形データ作成”について、フォーカスしてみます。

【参考資料】
ICTの全面的な活用の推進に関する実施方針
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/sosei_constplan_tk_000031.html (国土交通省HP)

(1)3次元点群測量と3次元地形データ作成
 国土交通省のi-Construction測量業務においては、下記の2種類の3次元測量を実施していく方針とされています。

[1]3次元点群測量
・設計・施工で3次元データの活用が見込まれるCIM活用工事およびICT活用工事に関連する測量、「航空レーザ測量」「空中写真測量」「車載写真レーザ測量」「現地測量」「河川測量」にて実施
・測量手法は、基本的に「UAV写真測量」または「地上レーザ測量」にて実施
・成果は3次元地形点群データ(csv,txt形式)

[2]3次元地形データ作成
・CIMに関連する事業で「空中写真測量」を実施する場合は、3次元地形データの作成を試行的に実施
・地形・地物の高さ情報を含む3次元地形データを作成
・成果は公共測量標準図式数値地形図データファイル(DM形式が標準)

 [1]3次元点群測量は、主に土工、舗装工におけるICT活用工事を進める上で必要な3次元点群データを作成するための測量です。施工において、土量算出やICT建機施工、出来形管理(面管理)を行う上で必要となります。いわば、施工のための3次元測量との位置づけです。
 一方、[2]3次元地形データ作成では、地形や地物(道路、河川、建物等)の高さ情報を含む3次元平面図を作成します。3次元設計業務を効率化・高度化するための測量データ、設計のための3次元測量と言えます。

 現在、施工分野のICT活用が先行していることもあり、@3次元点群データに注目が集まっています。3次元点群データは点(X,Y,Z)の集合であり、道路や河川といった地物の属性や、法肩、法尻といったブレークラインの情報は持っていません。そのため、測量段階で3次元点群データのみを取得しても、設計を行う上では従来の二次元平面図が必要となります。より効率的な3次元データ流通のためには、平面図を3次元化する必要があります。これを測量段階の成果として作成するのが、“3次元地形データ作成業務”となります。

 平成29年3月、道路事業における3次元地形データの作成仕様と電子納品運用ガイドラインが公開されました。

○設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様【道路編】(案)、
平成29年3月 、国土交通省国土技術政策総合研究所

○設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様の電子納品運用ガイドライン(案)、
平成29年3月、国土交通省大臣官房調査課

http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bunya/cals/cim.html (国総研HP)

(2) 設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様【道路編】の概要
 設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様【道路編】は、3次元道路設計業務の効率化・高度化を図るために必要な地形図データの作成方法を定めたものです。背景として、従来の地形測量成果である数値地形図データに設定される等高線・標高点の高さ情報だけでは、道路設計の地形図データとしては不十分なため、有効活用がなされていないのが現状でした。そこで、本仕様では、作成レベルに応じた測量段階で取得すべき地形、地物を定義するとともに、データ作成上の留意点を記載しています。
 本作成仕様では、道路概略設計および道路予備設計(A)業務で3次元道路設計を行うための数値地形図(地図情報レベル5,000〜1,000)作成を想定しています。測量手法は、「空中写真測量(航測図化)」を対象しています。ただし、高さ情報を取得する方法として、航空レーザ測量等を用いても良いこととされます。

道路設計で利用する数値地形図データの作成

【設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様の電子納品運用ガイドライン(案)より】

 設計における地形データの利用用途および利用の程度に応じて、3段階の作成レベルを想定しています。CIMおよびびi-Constructionに係わる事業では、作図レベル2を標準としています。レベル2では、地形が急激に変化する箇所の地形・地物(ブレークライン)、道路設計上のコントロールとなる地物(道路、鉄道等)、河川や水涯線、さらに建物の外形および高さ情報を取得します。

作図レベルの概要


【設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様の電子納品運用ガイドライン(案)より】

 高さ情報を取得する地形・地物(一部抜粋)

【設計用数値地形図データ(標準図式)作成仕様【道路編】(案)より】

 数値地形図データは、公共測量標準図式数値地形図データファイル(DM形式)が標準となります。土砂災害警戒区域等の砂防基礎調査をご存じの方は砂防基盤図と同様のファイル形式といえばわかりやすいかもしれません。また、都市計画図もDMデータが標準です。GISを扱う技術者にとってはなじみ深いものの、一般土木技術者はあまり利用していないデータ形式です。
 DMデータはGISソフトや3次元CADソフトで読み込みが可能です。ただし、二次元CADソフトで利用するには、SXF形式にファイル変換を行う必要が有ります。そのため、応用測量成果の標準ファイル形式でありながら、これまでは設計段階への流通が進んでいない(高さ情報を有しているのに十分活用されていない・・・)のが現状でした。

【DMとは】
 DM(Digital Mapping)とは、国土交通省公共測量作業規程に基づいて作成された数値地形図データ、DMデータファイルのこと。応用測量成果電子納品の標準ファイル形式となっている。

(3)まとめ
 CIM導入の検討が進められる中で、効率的な3次元設計を行うためには、利用目的に合致した3次元測量データの必要性が明らかになってきました。今後、道路事業においては測量段階からの“3次元地形データ作成”が準じ実施されるものと期待されます。現在は、道路事業の概略・予備段階に限定された取り組みではありますが、今後、詳細設計レベルや他事業への適用拡大へと進むのか、その動向が注目されます。川上である測量において有効な3次元地形データの整備が進むことにより、設計用CADソフトウエアの対応・進化も相まって、必然的に3次元設計が普及していくものと思われます。

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