いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
 シリーズコラム 「ドローン」 
【第1回】 “ドローン”入門編 −今更聞けない!ドローンのキホン−
 

 土木分野では、複数のプロペラを持つ小型のドローンに、デジタルカメラ、計測機器を搭載し、災害調査やインフラ点検に活用する動きが加速しています。導入した、また導入を検討している企業も多く、土木分野でも汎用的なツールとなりつつあります。一方、ドローンはよく耳にするけど・・・詳しいところは??という方も、まだおられるのではないでしょうか。筆者自身も、会社でドローンを導入するまでは、ラジコン知識も全くない、門外漢の一人でした。そこで、シリーズ「ドローン」の第1回は、基礎知識について紹介したいと思います。

Q1:ドローン、UAV、マルチコプター?
 “ドローン”、“UAV”、“マルチコプター”“マルチローターヘリ”等、様々な名称でよばれている小型の電動無人回転翼機。4月に首相官邸に侵入した事件で、“ドローン”という名称で広く報道されたことから、国内ではその名称が定着しつつあります。“UAV(Unmanned Aircraft Vehicle)”は“ドローン”と同意で使われることが多く、無人航空機を意味します。研究発表や論文では“UAV”の名称がしばしば使用されています。また、“UAV”は遠隔での操縦、“ドローン”はプログラムによる自律制御といった意味合いを含めて区別される場合もあるようです。なお、“ドローン”、“UAV”とも、本来は回転翼機、固定翼機の違いによらない名称ですが、最近では“ドローン”≒小型の回転翼機として使用されることが多くなっています。
 回転翼機型の“ドローン”は、“マルチコプター”と呼ばれます。3つ以上のプロペラを持つものの総称が“マルチコプター”であり、プロペラの数により呼び名が付けられています。

       4枚のプロペラを持つ機体 = クアッドコプター
       6枚のプロペラを持つ機体 = ヘキサコプター
       8枚のプロペラを持つ機体 = オクトコプター

 このシリーズでは、土木分野で活用されている小型の電動マルチコプターについて、主に扱っていきます。

Q2:ラジコンヘリとの違いは?
 回転翼タイプの小型機には、制御面、操作面からみて大きく二つの種類があります。自律飛行が可能なタイプ(自律飛行型)とそうでないもの(ラジコン型)です。
 自律飛行型は、機体の位置情報を取得するGPSと機体姿勢と位置を感知する各種センサー類(ジャイロ、加速度、気圧、磁器、超音波センサー、ポジショニングカメラ等)を搭載しています。これらのセンサー類で感知した機体状態をもとに、制御ソフトウエアにより瞬時に補正制御すること、つまり複数の回転翼の回転数をそれぞれ指示を与えることで、バランスを保つことで自律飛行を可能にしています。空中で飛行中、プロポのスロットから手を離せば、その位置でホバリングできるため、操作が容易です。また、GPSを搭載することから、事前に設定した巡回地点をプログラム飛行させることや、出発地点への自動帰還も可能となっています。
 一方、ラジコン型はジャイロセンサーのみで水平調整を行うため、風があれば流されるため、常にプロポによる飛行姿勢の調整が必要となります。ホビー用のラジコンヘリがこのタイプで、操作には熟練が必要となります。
 さらに、GPSなしの環境でも自律飛行ができるシステムの開発が進められており、屋内や橋梁桁下など、GPS電波を十分受信できない箇所での活用に期待が寄せられています。
 このように自律飛行が可能なドローンは、高度なソフトウエア技術の発展により実現したロボット技術の一種とも言えます。

Q3:機体の構成は?
 機体は、プロペラと電動モーター、姿勢や位置を制御するセンサー類、位置情報を取得するGPS、飛行を制御するフライトコントローラ(ソフトウエア)、バッテリーなどから構成されます。これらの機体に、空撮用のカメラ、カメラアングルを遠隔操作できるジンバルを取り付けて空撮を行います。機体の操作はプロポで行うのが一般的です。飛行中はパソコンやスマートホン、タブレット等と通信を行い、機体位置や機体状態、搭載カメラ映像の確認が可能です。
 回転翼型のドローンが急速に普及した背景として、強力なブラシレスモータと高出力のリポバッテリーの普及により、機体重量の3〜5倍の荷物を運ぶことができるようになったことが大きいと言われています。また、各種センサー類と制御装置の高精度化、IT技術とPCの一般化による高性能な制御プログラムの開発が進んだことも、貢献しています。
 一方、弱点は、バッテリーの性能から、飛行時間が20分程度の機体が多いことです。

クワッドコプター プロペラ ブラシレスモーター 各種センサー、FC リポバッテリー ジンバル

Q4:空撮写真から三次元モデルが作れるの?
 土木分野で活用される技術の一つが空撮測量です。空撮測量は、SfM/MVSと呼ばれる、カメラ視点を変えながら撮影した複数枚の画像から、その3次元形状とカメラ位置を同時に復元する手法を利用します。SfM/MVSの商用ソフトウエアとしては、Agisoft社のPhotoScanが有名です。PhotoScanは、1秒〜数秒間隔でインターバル撮影した空撮写真を自動画像処理することで、オルソモザイク画像(ひずみ補正したつなぎ合わせ写真)、点群データ、三次元モデルの作成が可能です。さらに、得られた点群データや三次元モデルから、概略的な断面図や平面コンター図を作図することもできます。撮影写真に座標が既知の対空標識(地表基準点:GCP)を写し込むことで、作成データに座標系の持たせます。
 従来の航空写真より低空で撮影するため、高精度な画像が得られる利点があります。また、撮影や画像解析が比較的容易なため、迅速かつ安価に三次元モデルを作成することができます。一方、得られる点群データ、三次元モデルは、植生や建築物を含む表面モデル(DSM)であり、レーザースキャナのように植生や建築物を取り除いた地形モデル(DTM)を作成することは非常に難しいのが現状です。

用水路の点群データ 河川の三次元モデル(鳥瞰図)

Q5:気になる価格は?
 ドローンは数千円〜十数万の個人向けホビー機(模型飛行機)から、数十万〜数百万の産業用小型機、1千万を越える産業用中〜大型機まで、ペイロード(搭載可能重量)や機能により価格差が幅広いことが特長です。土木分野では、空撮のみを目的とするならホビー上位機クラス、空撮測量や高所点検に利用するなら産業用小型機クラスが適しています。

 ホビー上位機として最も有名なのがDJI社(中国)のPhantomシリーズです。今年の5月には、Phantom3が発売となりました。Phantom3は、4つのプロペラをもつクワッドコプターで、全長59cm(プロペラを含む)、機体重量1.28kgと片手で持てます。固定式の専用カメラが付属しており、プロポに手持ちのスマートホンやタブレットを接続すれば、空撮が可能となります。価格はDJI公式ストアで、Professional(動画4K)で175,000円、Advanced(動画1080P HD)で139,800円と50ccの原付バイク並でお手頃です。現場の全景空撮を目的とするには、最適です。

 空撮測量や近接点検といった目的に利用されるのが産業用小型機です。用途応じてカスタマイズするため、構成により価格は変動しますが、150万〜500万程度と、普通自動車並です。ホビー上位機との違いは、1)ペイロードが2〜5kg程度あり、高性能デジタルカメラや赤外線カメラ等を搭載可能なこと、2)巡回地点のプログラム飛行が可能なこと等が挙げられます。ホビー上位機と比べ、需要が少ないため、価格的にやや高価となっているようです。また、空撮測量を行う場合には、解析用のソフトウエアや高性能パソコン等の費用も100万程度、必要となります。

ホビー用上位機 DJI社 Phantom3 Advanced 産業用小型機 ルーチェサーチ社 SPIDER

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.