いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
 シリーズコラム 「ドローン」 
【第2回】 “ドローン”で空撮測量?
 

 今回は土木分野におけるドローン活用の一つとして注目される空撮測量技術について、紹介したいと思います。ドローン空撮測量は、ドローンで低空飛行しながら連続撮影したデジカメ写真をもとに、画像解析を行い、三次元モデルを作成する技術です。従来までの航空機や衛星画像を用いた航空写真測量と比べて、手軽に写真撮影ができること、また低空で飛行し高解像度な画像が得られることから、スピードが求められる災害現場での活用が期待されています。また、砂防や河川、地すべり分野では、経時的な地形や流路の変化を把握する目的で、ドローン空撮測量の活用が模索されています。一方、新しい技術であるため、精度や再現性、観測方法等について、さまざまな検証が進められています。

(1)新しい空からの測量方法
 空から航空機等を用いた測量方法を表1に示します。

表1 空からの測量手法の比較

 航空写真測量は、航空機から撮影した写真を使用して、現地調査や編集を行い作成されます。一般に、地表の垂直写真を飛行コースに沿って60〜80%ずつ重複させながら撮影し、その写真を立体視する原理を用いて、計測を行います。広域を効率良く計測するのに向いており、2万5千分の1地形図を始めとする多くの広域地図が、航空写真測量により作成されています。

 航空レーザー測量は、航空機に搭載したレーザスキャナから地上にレーザ光を照射し、地上から反射するレーザ光との時間差より得られる地上までの距離と、GPS測量機、IMU(慣性計測装置)から得られる航空機の位置情報より、地上の標高や地形の形状を精密に調べる測量法です。航空レーザ測量で直接得られる高さデータは、建物や樹木の高さを含んだデータです(数値表層モデル DSM:Digital Surface Model)。建物や樹木の高さはフィルタリングという作業で取り除くことで、地表面の高さを得ることができます(数値標高モデル DEM:Digtal Elevation Model)。

 ドローン空撮測量は、ドローンに搭載した市販のデジタルカメラで撮影した連続写真を、専用のソフトウエアで画像解析を行うことで、三次元データを作成することができます。写真測量技術の一種といえます。写真は、航空写真測量と同様に飛行コースでラップさせて撮影します。画像解析により各写真の特徴点抽出と写真間の対応付けを自動的に行うことで、カメラ位置(X、Y、Z、Yaw、Pitch、Roll)を推定し、ポイントクラウドとよばれる、三次元座標をもった点を大量に得ることができます。航空写真測量と比べ、低空で撮影した高解像度画像を用いることから、より詳細な地形を得ることができます。一方、航空レーザー航空測量のように、建物や樹木の高さを取り除くフィルタリングは難しく、得られる三次元データは数値表層モデル(DSM)となります。このように、ドローン空撮測量は、航空写真測量と航空レーザー測量の中間的な特長を有する測量手法と言えます。
 ドローン空撮測量のもう一つの大きな特長は、撮影機体や解析ソフトとも比較的安価で、かつ手軽に使用できることです。これまでは航空測量の専業者に限られていた空からの測量が、建設コンサルタント会社や中小の測量会社にも、ぐっと身近になってきました。

(2)ドローン空撮測量の流れ
 図1にドローン空撮測量の一例を示します。(作業フローは、使用する機体や設備、解析ソフトにより異なります。大まかなイメージとしてご理解ください。)

図1 ドローン空撮測量の流れ

@撮影計画
 飛行ルートを地図上で計画します。ドローンのフライトコントロールに対応した専用のソフトウエアを用い、撮影高度、写真撮影間隔、写真ラップ率等を考慮しルートを設定します。

AGCP設置
 作成される三次元モデルへ位置情報を付加するため、現地に地表基準点:GCPを設置します。GCPは、トータルステーションやGNSS測量器を用い、基準点測量を実施して座標(X,Y,Z,)を観測します。GCPは、複数の写真に写し込めるよう、配置します。

B飛行・撮影
 事前に設定した飛行ルートに従い、自動飛行を行い、写真を撮影します。

C解析準備
 撮影に使用したカメラを撮影時の設定で、カメラキャリブレーション(カメラ標定)を行い、レンズ歪みの補正値を測定します。また、写真に写し込んだGCPと基準点座標値の対応付けを行います。

Dモデリング
 専用の画像解析ソフトウエアにて解析を行い、ポイントクラウド(三次元座標およびRGB値を持った点情報)、三次元モデル、三次元モデルに写真画像を貼り付けた鳥瞰図等を作成します。

E出力
 画像解析より、オルソフォト(写真をつなぎ合わせ幾何補正を行った画像)、点群データ、DSM(等間隔格子メッシュの標高値データ)、三次元モデル(CAD、PDF等)等を出力データとして得ることができます。これらの三次元位置情報を持ったデータは、GISソフトや三次元CADソフト等に取り込んで、活用できます。

 なお、三次元データに位置情報を付加する方法として、ドローンに高精度のGNNS測量器(2周波GNSS)を搭載し、カメラシャッタータイミングとGNSS受信の同期を図ることで、地表での基準点設置作業なしで、位置座標を得る撮影方法も実用化されています(例えば (株)アミューズワンセルフ UAV搭載用2周波シンクロ撮影システム GCSv3)。

(3)ドローン空撮測量の精度は?
 ドローン空撮測量で気になるのが、その精度です。航空写真測量や航空レーザ測量は公共測量作業規定により、使用機器や観測方法、精度管理方法が定めることで、地図情報レベルに応じた精度が設定されています。新しい技術であるドローン空撮測量は、体系化された手法は確立されていません。使用機器や観測方法、解析方法等、さまざまな分野の研究者や実務者により、検討がなされているのが現状です。関連学協会や国土地理院では、空撮測量の精度に関して実例報告がなされています。さらに興味のある方は、調べてみてください。
 ここでは、空撮測量において、精度に影響を与えると考えられる事項について、簡単にまとめてみます。

@写真の解像度
 写真の解像度が大きい程、密な点群データが取得できます。高解像度のデジタルカメラを使用すること、また低空で撮影することで、1ピクセル当たりのサイズ(分解能)が細かくなります(表2)。市販のミラーレス一眼レフの場合、高度100mで1画素当たりの分解能は24.4mmとかなり細かなことがわかります。一方、解像度や撮影枚数が多いほど、画像解析の時間が長くなります。

表2 撮影高度と写真解像度(分解能)の関係

A写真の品質
 写真の品質、すなわち適正なピント、シャッタースピード、露出により、ブレの少ない画像を取得するノウハウが必要とされます。とくにピント調整が重要であることが指摘されています。

BGCPの設置方法
 平坦地で、上空が開けた場所に設置すると、マッチング精度が向上すると言われています。

Cカメラキャリブレーション
 精度向上のためには、カメラキャリブレーションが必ず必要です。

D解析ソフトウエア
 三次元画像解析ソフトウエアにより、また対象物により(例えば、建物か、自然地形か等)、解析精度が異なることが報告されています。

 近年、災害復旧査定資料の作成に、デジタルカメラを用いた写真測量技術を活用する技術(例えば Photog-CAD JACIC)が実用化されています。同様の写真解析技術である、ドローン空撮測量も、災害時の迅速な現場状況の把握や復旧設計および申請のための効率化ツールとして、その活用が期待されます。
 一方、精密な地形測量や広域測量には、ドローン空撮測量はまだ不向きなようです。観測目的や観測範囲に応じた、適切な手法を選定することが望まれます。

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.