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 シリーズコラム 「ドローン」 
【第4回】 注目されるドローン空撮測量ビジネス
 

 さまざまな産業分野でドローンを活用した、新事業、新サービスを展開しようという動きが加速しています。各地で、ドローンビジネスセミナー等も開催されています。また、ドローンを軸にした企業間連携も活発に進められています。土木業界においても、ドローン空撮測量分野への、異業種企業の参入発表が相次いでいます。そこで今回は、注目される3つの新たな取り組みを紹介します。

 これまで空からの測量は、航空機や専用の図化機といった非常に高価な機資材を必要とするため、専門技術・ノウハウをもった航空測量会社に限られたものでした。また、その多くが公共測量を中心に実施されてきました。
 近年、ドローンの普及により、ドローン空撮測量が身近なものになりつつあります。専門の航空測量会社でなくとも、コンピュータ解析技術の発達により、ある程度の精度の地形図や三次元データ、オルソ写真が作成可能となりました。このような、技術革新の結果、“測量分野”でない企業が、主に民間向けの空撮サービスに参入しようという流れがいくつも出てきました。

(1)通信・ロボットメーカーの参入
 平成27年8月、ソニーモバイルコミュニケーションズとロボットベンチャーのZMPは、ドローン事業の新会社「エアロセンス」を共同設立しました。
 エアロセンスは、独自開発したドローンを用い、全自動飛行による画像撮影とクラウドによる画像データの処理・管理技術を組み合わせて、写真や三次元データを法人向けに提供するサービスに乗り出すと発表しました。測量、調査、管理、点検等のトータルソリューションを開発し、平成28年より、サービス提供を開始する計画とされています。
 ソニーモバイルコミュニケーションは大手家電メーカーであるソニーの100%出資による携帯電話メーカー、スマートホンの「Xperia」シリーズが主力商品。一方、 ZMPは、平成13年創業のロボットベンチャー企業で、自動運転技術においてその高い技術が注目されています。ソニーのカメラ、センシング、通信ネットワーク技術と ZMPの自動運転、ロボット技術を活用していくとされています。
 エアロセンスの目指すサービスの特徴は、ドローン製作〜運用〜データ提供をワンストップでソリューション提供する点にあるかと思います。特に、運用においては、飛行経路の設定から離着陸まで自動化を目指しています。
 “航空”や“測量”分野外の企業がコラボすることで、空撮測量分野に新たに参入する点においても、大いに注目されます。

(2)建機メーカーの建設ICT戦略
 平成27年2月、建設機械大手のコマツは、情報通信技術(ICT)を活用して建設現場の工程全体を支援する新事業「スマートコンストラクション」を開始しました。スマートコンストラクションは、ドローンや自動制御に対応するICT建機、クラウドコンピューティングなどを使って、工事現場の生産性向上を目指すシステムです。
 スマートコンストラクションでは、土木施工プロセスにICTを全面的に活用するとともに、その生産システムの工程に、いわば“飛び道具”であるドローン空撮測量の技術を取り入れることでも、注目が集まっています。ドローンに搭載されたカメラや3Dレーザースキャナーによる現場計測と3Dモデル作成により、従来、建設会社の大きな負担となっていた起工測量を大幅に効率化することができるとされます。
 さらに平成27年9月、コマツはドローンによる測量を手がける米スカイキャッチに出資したと発表しました。スカイキャッチのドローンは建設現場を短時間に高精度で測量でき、米国の鉱山、建設現場で採用実績を伸ばしています。出資を通じて、ドローンによる測量データの解析技術など研究開発の促進をさらに進めていくとのことです。
 従来、建設機械の製造・販売・レンタルを主とした建機メーカーが、その上流部分の測量作業までワンストップで取り組込むことで、事業規模を拡大していこうというビジネスモデルにも注目が集まっています。

(3)測量系ソフトベンダーと機体メーカーのコラボ
 平成27年10月、アイサンテクノロジーとプロドローンは、高精度な3次元地図計測を目的とした「3次元空間情報取得向け、自律型無人飛行機(UAV)」の開発を共同で行うと発表しました。
 アイサンテクノロジーは測量系CADソフトウエアを中心に開発・販売するソフトベンダーです。近年では、三菱自動車と連携して、MMS(モービルマッピングシステム)向けの高精度3次元地図作成ソフトウエアの開発を進め、次世代ITSや自動走行といった自動車業界における高度3次元地図の利活用を進めています。
 プロドローンは、産業用ドローンの開発設計を行う機体メーカーです。業務用映像音響機器のトータルソリューションを展開するシステムファイブが、平成27年1月に立ち上げた会社です。今年5月の国際ドローン展では、モータ軸間1.43m、ペイロード30kgの大型ドローンやレーザースキャナ搭載用ドローンを展示し、大きな注目を集めました。
 今回の開発は、MMSと組み合わせた高精度な3次元地図計測を目的とした自律型の測量用UAVということで、愛知県による「新あいち創造研究開発補助金事業」に採択され、来年4月の正式リリースを目標に進められています。両者は名古屋を拠点して活動しており、地域連携型のビジネスモデルといえます。
 開発する新型機は、プロドローンのハイスペックな大型4枚羽根機をベースとして、高解像度カメラによる写真測量システム、レーザースキャナによる3次元レーザー点群測量システムを搭載します。また、準天頂衛星「みちびき」を利用した高精度測位システムも搭載する計画となっています。
 両社は、アイサンテクノロジーの3次元計測技術とプロドローンがもつドローン開発技術を生かし、測量業界向けのオンリーワンUAVを開発したいとしています。

 ドローンを切り口として、土木分野への異業種参入や企業間コラボの流れは今後も続々と進むものと思われます。ドローン・建設ICT・3次元・CIM・・・土木分野技術者として、これらの技術の特性を理解し、うまく使いこなしていくことが、ますます求められていると感じています。

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