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 シリーズコラム 「ドローン」 
【第6回】 動き出したi-Construction・・・UAVに関する新たな基準のポイント
 

 国土交通省は、平成28年3月末に、i-Constoractionの3本の柱の1つである「ICTの全面的な活用(ICT土工)」の全面的な活用に向けた、三次元データに関する15の新基準とICT土工の積算基準を公表しました。

▽i-Construction 国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000028.html

 三次元データによる15の新基準は以下のとおりです。

<調査・測量、設計>
 @UAVを用いた公共測量マニュアル(案)【新規】
 A電子納品要領(工事及び設計)【改訂】
 B3次元設計データ交換標準(同運用ガイドラインを含む)【新規】
<施工>
 CICTの全面的な活用(ICT土工)の推進に関する実施方針【新規】
 D土木工事施工管理基準(案)(出来形管理基準及び規格値)【改訂】
 E土木工事数量算出要領(案)【改訂】
 (施工履歴データによる土工の出来高算出要領(案)【新規】を含む)
 F土木工事共通仕様書 施工管理関係書類(帳票:出来形合否判定総括表)【新規】
 G空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)【新規】
 Hレーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)【新規】
<検査>
 I地方整備局土木工事検査技術基準(案)【改訂】
 J既済部分検査技術基準(案)及び同解説【改訂】
 K部分払における出来高取扱方法(案)【改訂】
 L空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)【新規】
 Mレーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)【新規】
 N工事成績評定要領の運用について【改訂】

 このうち、ドローンと関連する @UAVを用いた公共測量マニュアル(案)、G空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)の2つについて、気になるポイントを紹介します。

【国土交通省HP 新たに導入する15の基準及び積算基準より】

 
(1)「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」 平成28年3月 国土地理院

▽UAVによる公共測量−国土地理院HP
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/

 「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」は、UAVで撮影した空中写真を用いて測量を行う場合における、精度確保のための基準や作業手順等を定めています。UAVを用いた公共測量を行う際には、本マニュアル(案)に従った作業を行うことで、精度の確保を確認するための資料として使用することができます。 また、国土交通省が進めるi-Constructionに係る測量作業において適用することも前提に作成されている点が大きな特徴です。
 本マニュアルでは2つの測量手法を対象としています。

@UAVを用いた空中写真測量【これまでの方法を拡大】
 >従来から行われてきた有人飛行機を用いた空中写真測量とほぼ同じ内容
 >狭い範囲における数値地形図の整備や更新(例えば道路台帳付図の修正等)に活用

AUAVを用いた空中写真による三次元点群測量【新たに規定】
 >UAVから撮影した空中写真を用いて、三次元点群データを作成
 >三次元形状復元ソフトウエアを用いた、三次元点群データの整備(自動処理)
 >整備した三次元点群データを用いて、縦横断面図(応用測量)を作成可能
 >土工における土量計測等(i-Construction)

 このうち、AのUAVを用いた空中写真による三次元点群測量(以下、UAV三次元点群測量)が、土木工事現場における土量管理を想定した作業マニュアルとなっています。

UAV三次元点群測量における主なポイント

■要求精度:平面位置・高さともに0.05m以内
標定点、検証点の設置基準を規定
 >標定点・・・外部標定点100m以内、内部標定点200m以内

【国土地理院 UAVを用いた公共測量マニュアル(案)より】

 

■三次元形状復元ソフトウエアの検定は現段階では規定せず、写真のとりかたを規定
 >地上画素寸法 0.01m(要求精度0.05m以内の場合)
 >空中写真の重複度 オーバーラップ90%以上、サイドラップ60%以上
 >計測対象範囲外に1枚以上撮影

【国土地理院 UAVを用いた公共測量マニュアル(案)より】

 
■デジタルカメラはキャリブレーションが必要
 >三次元形状復元計算の過程で行う方法(セルフキャリブレーション)を許容

 要求精度を0.05m以内としている点は、空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)における測定精度と整合が図られています。

公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)
 国土地理院では「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」と併せて、「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」も公表しました。 UAVを安全に運航して測量作業を円滑に実施するために、作業機関が遵守すべきルール等を定めています。

 平成27年12月より施行された改正航空法による無人航空機の飛行ルール、飛行方法を踏まえた内容となっています。特に、ポイントとなる点は、以下のとおりです。

■運航方法、運航条件
 >航空法に基づく国土交通大臣の許可や承認を得る必要のない空域および運航方法
 >作業員の目視下での運航
 >自動運航による運航(離着陸時を除く)
 >運航範囲の直下及び周辺に、不特定の第三者が存在しない

 “不特定の第三者”とは、あらかじめUAVが上空を運航することを周知できる者以外の者、例えば一般的な通行人や通行車両を指します。したがって、現段階では、DID区間に係わらず、町中でUAVによる測量を実施するのはかなり難しいと考えられます。

(2) 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)  平成28年3月 国土交通省

▽新たに導入する15の基準及び積算基準−国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/common/001124402.pdf

 これまでの土工事における出来形管理では、代表管理断面において高さ、幅、長さといった点と線のデータを測定し評価していました。ICT土工における新たな出来形管理では、UAVの写真測量等で得られる三次元点群データからなる面的な竣工形状で評価することとなります。それに伴う面的な測定基準や規格値を定めたのが本要領です。

【国土交通省HP 新たに導入する15の基準及び積算基準より】

 
 上図に示すとおり、出来形管理の基準は、UAV三次元点群測量から得られる実測点と設計面との標高較差により評価する事とされています。

 本要領では、ICT機器と三次元モデルを用いた検査(ICT検査)の方法も新たに規定しており、検査の大幅な省力化を図る内容となっています。大きな特徴として、設計と実測の対比の検査書類が、出来形帳票ソフトウエアにより自動作成される図表でOKとなる点です。


(空域の形状はイメージ)
【国土交通省HP 新たに導入する15の基準及び積算基準より】

 
 もう少し具体的に見ていきましょう。空中写真測量による出来形管理システムでは、UAV、デジタルカメラといった機器の他に、専用のソフトウエアを用いる事を想定しています。

【国土交通省 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)より】


 上図の計測点群データ(ポイントファイル)の作成までは、先に紹介した「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」におけるUAV三次元点群測量と同様の流れで作成します。 なお、“写真測量ソフトウエア”とは、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」における“三次元形状復元ソフトウエア”のことです。
 ICT土工出来形管理では、UAV三次元点群測量で得られた点群データを元に、点群処理ソフトウエアを用いて出来形評価用データ(ポイントファイル)、出来形計測データ(TINファイル)を作成します。 これらの出来形管理データ(実測)を、三次元設計データ(設計)と比較することで、出来形管理資料を作ることができます。

点群処理ソフトウエアによる作業とは
■計測点群データの不要点削除による“出来形評価データの作成”
 >対象範囲外のデータ削除
 >点密度の変更(データの間引き)あるいはグリッドデータ化
■点群→面(TIN)の変換による、“出来形計測データ”の作成

【国土交通省 空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)より】


 もう一つ、気になるのがUAVによる空中写真測量の精度です。基本的には、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」の三次元点群測量における要求精度と同水準となっています。

UAVの性能とデジタルカメラの計測性能及び精度管理のポイント
■計測性能:地上画素寸法が1cm/画素以内
■測定精度:±5cm以内
■現場による精度確認試験結果を提出
■計画書に「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」許可要件に準じた飛行マニュアルを添付すること

 ICT土工に関連した今回の基準の改定により、UAVの活用促進が期待されます。今回の基準類の公表により、UAV三次元点群測量における要求精度のオーダーが明確になった点が大きいかと思います。さらに、ICT土工を進める上では、UAVやレーザースキャナにより得られた点群データを“いかに効率的に処理できるか”がキーになると思われます。ユーザーとしては、ソフトベンダーの開発動向に注視していきたいところです。

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