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 シリーズコラム 「ドローン」 
【第7回】 ドローンを取り巻く制度改正の動向
 

 昨年12月に改正航空法の施工でドローン飛行のルールが明確となったことで、測量やインフラ点検、物流など、産業分野でのドローン(小型無人機)を活用しようとする動きが加速しつつあります。
 また、昨年11月に行われた「未来投資における官民対話」において安倍首相が「早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す」と宣言したこと等をうけ、政府は小型無人機に関する関係府省庁連絡会議において、小型無人機に係わる環境整備の議論を急ピッチで進めています。
 今回のコラムでは、これら制度改正の動きについて、いくつか紹介します。

▽小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(首相官邸HP)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/index.html


(1)ドローンの利用状況と改正航空法の動向

■ドローンの利用動向
 昨年12月改正航空法では、ドローンの飛行場所および飛行方法について、ルール化され、飛行を実施する場合には、国土交通省への許認可申請が必要となりました。 航空法改正後のドローン運用状況について、国土交通省航空局が公表した資料を見ていきましょう。 下図は、今年5月にとりまとめられた、許可承認件数です。 5月9日時点で、3632件の許可・承認が行われており、非常に多いことがわかります。
 国土交通省航空局では許可・承認を行った内容も公表しています。 このデータでは、平成28年度分の許認可件数は、9月末(半年)で4千件を超えています。
 項目別では、DID地区(人口密集地区)の上空で飛行を行うケース、また、飛行方法として人又は物件から30m以内の飛行を行うケースでの申請が多いことが特徴です。


小型無人機の更なる安全確保のための制度設計に関する分科会(第5回)資料より抜粋


 飛行目的別では、全体としては空撮目的が最も多く、30m以内および目視外飛行においては、測量やインフラ点検といった建設分野での利用も相当数あり、実用化が進んでいることが伺えます。 また、危険物輸送および物件投下では農業分野が大部分で、これはドローンによる農薬散布のケースが多いようです。


小型無人機の更なる安全確保のための制度設計に関する分科会(第5回)資料より抜粋


 機体に注目すると、DJI製のPhantomおよびInspireシリーズが半数以上を占めています。 これは、空撮目的が多いことと、これらの機体が「ホームページ掲載無人航空機」に該当するため申請時に機体審査資料の一部を省略できることも一因にあると思われます。


小型無人機の更なる安全確保のための制度設計に関する分科会(第5回)資料より抜粋


 ドローンの申請は1年間を限度に飛行場所を特定しない包括申請が可能であり、空撮を商用で行う企業や個人を中心に、包括申請が一般化しつつあるようです。 包括申請を行う場合のポイントとして、継続的な飛行訓練計画、具体的な練習場所や頻度といった事項を申請書に盛り込むことが必要とされます。

■小型無人機の更なる安全確保に向けた制度設計の方向性
 国土交通省航空局は、今年8月、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議に、「小型無人機の更なる安全確保に向けた制度設計の方向性」を報告しました。 これをもとに、さらなるルールの明確化が進み、安全確保の制度化や法改正が順次になされていくものと思われます。


小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(第6回)資料より抜粋


 国土交通省航空局は、今年7月末に「航空局標準マニュアル」を公開しました。 このマニュアルをそのまま活用することで、航空法申請書類の作成が簡素化できるようになりました。
 今後、民間団体等による講習会や運航管理マニュアルについて、一定の基準に適合しているものを国交省HPに掲載し、これを利用する場合には、航空法申請の一部を簡素化することが可能となるようです。 このような動きを受けて、民間団体による、資格付与や講習等がより制度化されるものと思われます。 自動車の運転免許のような操縦者資格や免許制度については、都市部における荷物配送、すなわち第三者上空の目視外飛行を念頭に、重量25kg以上の機体について、検討・整備する方向性が打ち出されています。
 昨年度より、ドローンの飛行技術や安全管理に関する民間資格の創設や教習所や講習会の開設が相次いでなされており、今後もますます増えることが予想されます。


(2)ドローン通信用周波数帯の新設 −5km程度の長距離通信が可能に−

■ドローン通信用周波数帯
 ドローンでは、遠隔制御やデータ・画像の伝送などに、さまざまな無線システムが用いられています。 これまで、市販されているドローンの多くは、無線局免許を必要としないWi-Fi機器等が用いられているものが多く、地上と飛行中のドローンが通信できる距離が数百mに限定されていました。 産業分野での利用、特に物資輸送を可能にする為には、より高画質で長距離の画像転送が課題とされていました。
 このような背景から、総務省では、ドローンを含むロボットの電波利用の高度化に向けた、使用可能周波数の拡大や最大空中線電力の増力等に向けた技術検討が進められた結果、この秋より、ドローン通信用に新たに設定された5.7/2.4GHz帯の利用が可能となる見込みです。
 今回、ドローン用周波数帯として新たに設けられるのは、5.7GHz帯(105MHz幅)と2.4GHz帯(13.5MHz幅)の2つです。 新周波数帯の設定とあわせて、Wi-Fiの200mWの5倍、1Wで運用ができるようになります。そのため、5kmの高画質長距離画像伝送が可能となります。
 なお、これらの帯域を利用するには3級陸上特殊無線士以上の資格者を配置し、無線局免許を取得する必要があります。

■目視外飛行の実用化へ
 安定した長距離通信が可能になることで、建設分野では、目視外飛行による点検や防災分野での活用に弾みがつくと予想されます。 また、政府も実用化に向け注力している、荷物配送を実現するためには、高解像度の映像を確認しながらの目視外飛行が欠かせない技術と 考えられています。
 近い将来、ヘッドギアを用いたドローン操縦が、一般化するかもしれません。
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