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 シリーズコラム 「土木技術者GIS入門中 −簡単なGIS機能を活用することで日々の業務を効率UP−」 
【第7回】 QGISに挑戦してみる!−その参
 

 無料の高機能GISソフト“QGIS”について3回目となります。今回は、QGISの印刷・出力機能について紹介します。

 土木構造物の点検・調査業務では、その現場の位置を示す、位置図を作成します。 位置図の基図には、国土地理院の“2万5千分の1地形図”やそれぞれの官公庁で整備された“管内図”等を活用することが多いと思います。
 これらの位置図は、電子マップやスキャニング図から、調査対象箇所ごとに、切り出しを行い、エクセル等の帳票に貼り付けます。 また、対象箇所すべてを1枚に納めた全体位置図を作成することもあります。
 対象箇所が数百箇所の場合、箇所ごとの切り出し位置図を作成するには、かなりの時間がかかります。 作成もれ、位置ズレといったミスもしばしばです。 あわせて全体位置図も必要な場合には、たとえば、CAD図の背景にスキャニング図を配置して、それぞれの箇所を旗上げするといった方法で作成します。 箇所位置図と全体位置図では、縮尺が異なるため、文字サイズの異なる旗上げを作成する必要があります。 さらに、作成後に、凡例や箇所番号の変更があった場合には、大きな手戻りとなることがありました。

このような多点箇所の位置図の作成にGISを用いれば、大幅な効率化が図れます。 作成後に、凡例や箇所番号が変更になっても、手戻りは最小限に抑えられます。 そこで今回は、QGISの出力機能であるコンポーザを活用した、位置図作成方法を詳しく解説します。

 今回、例題として日本百名山の位置図を100箇所、一括してPDFファイルで自動作成します!

(1)百名山位置データの準備
 日本百名山の位置座標のベクトルデータを準備します。
 今回、日本百名山の位置座標データは下記のサイトで公開されるCSVデータを利用させていただきました。 ありがとうございます。

http://100sen.cyber-ninja.jp/ “万物はすべて座標値(経緯度数値)を持っている”

(2)CSVデータの読み込み
 緯度経度が記載されたCSVデータをベクトルデータとしてQGISに取り込みます。

1. メニュー[レイヤ]→[レイヤの追加]→[デリミティッドテキストレイヤの追加]をクリックします。

2. 取り込むCSVファイルを参照指定すると、CSVファイルの内容が表示されます。 ジオメトリ定義にてXフィールドは“東経”、Yフィールドは“北緯”を指定します。 このデータ例では10進の緯度経度値のため、“度分秒を使用”のチェックは外します。

3. 以上の設定で、“OK”をクリックすると、“空間参照システム選択”のウインドウが表示されます。 ここではWGS84(EPSG:4326)を指定します。 これでデータ取り込みは完了です。

4. 前回までのコラムで紹介した要領で、表示設定の変更、ラベルの表示を行います。 また、背景図として“国土地理院:標準地図”のタイル地図を表示します。

(3)コンポーザーマネージャーの起動
 QGISで印刷や外部出力を担うのがコンポーザです。

1. メニュー[プロジェクト]→[新規プリントコンポーザ]をクリックし、任意のコンポーザタイトルを入力します。

2. 別ウインドウにてコンポーザが立ち上がります。

(4)地図の印刷設定
1. 右下ウインドウの[コンポジション]にて[ページサイズ]を指定します。 今回は、A4横で作成します。 切り出し図等を作成する場合には、任意サイズの指定も可能です。

2. 新規地図を追加します。左側のツールバーより新規地図をクリックします。 地図を挿入したい左隅をクリックし、右下へドラックします。

3. QGISで表示される範囲の地図が表示され、右上のウインドには“地図0”というアイテムが追加されます。 左ツールバーの[アイテムを選択/移動]では、地図アイテムの選択/移動ができます。 また、[アイテム中のコンテンツを移動]では、地図アイテムの描画範囲を移動できます。 右下ウインドウの[アイテムプロパティ]では、選択しているアイテムのプロハティ設定ができます。

4. 地図アイテムの配置を調整します。 右上ウインドにて“地図0”を選択します。 右下ウインドウ[アイテムプロパティ]→[位置とサイズ]を表示します。 ここでは、用紙マージンから10mmの余白をとった範囲に地図を印刷するよう設定します。 同様に、[フレーム]のチェックをONにして、地図範囲の外周に図枠を表示させます。

5. 続けて地図の縮尺を設定します。 右下ウインドウ[アイテムプロパティ]→[メインプロパティ]を表示します。 今回は1/25,000図としたいため、で縮尺に“25000”を入力します。 [アイテム中のコンテンツを移動]ツールにて適当な箇所を選んで調整し、出力範囲を確認します。

6. スケールを挿入します。 左ツールバーより[新規スケールバーを追加]を選択し、挿入したい位置をクリックします。 地図と同様に[アイテムプロパティ]にて表示設定を調整できます。 [メインプロパティ]の地図に示される地図アイテムの縮尺と連動して表示される仕組みになっています。 スケールの単位幅等を設定します。

7. 北マークを挿入します。 左のツールバーより[イメージ追加]を選択し、挿入したい位置を矩形で指定します。 右下のアイテムプロハティの[検索ディレクトリ]には、デフォルトでいくつかの北マークが用意されているので、好きなものを選択します。

 以上で、印刷設定は完了です。 現在表示中の画像は、メニュー[コンポーザ]より、プリンタへ出力あるいはイメージ出力できます。

(5)地図帳の設定
 百名山すべての地図を一括印刷するために、地図帳を設定します。

1. 右下ウインドウの[地図帳の作成]を選択し、“地図帳の作成”のチェックをONにします。 [設定]−[被覆レイヤ]には、百名山のベクトルデータを指定します。

2. 次に一括出力される際のファイル名を設定します。 ここでは、ファイル名にラベル表示させている“山名”を付けるように設定します。 [出力]−[出力ファイル名の式]を下記のような数式を入力します。

 ‘日本百名山_’|| substr("山名",1,20)

出力ファイル名:日本百名山_○○(○○はそれぞれの山名)

ファイル名に使用したい属性値のカラム名をダブルクォーテーションマークでくくります。

3. [アイテム]より“地図0”を選択し、アイテムプロパティ[地図帳による制御を有効にする]のチェックをONにします。

4. 以上で準備は完了です。 画面上部のツールバーより、[地図帳をPDFとしてエクスポートする]を選択し、出力ファイルの保存先フォルダを指定します。 すると、自動出力が開始されます。

出力フォルダを確認すると、100個のPDFファイルが作成されています。 これで百名山に登る準備ができました!

今回は、ポイントデータを出力図面の中心にする設定で作成しました。 ポイント以外にライン、ポリゴンでも可能です。

下記はQGISを用いて、1:2500図郭毎に出力した傾斜区分図の一例です。 工夫しだいで凡例や検索図の作図も可能です。

 QGISのコンポーザ設定は、ややわかりにくい所もありますが、印刷設定と地図帳を一度設定してしまえば、位置データの変更があってもすぐに一括出力が可能です。 今回は、PDFに一括出力しましたが、pngやjpegといったイメージ出力もできます。 エクセルマクロと組み合わせれば、エクセル帳票への位置図自動張り込みまで、システム化可能です。

 納期直前に、凡例や箇所番号の変更があっても、一括出力を味方につければ、青ざめることは少なくなることでしょう。 土木構造物の調査・点検業務においては、システムをうまく活用することで、効率化を図りつつ、ミスの少ない成果データを提供できます。 何より、“結果の評価”や“対策の検討”といった本来、土木技術者が注力すべき作業の時間を確保ことにもつながります。

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