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 シリーズコラム 「よろずIT・ネットワーク情報」 
【第3回】 オープンソースソフトウェアを味方にする
 

(1)オープンソースソフトウェアとの出会い
 私がオープンソフトソフトウェア(OSS)を始めて使い始めたのが、1996年ごろで、それまで個人では手の出なかったUnixOSがPC用でFreeBSDとして簡単に入手できるようになった頃です。
その後FreeBSDからLinux全盛となり、今では少しやる気があれば素人でも簡単にUNIXシステムを個人で使うことができます。

 しかし、西暦2000年以前では事情はかなり今と違っていました。 現在WEB用の開発で最も広く使われているスクリプト言語にPHPという言語があります。
 私はひょんなきっかけから、このPHPという言語には大変お世話になってきました。
 1996年当時、私はあるきっかけでインターネットのプロバイダを開設する業務を請け負うことになったのですが、このプロバイダを開設する為には、最低 、
 ●上位プロバイダからの専用線供給とネットワーク接続
 ●DNSサーバの開設
 ●ダイヤルアップサーバの開設
 ●メールサーバの開設
 ●WWWサーバの開設
の技術が必要となります。 しかし当時はインターネットに関する日本語の書籍は皆無で、一番参考となったのがサンマイクロ社のSPARCというunixサーバの英文マニュアルでした。

 なんとかプロバイダを立ち上げたあと、その当時は殆どのWebサーバはApacheというWEBサーバソフトウェアで動き、WEBコンテンツは単なるhtmlと画像ファイルのみで、サーバ用スクリプト言語といえばPerlしかなく、cgi-binというフォルダにPerlで作成したメール送信用のスクリプト等を埋め込むのが普通でした。
 そんなとき、客先から「データベースと連携したWebシステムを作成できないか?」という依頼があり、いろいろ調べたのですが、最終的にNetscape社のWebサーバとOracleデータベースを組み合わせた、基本ソフトの仕入れ費用だけで80万以上かかるシステムを構築しました。
 しかし、「なんて高価で作成するのが難しく、工数のかかるシステムなんだろう。」というのが納品後の感想で、自分自身でとても納得のいくものではありませんでした。

 その後、なんとかもっと安くデータベース連携のできるWebシステムが構築できないかと、世界中のインターネットを検索しまくったところ、現在のPHPの前身となる'PHP/FI'というスクリプト言語が、これまた現在のオープンソースDBMSであるPostgreSQLの前身であるPostgreSQL95というデータベースが連携できることを知り、さっそくそのメーリングリストに入りました。
 この'PHP/FI'のメーリングリストに入ってみると殆どメンバーが外国人で日本人メンバーはたった5人ということで、少し不安になりましたが、この'PHP/FI'のサンプルコードをインストールして実行してみると、その作成の容易さとWebサーバ(Apache)との連携のしやすさからたちまちのめり込みました。
 また、PostgreSQL95の方も、この当時はOracleやinformix、sybase等の約30万〜50万円程する商用データベースしかなかった時代ですから、「無償で使える本格的リレーショナルデータベース」としてまさに画期的なものでした。

 その後'PHP/FI'は日本語対応がなされPHP2.0、PHP3.0となり、PostgreSQL95はPostgreSQLとなり、1998年の後半にはデータベース連携処理のできる高機能スクリプト言語サーバを販売できるまでになり、この組み合わせのWEBシステムでは、ほかに競合相手がほとんどいなかったので、県のWEB連携画像データベースを構築したり、当時珍しかったDB連携インターネットWEBショップを構築したりでかなり儲けさせていただきました。
 なにより、OSはlinux、WEBサーバはApacheとPHP、データベースはPostgreSQLなので、ハードウェア以外は全てオープンソースですから、コスト面でもWindowsシステムで提案する他社よりも圧倒的に有利だったからです。
 そののち日本全国にPHPが有名になるのは、2000年前後に日経バイト誌がPHP3.0の特集を組んでからだと記憶しています。


(2)今が旬の超大物オープンソースソフトウェア 「QGIS」
 時代は現代の2016年にジャンプしますが、約18年前に私がPHPやPostgreSQLと出会ったときと同じようにインパクトのあるオープンソースソフトウェアが私たちの業界に普及しはじめています。
 「QGIS」という汎用クライアント用GISソフトウェアで、既に2002年の開発開始から14年以上を経過し、Ver2.16(2016年8月現在)となっているとんでもなく巨大なソフトウェアです。

 ちょうど高価な商用データベースシステムしかなかった19年前、PostgreSQL95が出現して、無償でOracleとほぼ同じようなシステムを構築できるようになった様に、ArcGISやSIS等の高価なGISでしかできなかった機能がオープンソースのQGISで現在進行形でできるようになりつつあります。


 私は2008年のVer0.9.1から使用していますが、その頃はまだ日本語処理が不完全で途中でフリーズしたり、登録したデータが読み込めない等さまざまな障害がありましたが、Ver2.0以降日本語処理もまともに動作し、やっと業務に使えるレベルになってきました。 現在はUAVで撮影したオルソやDEMを基に3次元地形図を生成したり、簡易浸水域シミュレーションをこのソフトを用いて行っています。


QGISを用いて作成した簡易浸水域シミュレーション


(3)最先端のオープンソースソフトウェアの見つけ方と味方にしてしまうコツ
 最先端のオープンソースソフトウェアをものにし、導入することでその個人や企業が他社よりも優位な立場に立つ場合があります。
 逆にそれを利用すれば効率化やローコスト化が図れるにもかかわらず、知らないばかりに効率の悪い時代遅れの作業を続ける場合もあります。
 また、難度の高いシステムを構築する場合、その要求仕様に見合うサブシステムやライブラリをできるだけ広い範囲から探し出すという作業をまず最初に行う必要があります。
 PHP、PostgreSQL、QGIS、その他最先端の全文検索ライブラリまで、私はこの方法で探し出してきました。
 その私なりのコツというべきものを挙げますと、

●Web検索する場合、日本語だけではなく、必ず英語でも検索する。
 これは一番のコツです。もちろんある程度の英文解釈能力は必要です。

●Windowsシステムに限らず、linux等の他のOSのソフトも検索する。
 オープンソースのカルチャはつい最近まではWindows(Microsoft社)のカルチャとは別系統で発展してきたものなので、基本的にはどのOSでも動作するのが当たり前の世界だからです。

●可能ならば、linux等のOSを操作できる技術を身につける。
 linux はオープンソースソフトの集合体と言えるOSです。 開発システム、言語は全て入手可能ですし、Windowsシステムでは有償のシステムも殆どが無償でインストールできます。 操作しているうちに自然と体でオープンソースの世界と基本原理を体感できます。
WindowsOSだけに携わっている人とlinuxにも携わっている人では明らかに視野範囲と開発バリエーションの選択肢が大きく異なり、システムインテグレーション能力に差ができるからです。

●現在はものになっていなくても、近い将来の可能性を重視し、慎重に見守る。
 QGISも2008年時点では日本語処理やその他のバグ等でとても業務仕様に耐えるしろものではありませんでした。 しかし現在は立派に業務使用に耐えられるものに進化しています。 ですから、「所詮オープンソースだから使い物にならない!」と現在だけの状態を根拠に切り捨てるのではなく、将来性も考慮して慎重に見守る必要があります。

●日本語のページが少ないからといって心細くならないように
 これが一番の障壁だと思います。 大抵の人は日本語のページが少ないと不安になります。 私が'PHP/FI'やPostgreSQL95を見つけた時は日本語ページは皆無でした。 QGISにしても2008年時点では日本語ページは4〜5サイト足らずでした。 「おお、まだやっている人がこんなに少ないのか!」と逆に喜ぶようになって下さい。 自分の鑑識眼を信じることが一番重要だからです。 あと、信ずる道を自分で切り開く気力が必要です。


(4)オープンソースソフトの影響(各分野の首位は生き残る)
 商用データベース(RDBMS)の王者はOracle社です。 他のinformixやSybaseは今やPostgreSQLやMySQLの出現によって自然淘汰されました。 しかしOracle社だけはしっかりと生き残っています。
 商用GISの王者はArcGISのESRI社です。 恐らく他の汎用GISを販売している企業はQGISの普及によってかなり苦境に立たされるでしょう。 この分野でもまた、ESRI社は業界標準として生き残っていくと思われます。 似たようなことは他分野でも同様です。
 CADソフト分野におけるAUTOCADのオートデスク社、デザイン、パブリッシュソフトにおけるアドビ社、オフィスソフトに於けるMicrosoft officeのMicrosoft社等、業界首位は生き残りますが、2位以降は危なくなる傾向にあります。
 オープンソースソフトウェアの台頭の光と影と言えるでしょう。

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