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知取気亭主人の四方山話
 

『記憶を伝え、防災力を高める』

 

2015年1月21日

先日 の1月17日で、阪神・淡路大震災から20年が経った。テレビ・新聞を問わず多くのメディアで20周年が大々的に取り上げられていたから、殆どの皆さんは、あの惨劇を思い出したに違いない。しかし、「神戸市の人口の半分はあの震災を体験していない人たちになった」との驚きの報道があるように、被災地でさえ、時間の経過と共に進む記憶の風化が危惧されている。ましてや、直接の被害を目の当たりにしていない私の様な人間の記憶が薄らいでいくのは、ある意味仕方がないことなのかもしれない。しかし、これだけ悲惨な被害の記憶が風化していくことは、地震多発国日本に住む私たちが備えていなければならない“防災力”、その“防災力”の低下に繋がっていくのではないか、と心配している。

そこで、防災力低下にブレーキを掛けるべく、今一度あの大災害の被害状況をおさらいし、薄らいだ私の記憶を甦らせようと思う。主だった被害の概要は、以下の通りだ。なお、データは東京大学出版会の「日本被害地震総覧 599―2012」(宇佐美龍夫、石井寿、今村隆正、武村雅之、松浦律子著)に掲載されている一覧表に依った。(※1)は一覧表のうち「平成12年消防白書」(平成12年1月11日現在)から、(※2)の火災については総覧に掲載されている「府県別火災の概況(平成8年11月18日現在)[関沢、1998、阪神・淡路大震災調査報告、建築6、47-54]」の表から抜粋・転載した。また、避難者数と被害総額は朝日新聞朝刊(2015年1月17日)から転載した。

・発生日時:1995年1月17日午前5時56分
 ・地震の規模を示すマグニチュード:M7.3
 ・死者・行方不明者数:6,435人(※1)   ・負傷者数:43,792人(※1)
 ・全壊住宅数:104,906棟(※1)      ・半壊住宅数:144,272棟(※1)
 ・全焼:6,982棟(※2)          ・焼損床面積:834,663u(※2)
 ・避難者数(ピーク時、兵庫県内):316,678名
 ・被害総額(1995年4月5日の兵庫県推計):9兆9,268億円

さて、どれだけ皆さんの記憶に残っていただろうか。私は最初の3つがかろうじて残っているだけだ。しかも、死者・行方不明者は6千人台としか記憶にない。他は桁数さえ飛んでいる。直後1年余りの間は大まかな数字は頭に入っていたのに、20年も経つとこの有様だ。数字だけなのに、改めてこうして見ると、大都市を襲った直下型地震の凄まじい被害の様子が蘇ってくるから不思議だ。

地震の規模とすれば3.11東日本大震災(M9.0)に比べ遥かに小さいのに(エネルギーに関して言うと、1,000分の一とまでは言わないがそれに近い)、その上被災地がかなり狭い範囲に限られていたにも拘らず、被害総額は莫大だ。特に、全半壊の住宅や全焼した建物の多さが際立っている。確かに、もうもうと上がる煙と見るも無残に潰れた建物の映像が、今も脳裏に焼き付いている。凄まじいばかりの光景だった。当時は、余りに衝撃的な映像に声を失っていたのに、20年も経つとこんなにも風化が進むとは、我ながら恥ずかしくも恐ろしい限りだ。どうやったら、風化を止めることが出来、なおかつ“防災力向上”に繋げることが出来るのだろうか。それは地震国に住む我々に課せられた命題でもある。

体験者の話を聞くのも方法だろう。度々映像を観るのも、風化にブレーキをかける有効な手立てだとは思う。しかし、心に深く刻む事は出来ても、直接“防災力向上”に繋げるのは中々難しい。それは、何をどうしたら良いか一般人では中々思いも付かないからだ。でも諦めてはいけない。そんな課題を解決する、とっておきの方法が開発されている。「クロスロードゲーム」という、何やら楽しそうな名前のゲームだ。

ニュースソースは、いつもの様にNHKラジオである。名前だけは聞いてはいたが、私自身やったことがない。そこで、早速例によって調べてみた。内閣府ホームページの「防災情報のページ」(http://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/torikumi/kth19005.html)には、「災害対応カードゲーム教材“クロスロード”は、カードを用いたゲーム形式による防災教育教材である」とある。ゲームをしながら、地震ばかりでなく、感染症などの広域災害についても学べるらしい。

「クロスロード」とは「岐路」とか「分かれ道」のことで、このゲームは、大地震の被害軽減を目的に文部科学省が進める「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として開発されたものだという。2004年7月に、最初となる「神戸編・一般編」が完成したらしい。この「神戸編・一般編」は、阪神・淡路大震災の際に、実際に災害復興に当たった神戸市職員が直面した課題などが基となっていて、「人数分用意できない緊急食料をそれでも配るか」、「学校教育の早期再開を犠牲にしても学校用地に仮設住宅を建てるか」など、判断に迷う設問がカードに書かれているという。

そういった設問に対して各自がYesかNoで自分の意見を示し、多数決によって勝者を決定する。勝者は座布団カードをもらうことができ、その数を競うというものだ。どこかテレビの人気番組「大喜利」に似ていて楽しそうである。この様に、クロスロードゲームは、誰でも楽しく防災について学ぶことができるツールであることから、内閣府が2007年度から実施している防災出前講座「防災カフェ」にも活用されたという。楽しいゲームであれば、さぞや活発な議論が行われるに違いない。そして、出される設問に対しても自分事として捉えることが出来るだろう。その時に、併せて災害時の映像を見れば、風化しかかっていた記憶も鮮明によみがえってくるに違いない。やはり、疑似でも良いから当事者体験をするのが、記憶を風化させない、そして防災力を高める最良の方法ではないだろうか。

【文責:知取気亭主人】】】

  
こんな綺麗な夜景が炎と煙に包まれませんように!
 

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