いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『弁当忘れても傘忘れるな』

 

2015年1月28日

先週の週末、1泊2日の日程で東京に行ってきた。日程が決まってから天候が気になり、ネットでちょくちょく確認していたのだが、残念ながら、いつ見ても出張先の東京はスッキリしない予報が出ている。22日、家を出る直前にテレビで最後のチェックすると、暫く前の週間天気予報そのままに、既に雨が降っているらしく、「今日は本降りの雨になるから大き目の傘を持ってお出かけください」と気象予報士が呼びかけている。「小さな折りたたみ傘では役に立たないくらいの雨ですよ」とも聞こえる。しかも、翌日の23日も曇りの予報でハッキリとしないらしい。そこで、いつもは折りたたみ傘を持って出張するのだが、今回は、荷物になることを覚悟で、普通の傘(以後、長い傘と記す)を持っていく事にした。折りたたみ傘が本降りの雨には弱いことに加え、東京の様に混んでいる電車に乗ると、濡れた折りたたみ傘は意外と扱いに困るからだ。

東京に着くと、案の定雨が降っている。しかし、着いたばかりの頃はそんなに強くない。「持ってくる傘を間違えたかな」と思っていたのだが、訪問先を出た昼過ぎから予報通り本降りになって来た。土砂降りとまではいかないが、荷物を持って歩くには、大きめの傘でないとかなり濡れそうな降り方だ。「最近の天気予報は結構当たるな」と感心していたところ、夜になると随分と小降りになって来た。明け方まで続くという予想に反して、折りたたみ傘でも十分なほどの振り方だ。こうなると、カバンに入らない長い傘は“厄介物”になる危険性が高い。「このまま行くと明日は必要ないかもしれない、なんか忘れそうだな」と心配し始めたのだが…。

23日になると、昨日とは打って変わって良い天気だ。昼頃には雲一つない、冬の太平洋側特有の抜けるような青空だ。そんな晴天の中、駅に向かう道すがら、すれ違う人を観察してみた。しかし、私のように不釣り合いな長い傘を持ち歩いている人は、悔しいけれど殆どいない。昨晩心配した“厄介物”が、現実になってしまったのだ。「何とかしないと確実に忘れるな」と思い始めたとき、待ち合わせ場所の新橋駅で、面白い事を思いついた。私と同様、不釣り合いな傘を持っている仲間の数を数えてみよう、という魂胆だ。早速やってみた。

注意深く観察していると、15分ほどの間に長い傘を手にしていたのは、たったの5人しか見つからない。「手にしている人はきっと昨日都内に泊まったに違いない」などと勝手なことを思いながら、その後も帰りの新幹線に乗るまで、事あるごとに“傘ウォッチ”を続けてみた。新橋の駅前、浜松町の本屋さんの中、東京駅の新幹線プラットフォームで、暇を見つけてはやってみた。今から思うと随分と酔狂なことをしたものであるが、傘に注目していたおかげか、忘れることなく無事金沢まで持って帰ることが出来た。

さて、観察時間は、合計で60分にもなっただろうか。総勢何千人をウォッチしたかは全く不明だが、私の目に入った範囲に限れば、長い傘を持っていたのは僅か26人(26人中16人が透明なビニール傘)だ。おおよその見当だと、100人に1人程度、或いはもっと少ないのかもしれない。青空が見事に広がるこの天気では、地元の人にとっては「傘を持って出る」という発想はないだろうなと思う。冬の太平洋側は晴天率が高いこともあって、しかたないことだとも思うのだが、冬のお日様が恋しい北陸地方に住んでいると、何とも羨ましい限りである。

ところで、私が住んでいる金沢では、「弁当忘れても傘忘れるな」という格言がある。それだけ雨が降り易いということなのだが、どれだけ金沢が多いか、理科年表(国立天文台編)で見てみよう。手元にある平成25年版の「理科年表(丸善株式会社)」に掲載されているデータを使い、金沢と東京を比べてみた。

1981年から2010年まで30年間の年間降水量の平均値は、金沢が2398.9o、一方東京は金沢より約900oも少ない1528.8oしかない。もう少し詳しく比べてみると、30年間平均の月間降水量には次のような特徴があった。

  金沢:150o以下は4月と8月のふた月しかなく、200o以上は5ヶ月を数える。

  東京:11月〜2月の4ヶ月間が100o以下である。

これだけでも違いが分かるが、冬場(11月〜3月)の降雨量と日照時間を比べると、その違いはもっとハッキリする。それが次の二つの表だ。

今回出張した1月だけを比べてみると、降水量は金沢が東京の約5倍、日照時間は逆に東京が約3倍にもなる。最近の金沢の日の出は大体7時頃、暗くなり始めるのは5時頃だから、晴れた日には凡そ10時間ほど太陽が拝めることになる。30年間の平均値63.5時間を310時間(=10×31日)で割ってやると、ひと月の2割ほどにしか拝めないことになる。日照時間は、「日照計で測定される直達日射量が120W/m2以上である時間」と定義されていて、120W/m2の目安は物体の影が認められる程度だという。8割も雪か雨、或いは影が出来ない程の曇天では、弁当よりも傘が大事にされる訳である。

【文責:知取気亭主人】

  
冬の金沢はこんな日が多い
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.