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知取気亭主人の四方山話
 

『北陸が水不足になる?』

 

2015年2月4日

環境省は20日、今世紀末における気候変動の影響予測をまとめた報告書案、「日本における気候変動による影響に関する評価報告書(案)」を公表した。報告書案の中では、気候変動が日本にどのような影響を与えるのか、また、その影響の重大性や緊急性、加えて情報の確信度などの観点で影響度合いを評価している。

現在環境省ホームページで、「日本における気候変動による影響の評価に関する意見の募集(パブリックコメント)について (お知らせ)」と題するパブリックコメントを募集しており(http://www.env.go.jp/press/100238.html)、意見公募を経て2、3月に正式決定するという。興味のある方はぜひ覗いてみることをお勧めする。ただし、報告書案は400ページを超す膨大な量なので(http://www.env.go.jp/press/files/jp/25932.pdf)、ウェブ上で読むには少しばかり骨が折れる事をお断りしておく。

さて、報告書案の中身だが、農業・林業・水産業、水環境・水資源、産業・経済活動など7分野について、30の大項目と56の小項目に分類してまとめられている。その詳細については報告書案に譲ることとし、今回は、特に気になった影響について取り上げたい。それは、北陸地方の河川水量が田植え時期に半減する、というものだ。実は、前話(603話)「弁当忘れても傘忘れるな」をまとめた時に、「理科年表」に記載されている、金沢における30年間の平均降水量が、減少していることを見つけ気になっていたからだ。「理科年表」の平成22年版と平成24年版の金沢の30年平均降水量を比べると、平成22年版が1971年〜2000年の30年間を集計した平均で2470.2o、一方平成24年版では1981年〜2010年を集計していて、30年の平均降水量が2398.9oとなっている。約70o少なくなっているのだ。

今回の報告書案に関するニュースを読んだ時、「やはりそうか」と思うと同時に、実際私が気になった傾向は既に観測されているのか心配になって来た。そこで、気象庁が公表しているデータから、金沢における降水量の経年変化グラフを描いてみた。データそのものは1882年からあるが、1882年のそれはデータ数が少ないとの注釈があったため、グラフは、次の年の1883年から2014年までの130年間について作成した。それが次のグラフである。

基本的に○○○1年〜○○10年の10年間をひとつのグループとして色分けしてあるが、何となく1960年代から2010年ごろに掛けて減っているようにも見える。しかし、同じグループの中でもかなりの変動があって、今一つハッキリしない。最近のゲリラ豪雨の様に、1日で1ヶ月分を超える豪雨となる様な年もあるからだろう。そこで、平均化してみることにした。10年毎の平均降水量を計算し、描いたのが次のグラフだ。ただし、最初のデータは、1883年から1890年までの8年間しかない。また、2011年から2014年は半分にも満たないのでデータ不足として描いていない。

グラフの中で描かれている赤線は、データ処理に使用したエクセルの自動機能をそのまま使って描いた近似線で、恣意的要素は全く入っていない。この近似線を見ると、やはり右肩下がりとなっていて、少しずつ降水量が減る傾向にあることが分かる。また、赤線の横に示された式を使い、今世紀末(2100年ごろ)の降水量を計算してみると、約2330oになるとの予測結果が出る。しかし、1960年代から2000年代にかけての減り方は、明らかにもっと急激だ。

1960年代10年間の平均降水量は2711.8o、2000年代は2293.8oで、半世紀で400o以上も減少している。単純計算だと、今世紀末の金沢は、1600oを切って今の東京や名古屋並みの降水量になってしまう。金沢でも、傘よりも弁当が大事にされる時代が来るのかもしれない。しかし、事はそう単純ではない。台風やゲリラ豪雨は今よりも一層顕在化することが危惧されていて、こういった雨は一挙に川を下り海に流れて行ってしまう。また、北陸地方で稲作に使われる川の水は、山に積もった雪が春から夏に掛けて融け、流れ出したものだ。雪の量が減れば、必然的に雪解け水は減少する。石川県手取川流域にその影響が出る、と報告書案で使用した参考文献にはあるようだが、地元住民としては大いに気になるところだ。しかも、こういった水稲に対する影響について、重大性の評価が「特に大きい」、緊急性も確信度も「高い」となると、米を主食とする日本人にとって由々しき問題である。何とか温暖化の影響を最小限に押しとどめる方法はないものだろうか。

 

【文責:知取気亭主人】

  
 

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