いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『人のふり見て我がふり直せ』

 

2015年4月1日

「人のふり見て我がふり直せ」という諺がある。「他人の態度や行動の良い点・悪い点を見て、自分の態度・行動を振り返り欠点を直せ」という意味の戒めの言葉だ。常にそうありたいと行動しているつもりなのだが、この歳になってもなかなか達観できないでいる。どうあがいても俗人なのだ。つい先日も、反省しきりの失敗をしでかしてしまった。やりたいことが出来なくなってしまう失敗だっただけに、「人のふり見て我が身のチェック」と新しい諺も飛び出しそうな大失態であった。

先日、電車を使って出張に出かけたときのことだ。7時48分金沢発名古屋行きの「特急しらさぎ」に乗り込んだ。いつも米原経由の出張のときはそうしているのだが、金沢〜米原間、或いは金沢〜名古屋間の特急だけは指定席を取っている。混むからそうしているのだが、北陸新幹線が開業したからなのか、或いは金沢始発からなのか、いつもと違い今回は随分と空いている。出発10分ほど前に乗り込んだのだが、指定席の電車の中は10人もいない。ところが、そんなにガラガラなのに、隣にたくさんの荷物を持った旅行者らしき若者が乗り込んできた。

大きなスーツケースを座席の後ろに置き、重そうなリュックを、ヨイショの掛け声と共に棚に上げた。これでもう座るのかと思っていると、まだ立ったまま小さなバッグのチャックを開け、何やらごそごそと中身を確認している。どうやら、財布やら切符などを確認し始めたらしい。「旅行慣れしているな」と感心しながら見ていると、突然「人のふり見て我がふり…」の諺が脳裏に浮かんで来た。「そうだな、俺も確認しておくか」と背広の胸の内ポケットに手をやった。

ところが、いつもだったら伝わってくる筈のあの感触が…、無い。柔らかい背広の感触しか伝わってこないのだ。サーッと血の気が引いた。他のポケットをまさぐっても、あってほしい財布の感触はどこにもない。「もしや」とカバンの中も探したが、やはりない。切符だけは事前に買って置いたから出張先まで行って帰ることはできるが、これでは食事すらできない。一泊二日の出張予定だから、二日間も食事なしでは辛い。ましてや予定外の“万が一”にも対応できない。何とかしなければいけない。焦ってくる。

そうこうしているうちに、発車時間が迫って来た。チャックを開けたままのカバンをわしづかみにして、慌てて飛び降りた。プラットホームに降りるなり、家内に電話を入れた。事の次第を説明すると、直ぐに在りかがピンと来たらしい。「私のバッグの中かも!」と言いながら探しているらしく、暫くすると「在った!」とホッとした様子の声が返ってきた。そう言えば、前の晩外出した時に、私の財布を家内に預けていたのを思い出した。預けたのを家内も私も忘れて、家内のバッグに入れたまま寝てしまったのだ。そんなことにならない様に、あることを決めていたのだが…。

実は、以前しでかした失敗に懲りて、財布などの小物は毎日決めた所に置いている。だから、いつもだったら在るべき場所に無いことに気が付いたはずなのだが、今回は他に気になることがあって、それも叶わなかった。布団に入ってからカバンに入れ忘れた営業資料があることに気が付き、起きた時に必ずカバンに入れる、と念じて寝たのが悪かったらしい。そればかりに気を取られ、大事な財布には全く気が届かなかったのだ。そんな反省が頭をよぎったが、今はそれどころではない。

家内に1時間後にも「特急しらさぎ」があることを手短に説明して、駅まで持って来てもらうことにした。家内を待っている間に、切符の変更をやろうと思い立ったのだが、直ぐに現金もクレジットカードも持っていない事に気が付いた。悲しいかな、やはり財布がないと何もできない。ハッキリしているのは、今はただ待つのみなのだ。

待つこと30分、家内が届けてくれたおかげで、無事次の電車に乗ることが出来た。目的地への到着も何とか当初予定の30分遅れで済ますことが出来、訪問先に迷惑を掛けずに済んだのは何よりだった。それにしても危ないところだった。最近では、これ程冷や冷やしたことは無い。財布に関しては、これまでにも赤っ恥をかいているはずなのに恥ずかしい限りである。それもこれも、「持っている」という思い込みによるものだ。

20年ほど前、久し振りに来社した知人と打合せを済ませた後、昼食に誘った。自分が誘った以上、勿論私が払うつもりでいた。食事が終わり、さあ会計と立ち上がりながら、胸の内ポケットに手をやった。ところが、今回と同じで持ってきたはずの財布が、無い。慌てて他のポケットも探してが、やはり無い。「私が払います」と言って偉そうに立ち上がってはみたものの…、である。無いものは仕方がない。事情を説明し、恥を忍んで知人に支払いをお願いした。食事に誘った人間がおごってもらったのだから、穴があったら入りたいくらいの恥ずかしい思いをした。

それ以来、財布を始めとする小物の置き場所を決めるようにしているのだが、今回の失態で、それも万全ではないことが判明した。と言っても、これ以上の対策は直ぐには思い付かない。ただ、気になることは直ぐに対応しておくことが重要だ、ということは今回の一件でハッキリした。また、「人のふり見て我が身のチェック」ではないが、出かける時にはチェックにチェックを重ね、持ち物を確認することが重要であることも再認識させられた。

今回の失態では事なきを得たが、念には念のチェックが大切な事を学ばせてもらった。正に、「人のふり見て我がふり直せ」であった。  


【文責:知取気亭主人】


ベニバナトキワマンサク(?)

  
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.