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知取気亭主人の四方山話
 

『大学在学者数に想う』

 

2015年4月8日

いよいよ新年度がスタートした。今週は、保育園や幼稚園から大学まで、多くの園や学校で入学式が執り行われることだと思う。真新しい制服に身を包んだ初々しい生徒や学生を目にすると、丁度桜のシーズンとも重なって、とても華やいだ雰囲気を醸し出してくれる。中でもこの時期、私が通勤のときすれ違う小学生の集団登校の列に、その幼げな体に比べ背負ったランドセルが不釣り合いなほど大きく見える新一年生を見つけると、何となくホッコリしてくる。上級生のお兄さんやお姉さんに前後を守られながら集団登校していく、周りより一段と幼く見えるその姿は、この時期の何よりの癒しだ。

ところが、その癒しが少しずつ寂しくなり始めている。ここ金沢でも少子化の影響を受けていて、私が通勤時にすれ違う集団登校のグループの人数も、以前に比べて何となく減っている様に見えるのだ。多分、新一年生だと思しき生徒の数も減ってきているのだろう。車の運転をしながらだから正確に数えたことはないのだが、何となくそんな感じがしている。また、それを裏付けるデータもある。

次のグラフは、「e-Stat 政府統計の総合窓口」に掲載されている「学校基本調査、年次統計」(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001015843)のデータを基に描いたものだが、小学校の在学者数は、データのある昭和23年以降二度のピークがあって、二度目の昭和56年以降は一方的に減り続けているのが分かる。平成14年ぐらいから少しは緩やかになって来ているが、減少傾向は変わらない。これでは、私が楽しみにしている集団登校グループの人数が減って来ても合点がいく。

ここで、二度のピークを改めて見てみよう。一度目は昭和33年ごろだ。その後、急激に減り続けていたものが、昭和44年ごろから再び増加に転じ、一度目から凡そ30年後となる昭和56年ごろに二度目のピークを迎えている。昭和33年前後は、まさに我々団塊の世代の小学生時代だ。その凡そ30年後と言えば、団塊の世代の子供達が大量に入学し始めた時期と一致する。二度のピークとも団塊の世代が絡んでいるとは、恐るべし団塊の世代、である。

 

 ところで、これまで見てきたように、小学生は昭和56年から昨年まで30年以上にわたり減り続けている。したがって、中学、高校、大学の在学者数も在学年数分だけはズレルものの同じように減少していく、と考えるのが普通だろう。調べてみると、義務教育の中学や高校の在学者数は、その通りになっている。ところが、大学の在学者数は、その予想に反して(少なくてもこれまでは)一向に減少していない。次のグラフは、先の「学校基本調査、年次統計」を基に作製したものだが、平成17年以降頭打ちになってはいるものの、先のグラフとは明らかに違う。ほぼ右肩上がりで増えていると言って良い。

 

 

作図に使ったデータを詳しく見てみると、私が大学に入学した昭和43年の約127万人に比べると、現在の大学在学者数は凡そ2.2倍の280万人台をキープしたままになっている。基本となる子供の数は減って来ているのに、大学生は一向に減っていないという状態が近年続いているのである。ということは、大学進学率がどんどん上がっている、の裏返しでもある。また、大学院生の増加も影響しているのかも知れない。教育の機会均等という意味では良いことなのだが、この傾向はいつまで続くのだろうか。私見だが、恐らく職業による賃金格差が無くならない限り続くのではないか、と思っている。

今政府は、躍起になって「賃金を上げて」と経済界に働きかけている。しかし、大企業はこれに応えられても、中小企業はなかなか難しい。職業によっても賃金格差が顕著で、介護関係で働く人の賃金はかなり低いと言われている。また、建設関連で言えば、どれだけ腕の良い技能者でも、例えばどんなに腕の良い大工さんでも、積算に使われる日金額は公表されていて、決して高くない。地域によって異なるが、年齢・経験に関係なく大体2万円弱である。これは賞与を含んでの金額でもあり、下請けとなればもっと安くなるのは想像に難くない。恐らく、芸能人と勘違いしている節がある、今時の女性アナウンサーの方が余程高給取りだ。報道関係や金融・証券・保険関係は高給取りが多いとも聞く。国の大事なインフラ整備・維持に携わっている身としては、釈然としない。

ドイツのマイスターの様な制度があって、手に技術を持っている人が敬愛され、それなりの給与が取れるような国にならない限り、大学への進学希望者は減らないのだと思う。技術立国というのであれば、技能者にも光が当たる国になりたいものである。さすれば、大学に行かずとも腕を磨いた方が良い、という風潮が浸透してくると思っているのだが…。  


【文責:知取気亭主人】


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