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知取気亭主人の四方山話
 

『我が家の啓蟄』

 

2015年5月7日

日本人は農耕民族だからなのか、古くから、季節の移ろいを敏感に感じ取り、気候を多種多様な表現で言い表して、農作業や生活の指標としてきた。これらは、気候に関する情報が溢れる現代においては、農作業への役目は終わった感もあるが、自然を愛でる感性の面ではまだまだ味わい深い。しかも、自然が乏しい街の中の生活では、季節の移ろいを敏感に感じられなくなって来ていることを考えると、せめて言葉だけでも自然の移ろいを味わいたいものである。

そんな農作業や生活の指標は、二十四節気(一年を約十五日おきに分けたもの)と七十二候(五日を一候として一年を分けたもの)として残されていて、最近では、天気予報などでもその時節に合わせた二十四節気などが紹介されている。その情報のお蔭で、暦などに頓着なかった以前に比べ、日本人の季節の愛で方を知る様になってきた。有難いことである。新暦三月六日頃の「啓蟄」もその一つだ。

蛇や蛙なども十把ひとからげで“虫”と言っていった時代に、土の中で冬籠りをしていた虫たちが這い出してくる時期、という意味で使われていたらしい(山下景子著「二十四節気と七十二候の季節手帳」より)。私がこの言葉を知ったのは、何時の頃からだったかはハッキリしないが、やはり天気予報を良く聞くようになってからだ。生まれたのが農家ではなかったから、立春や春分、あるいは立夏などの良く知られた二十四節気と違い、生活や催事に使う必要もなかったのだろう。家でも学校でも使っていた記憶はない。

ところが、家庭菜園をするようになって、俄かにこの啓蟄が身近なものになってきた。結構、虫とご対面することが増えてきたのだ。ただし、時季は本来の早春ではなく、暦で言えば、初夏に当たる頃だ。今年は、ゴールデンウィークが「我が家の啓蟄」になった。

家庭菜園と言っても、広い庭がある訳でもないから、我が家の場合はプランタ栽培がメインだ。“時間”と“マメさ”に制約がある関係上、プランタぐらいがちょうど手頃だと思っている。要するにものぐさなのだ。本来ならば収穫後の土の手入れも必要なのかもしれないのだが、我が家では土へのお礼もせずに、春から夏に掛けてナスやトマトなどを育てた後は、手入れもせずそのまま放置している。必然的に、次の年の野菜の苗が出始める時期になると、プランタの土を野菜栽培に適した土に蘇らせる必要が出てくる。その時期は、金沢辺りでは大体今頃、そうゴールデンウィークごろになる。

半年以上放置したプランタには、食べられそうにもない雑草が顔を出し始めている。まだ顔を出したばかりのその雑草を抜き、はびこったそれらの古い根っこも綺麗に取ってやる必要があるのだが、洗濯物や隣近所への土埃を気にしながらの作業は、結構手間暇が掛かる。携帯用スコップで掘り起こしてひっくり返し、はびこった根を根気よく手で抜く。ザルで振るいを掛ければ早いのだが、土埃がたつのでこれが出来ない。根気よくやるしかない。しかも、根っこというのは深くはびこるもので、プランタの底まで掘り返さないと、取り尽くすことができない。この作業をプランタの数だけ繰り返す。そうすると、幾つかのプランタで虫と出くわすことになるのだ。

多いのがダンゴ虫とミミズ、そしてカブトムシの幼虫を小型にした様なコガネムシの幼虫だ。その他、何かの蛹(さなぎ)らしき生物(ネットで調べるとカブラヤガだとおもわれる)や赤と黒の縞模様をしたムカデの子供の様な気色の悪い虫にも遭遇する。初日にこれらの虫に数多く遭遇したのだが、うっかりして写真を撮り忘れてしまった。次の日にカメラを用意してシャッターチャンスを狙ったのだが、残念ながら今度は虫の方から嫌われたのか、ダンゴ虫やミミズ以外には、二種類しか遭遇できなかった。その貴重な二種類を紹介しよう。

 


 写真左が「ムカデの子供の様な気色の悪い虫」と書いた虫だ。調べてみるとアカヤスデという益虫らしい。無知というのは恐ろしいもので、その見た目から害虫だと思い込み、全て殺してしまった。申し訳ないことをしたものである。一方、右の写真の虫は、写真よりもう少し乳白色に近い色をしていて、何かの幼虫だと思われる。しかし、ネットで調べても名前が分からない。結構沢山いて、手で捕まえようとすると、クルッと丸くなってしまう。真っ直ぐになった時の長さは10oばかり、太さは2oほどしかない小さな虫だ。どなたかご存知の方は、是非教えていただきたい。できれば、アカヤスデのこともあるので、益虫か害虫かもご教授願いたい。ご連絡をお待ちしています。

ところで、出会った虫たちの中では、ダンゴムシとアカヤスデ、そしてミミズが活発に動き始めている様だったが、その他の虫は無理矢理表舞台に出された感じで、まだまだ本人の啓蟄には程遠い様に見える。どうやら、「我が家の啓蟄」と思っているのは、私だけの勝手、だったらしい。

 

  


【文責:知取気亭主人】

  

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