いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『冒険と自信』

 

2015年6月3日

最初の孫が生まれてから、この9月で丸5年になる。早いものだ。この間、先月に生まれたばかりの孫を入れて、3人の孫に恵まれた。近頃では、週末になると、4歳と2歳の、昔良く例えられた「ちびっ子ギャング」に囲まれ、運動不足解消にもってこいの生活を送っている。生まれたばかりの3人目は、それこそ泣くのと寝るのが商売だから、当然会話や仕草で楽しませてもらうまでにはなっていないが、成長著しい先の孫2人は、賑やかな泣き笑いの日々を過ごしていて、我々“じじ・ばば”を楽しませてくれている。ただ、以前この四方山話で横綱デビューを果たした2番目の孫息子は、おデブちゃんの上に力も強く、“ばば”にとっては体力の衰えを感じさせる時がたまにあるらしい。

ただそうは言っても、イヤイヤやる早朝の“雪かき”などと違い、体は疲れても心はハッピー、といったところだろうか。何事にも一所懸命のそのあどけない姿は、見ていて微笑ましい。また、全身好奇心の塊である幼児にとって、これまでより行動範囲をちょっと広げれば、初めて目にするモノばかりで、全てが新鮮だ。それを見ている我々も、大人ばかりの生活と違い、極めて新鮮で脳への刺激も半端ではない。時には、自分の子供達が小さかった頃も思い出すようなイタズラもしてくれて、懐かしさも込み上げてくる。認知症予防には抜群の効果がありそうだ。とにかく、子供目線で対等に遊んでいると、何となくではあるが、子供の気持ちが多少理解できるような気になるから不思議だ。

4ヶ月程すると5歳になる孫娘は、“ままごと遊び”が面白くなり始めた年頃らしく、“じじ・ばば”は勿論、周りの大人は格好の遊び相手にさせられる。私も、あるときはパパになったり、またあるときはお母さんになったり、とその時の彼女の演出に応じて変幻自在の役を演じている。そのままごと遊びの延長なのだろうか、お手伝いもしたがる年頃で、しかも台所でのお手伝いばかりでなく、大人のやることは何でも同じ様にやりたがる。私がツバキの剪定をしている時も、脚立に乗って手伝おうとする。プランターをいじれば、同じ様にいじりたがる。ところが、庭いじりをしているとよく“ご対面”となる虫は苦手らしい。虫を見掛けると、“お手伝いの動き”は突然止まり、手まで引っ込んでしまう。もっと小さかった頃、確か2歳くらいまでは虫への恐怖は芽生えていなかったはずなのだが、保育園の友達が怖がるのを見てからなのか、ここに来て急に怖がるようになった。

ところが、近所の小学生たちは学校で習うこともあってか、庭で見つけられるダンゴムシやアリ、カマキリ程度の虫は、みんな素手で触って遊んでいる。孫娘は、お兄ちゃんお姉ちゃんたちが平気で手に取っているのに、自分ができないのがどうも悔しいらしい。しかし、虫を見つけると、最初は自分で捕まえようとするのだが、どうしても手が出ないらしく、最後は私に捕まえてくれとせがむ。取り敢えずは、ダンゴムシが関門らしい。先日もダンゴムシを探しに行こう、と誘われた。以前にもダンゴムシ探しに付き合ったのだが、その時もなかなか触ることができなかった。そこで今度は作戦を変えてみた。

ダンゴムシが悪さをしない虫だということを分からせるために、私の手の中や腕に這わせて、「くすぐったい!」とおどけて見せたのだ。すると、恐る恐るではあるが、触ったではないか!それを見て次の作戦にとりかかった。ダンゴムシには気の毒だったが、丸まってしまうと見えない腹の部分を見せてやった。あのたくさんの小さな足を見せてやったのだ。そして見るからにか細くて、柔らかな動きとその感触を体験させた。それが功を奏したのか、やがて手の上に載せられるようになった。そうなれば、もうこっちのものだ。1時間もしないうちに、彼女は立派なダンゴムシハンターになっていた。そして、「どうしても飼いたい」と言って、20匹近くも捕まえて、土とむしった葉っぱと一緒にミニ水槽に入れる。物陰が好きな虫だから水槽に入れても外からは観察できないことは分かっているが、折角恐怖心がなくなったばかりだったことあって、私もダンゴムシ飼育に付き合うことにした。

次の日、土が乾いていることに気付いて、霧吹きでしめらせてやるのを見せると、同じ様にやりたいという。それじゃあ、と土に直接霧がかかりやすいように(彼女が言うところの)餌として入れておいた枯れた草をどかせると、ダンゴムシが、それこそ団子状態でうじゃうじゃとうごめいている。大人の女性でも一瞬固まりそうな様相だが、もう怖いという感覚はすっかり無くなっているらしく、平気で霧を吹きかけている。作戦成功だ。

こうして、最初の関門は案外簡単にクリアできた。大人にしたら大したことではないのだが、4歳の孫娘にとっては決死の大冒険だったに違いない。同時に、大冒険を成し遂げたことで、大きな自信を得たらしい。その日の夕方、自慢気に、「ダンゴムシ見たい?」と皆を誘う。私でさえ、何かを成し遂げたときなど還暦を過ぎた今でも自慢したいのだから、彼女の気持ちはよく分かる。「〇〇ちゃん凄いねぇ!」と褒めてもらいたいし、認めてほしいのだ。そこで褒めてやることで、「ダンゴムシはもう怖くない」という自信は、確固たるものになるのだろう。

こういった小さな自信の積み重ねが、人間形成にはとても大切だと思う。特に、子供の頃の自信は、最近言われることの多い「人間力」に大きく関わっている。「人間力」を育てるには、冒険をいっぱいして、時には失敗もして、しかし最後には想いを成し遂げる、そんな経験を子供の頃にたくさんやっておくといい。加えて、しっかりと躾を身に付けておくことも必要だ。最近の若い人を見ていると、叱られることに対する免疫が育っていないのではないか、と思うことが多い。子供の頃には、愛情を持って叱られておく、という冒険も大切なことだ。頑張れ、ちびっ子ギャング!泣き笑い、大いに結構!  


【文責:知取気亭主人】


ミヤコワスレ

  
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.