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知取気亭主人の四方山話
 

『240万人のパワー』

 

2015年6月24日

先週の17日、選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる、改正公職選挙法が参議院本会議で成立した。これで、来年夏の参院選から投票できるようになり、18日の日本経済新聞朝刊(以降、日経朝刊と記す)に依れば、約240万人が新たに投票権を得るという。この数は全有権者の約2%に過ぎないらしいが、それでも240万人ものパワーである。人口そのものも、また為政者も多い、我々年寄りの声ばかりが反映される社会ではなく、将来を担う若者たちの声が反映される社会づくりに、是非その権利を生かしてほしい。折角手に入れた権利である。積極的に権利を行使し、柔軟な発想や感性で、日本の未来を明るいものにしてもらいたいものである。

18歳と言えば、日本では未成年として扱われ、これまで大人とは見てもらえなかった年齢だ。しかし、18歳以上に選挙権を与えるのは世界の潮流だというから、これでやっと日本も世界の潮流に乗ったことになる。何せ、前回公職選挙法が改正されたのは、70年も前の1945年、丁度敗戦の年まで遡らなければならない。科学技術の発達などにより情報伝達速度が加速度的に上がり、それに伴って政治や経済の変化のスピードがますます増している事を考えると、もっと早くても良かったのではないかと思っている。日本における選挙権の変遷を時系列に辿ってみると、その思いは一層強くなる。選挙権の変遷は、ある意味、日本に民主主義が浸透していく過程を示している、といえるからだ。

日経朝刊に載っていた記事を参考に、その変遷を次のようにまとめてみた。なお、まとめの中で使用している全人口は、総務省統計局の「人口の推移と将来人口」から引用した。ただし、1889年と1900年に記載した日本の全人口は、「Wikipedia」の「国勢調査以前の日本の人口統計」に掲載されている「本籍人口」に依った。また、全人口に対する有権者の割合は、日経朝刊のデータを転載した。

  1. 1889年(明治22年):大日本帝国憲法及び衆議院議員選挙法が公布され、“直接国税15円以上”を納める25歳以上の男子のみに選挙権が与えられた。この時の有権者は、全人口(約40百万人)の約1%に過ぎない。

  2. 1900年(明治33年):「25歳以上の男子」という条件はそのままに、納税金額が“10円以上”に引き下げられた。それでも、有権者は全人口(約45百万人)の僅か約2%だった。

  3. 1919年(大正8年):選挙権が与えられる納税額は“3円以上”に引き下げられたが、それでも有権者は男子に限られ、その数も全人口(第1回国勢調査を実施した1920年で約56百万人)の約5%にとどまる。

  4. 1925年(大正14年):やっと納税額に関係なくなったが、まだ女子には被選挙権や選挙権は認められず、25歳以上の男子のみに与えられたままである。有権者は、やっと全人口(約60百万人)の約20%となった。

  5. 1945年(昭和20年):初めて女性に参政権が与えられ、参政権に関する“法の下の平等”が実現された。また、この時選挙権の年齢が引き下げられ、現行の“20歳以上”となった。これで、全人口(約72百万人)の約48%に選挙権が行き渡った。

  6. 2015年(平成27年):来年の2016年から18歳以上の男女に選挙権が与えられる。少子高齢化という年齢構成のいびつさから、有権者数は、全人口(約127百万人)の約83%(現在は約81%)にもなる。

こうしてみると、参政権に関する“法の下の平等”が保障されたのは、日本に初めて衆議院議員選挙法が公布された年(1889年)から56年も経っている。しかも、敗戦という大きな痛手を被ってやっと手に入れることが出来た、と言っても過言でもないだろう。あの悲惨な痛手が無ければ、“法の下の平等”はもっと遅れていた可能性が極めて高い。そんなことに思いを馳せると、日本国万民に与えられたこの権利を行使しなければ、権利を得るために戦ってきた先人に申し訳が立たない。そう捉えるべきだろう。しかし、70年も経った影響なのか、法の下の平等など当然だ、との考えが蔓延しているように思う。政治の責任も大きいとは思うが、選挙をやるたびに投票率は下がり、特に若者の政治離れが深刻だ。

最近の選挙では、若い人達の投票率はいつも低い。投票所に行くのは年寄りばかりで、日経朝刊には「シルバー民主主義」の文字が異様に踊っている。言い得て妙だとは思うが、日本の行く末を考えるとこれでは心配だ。年寄りの声も反映させてもらいたいが、それ以上に、今の時代を担っている青壮年の世代の声を反映させることが重要だ。それもあってか、只得票を増やしたいだけなのかは不明だが、今回の法改正で選挙権を得た約240万人のパワーを何とか獲得しようと、各党とも躍起になっているようだ。しかし、政治に冷めた若者たちの目をどうやって権利行使に向かわせるのか、今まさに、政治や教育に携わる“大人たち”の英知が試されている。  


【文責:知取気亭主人】


キョウカノコ

  
 

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