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知取気亭主人の四方山話
 

『滲出性中耳炎』

 

2015年7月8日

先日、2歳半になる孫息子が滲出性中耳炎を患っている事が分かった。日頃の何気ない行動を見ていた家内が、「おや?」と疑問を感じたのがきっかけだ。タンバリンを一回り小さくしたような、「しょじょじのたぬきばやし」などの童謡が流れるオモチャがあるのだが、ひと月ほど前からよくそれを耳に当てて聞くようになっていた。しばらくその様子を見ていた家内は、我々の長男の経験もあって、滲出性中耳炎を疑った。専門医(耳鼻咽喉科)の受診を長男夫婦に勧め、診察してもらったところ、当たらなくてもいい予感が的中してしまったという訳である。

会社から帰り、気になっていた診察結果を聞くと、やはり滲出性中耳炎だったという。両耳とも鼓膜の内側に液体(以下、滲出液と記す)が溜まっている状態だ、と説明を受けたらしい。簡単な診察でそんなことが分かるものかと驚いたが、溜まっている滲出液は鼓膜から透けて見えるのだという。溜まった状態がどれくらい続いていたのかが治り易さに係わるらしく、しばらく飲み薬で様子を見て、良くならなければ大きな病院に転院しましょう、ということになったらしい。

薬を飲み始めても孫息子の様子は普段と変わりなく、何時もの通りやんちゃぶりを発揮していた。薬も嫌がることなく飲み、2日が経った。3日目の夕方、気になる再診だ。その結果、右耳は溜まっている滲出液の量に変化も無く濁りもあって、まだ症状に改善が見られないという。ただ、左側は量も減って少しは改善されたらしく、もう少し飲み薬で様子をみましょう、と言われたらしい。それを聞いて少しは安堵したが、改善の見られない右耳が長引かないか心配だ。長引くとすれば、気が付いてやるのが遅れたせいだ。子育ての経験豊富な我々がそばにいながら、孫息子には可哀想なことをした。ただ、言い訳をするつもりではないが、滲出性中耳炎というのは、かなり分かり難い、厄介な病気である。

滲出性中耳炎は、鼓膜の内側にある“中耳腔”と呼ばれる空隙に液体が貯留している状態のことで、孫息子もそうだが、痛みは殆ど伴わない。この液体がどこから入るかというと、実は中耳腔内で作られるものらしい。風邪などの比較的弱い炎症が耳管を通って中耳腔内に入ると、中耳腔の細胞内から“滲出液”と呼ばれる炎症性の水が滲み出て来る。このとき、耳管の働きが正常であれば、滲出液は耳管を通って鼻から抜け出てしまうのだが、何らかの影響で耳管の働きが悪いと、この滲出液が排泄されないで溜まってしまう。繰り返しになるが、まさにこの状態が滲出性中耳炎という訳である。

では、どのような炎症が悪さをするかと言えば、急性や慢性の副鼻腔炎 (我が家の家族はこれを患うことが多い)、急性咽喉頭炎(のどの炎症)、かぜ、アレルギー性鼻炎など、のどや鼻周りの病気は、殆どすべて耳管の働きに悪影響を与え、滲出性中耳炎につながる可能性があるのだという。

せきや発熱などの様にその症状がはっきり表れればいいのだが、この病気はそういった症状が見られず、外からではなかなか気づかないことが多い。一般的な中耳炎は激しい痛みと熱を伴うことが多いと聞くが、滲出性中耳炎はどちらも伴わない。そんな軽い症状に加え、まだ片言しか言えないことや、どのように聞こえるのが正常なのか知らない年齢故に、幼児が滲出性中耳炎による体の不調を口で訴えることはまずできない。反省を込めて言えば、そういった幼児の体の不調を見つけるのはやはり周りの大人しかいない、ということを改めて気づかされた次第である。でも何時頃から調子が悪かったのだろうか。

今から思えば、今年の冬から春に掛けてしょっちゅう鼻汁が出ていたのだが、あれが悪かったのかも知れない。また、体質的にも罹り易いものを持っているのかも知れない。と言うのも、実は、孫息子の父親である我が家の長男も、滲出性中耳炎を患っていたことがあるのだ。しかも長男の場合は、耳鼻咽喉科に掛かっていたにも拘らず、滲出性中耳炎だと診断されないまま時が過ぎ、転院して初めて指摘され気が付いた。

「どうしてこんなになるまで放っておいた!」と新しい先生に叱られ、思わず「耳鼻咽喉科の医者に掛かっていたのですよ!」と反論したものだった。当時は、絶対に診断ミスだ、と医師不信に陥ってしまったものだ。もっとも、その後、その医師からもらっていた私の薬を見た他の医師が、「この先生はお幾つぐらいの方ですか?」と訝しんだこともあったから、多分“迷医”だったのだろう、と今は諦めている。

そんなこともあって、長男の場合は、気が付くのが随分遅れてしまった。治療を開始した時にはかなり悪化していて、可哀想なことに、完治するのに随分長いこと掛かってしまった。結局、幼稚園から高校の頃まで、鼓膜を切開したり小さなチューブを差し込んだりの治療を続け、最後の鼓膜再生手術を受けたのは社会人になってからだった。申し訳ないことに、今でも片方の耳は聞こえにくいという。今更愚痴を言っても始まらないが、最初に掛かった医師を今でも恨めしく思っている。

そんな長男の話によると、滲出性中耳炎に罹ると耳栓をしているように聞こえるのだという。私自身は罹った事がないので表現し辛いのだが、プールや海水浴で耳に水が入った状態とは違うらしい。外耳に水が入ると、ボワンとした感じに聞こえるのだが、中耳に水が溜まっていると、聞こえそのものが悪くなるらしい。どうりで、耳に当てて聴いていたはずである。言語が未発達の幼児の場合、聞こえが悪いと、話し言葉の発達にも悪影響を及ぼしかねない。早く治ってくれるのを祈るばかりである。ガンバレ、ひろちゃん!  


【文責:知取気亭主人】


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