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知取気亭主人の四方山話
 

『新しい制度が始まる、けど…』

 

2015年9月9日

日本に住民票を置いている人全員に番号を割り当てる「マイナンバー制度」が、いよいよ来年の1月からスタートする。それに先立ち、割り当てられた個人番号を預金などに結びつけることが出来る「改正マイナンバー法」が、9月3日の衆議院本会議で可決、成立した。これによって、既に成立していた「マイナンバー法」と合わせ、諸々の行政サービスの効率化や市民生活に多くの利便性を提供できるようになる、と言われているのだが…。

いつ頃だったか記憶は定かでないが、今年に入って、「マイナンバー制度」に関するチラシが新聞の折り込みに入って来た。「10月1日から国民一人一人への個人番号通知が始まり、来年の1月から運用が始まる」といった概要が印刷されたもので、制度の細かな説明は殆どなかった。そして、そのチラシ配布の少し前から、「マイナンバー制度」に関する説明会や講習会の案内が、会社に届くようになってきた。10月1日から始まるという「個人番号」の通知前に知っておく必要がある、との考えによるものなのだろう。

しかし、その説明会や講習会の主催は大手家電メーカーが殆どで、自社製品の売り込みを想像させるものばかりだ。そういった講習会などに参加した仲間の話だと、主催者側も制度の細かいところまで把握していないのか、制度の内容に関する説明よりも自社製品のアピールが主体で、結局制度についての細かなところまでは理解できなかったという。それを裏付けるかのように、3日に内閣府が発表したところによると、今年7月から先月にかけて実施した世論調査の結果、「制度の内容まで知っている」と答えた人は43.5%にとどまり、5割以上の人が制度の内容まで知らないことが判明した。

そうだろうと思う。と言うのも、行政からの説明が殆ど無いのだ。内閣府には内閣官房の「マイナンバー 社会保障・税番号制度」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/)というマイナンバーに関するホームページが開設されているが、これだけだと、インターネットを利用していない人には伝わらないし、ホームページが開設されているのを知らなければ閲覧することはない。加えて、折角「マイナちゃん」という可愛らしいキャラクターまで登場させ、説明動画まで用意しているのに、マイナンバー専用のホームページが用意されているとの政府からの公報を聞いた事がないのだ。「ホームページを作ったらおしまい」という訳ではないだろうが、日本に住民票のある全ての人にとって極めて大きな影響のある制度なのに、いささか宣伝が足りないのではないかと思う。

日本に在住する全員に関わる制度、しかも犯罪に利用される恐れのある個人情報を、加えて1億2千万人を超す人達の膨大な量の情報を扱うのだから、もう少し広報や説明に力を入れてもらいたいものである。新国立競技場の建築にあれだけの税金を使おうとしたり、あるいはエンブレムの選考・決定・印刷にあれだけの税金が無駄遣いとなったりしたことを考えると、住民生活の根幹に係わる制度変更なのに周知が徹底されていない、と感じているのは私だけではないだろう。

内閣府の世論調査の結果が示す様に、「マイナンバー制度」という言葉自体は聞いたことがあっても、自分の身にどんな影響が及ぶのか、よく理解できていない人が多いのだろうと思う。ましてや、制度について情報収集したり、仕組みを構築したりする専門部署のない中小企業や個人事業主にとって、制度を理解するのに、ホームページを一瞥しただけでは到底おぼつかない。誰でもいいからもう少し詳しく丁寧な説明をしてほしい、と思っているのに違いない。

そんな話を個人事務所に勤めている次女にしたら、案の定、他の従業員さんも含め、制度の中身については良く知らないという。ただ、知らないことの不安よりも、厚生年金機構のシステムから大量の情報が漏れたように、マイナンバー制度でも個人情報が漏れてしまうのではないか、と情報漏えいの方を心配しているという。確かに、国民の大多数もそうだと思う。私も大いに同調していたら、もしかしたらそんな心配を払拭できるのではないかと期待してしまう、とっておきのアイデアを、娘が披露してくれた。個人番号の配布開始まで一カ月を切った今となっては、実現は不可能だと思うが、面白い考えなので紹介しよう。

強固なセキュリティー対策を講じているから情報が漏えいする心配はない、というのであれば、まずこの制度を考案した霞が関の役所の中で試験運用をしてみたらどうか、と言うのだ。加えて、国会議員も一緒に参加すればいい、とも言う。確かに、国会議員や霞が関のお役所の中で試験運用すれば、仮に制度の不備やシステム障害があったとしても、対応は迅速にできるというものである。また、有用性を国民にアピールする際も、経験に裏付けられた話は説得力がある。私は面白いアイデアだと思うが、情報漏えいが発覚しても責任を取らない霞が関への当てつけもあって、冗談半分、面白半分であることは分かっている。

しかし、試験運用でなくても、例えばタバコの新製品を販売する時に、全国に先駆けて静岡県でテスト販売をすると聞いたことがあるが、この例に倣ってある地域で先行運用してみる、というのもありかも知れない。先行地域を「マイナンバー特区」と銘打って、優遇措置を講ずれば、立候補する地域もあるのではないだろうか。と言っても、もはや遅い。新しい制度が始まるときはいつもこうなのかもしれないが、「新しい制度が始まる、けど…」と、後に続く不安がどうしても頭をよぎる。的中しなければいいのだが…。  


【文責:知取気亭主人】


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