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知取気亭主人の四方山話
 

『いつまでもお元気で』

 

2015年9月24日

21日の月曜日は、“敬老の日”だった。孫娘から「おじいちゃん、いつもありがとう」の電話を貰い、朝からホッコリさせてもらった。いつの間にかそんな歳になったのだな、との感慨も深い。ただ、まだ母が存命でいてくれるため、最近の“敬老の日”と言えば「我が家の対象は母」と思い込んでいて、孫娘からの電話はとても嬉しいのだが、「俺もそう言われる歳になってしまったか」と少々複雑な思いがしないでもない。

正直言うと、都合良く高齢者であることを利用することも多々あるのだが、まだまだバリバリの現役だ、と思い込んでいる自分もいる。また、錆びつき始めた体のことはさて置いて、気持ちはまだまだ若いつもりでもある。残念ながら年齢的には見事高齢者の仲間入りを果たしてしまってはいるが、意欲を萎えさせる天敵のひとつは自分が年寄りだと思う事だと信じていて、気持ちだけは若くありたい、と突っ張っているのだ。そうして、ヒタヒタと迫り来る脳の老化にも、必死に抗っている。

それにしても、日本は、本当に高齢化社会になったものである。敬老の日に合わせた月曜日の北陸中日新聞朝刊に、20日の日に総務省が発表した人口推計が載っていたが、それによると、高齢者と呼ばれる65歳以上の人口は、3,384万人で全人口の26.7%を占めているという。前年に比べ、89万人も増えた勘定だ。このうち80歳以上は、前年より38万人増えて、1,002万人となり、初めて1千万人の大台を超え、全人口に占める割合は7.9%にもなるという。しかも、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、今から23年後の2040年には65歳以上の割合が36.1%にも達するというから恐ろしい。3人に1人は65歳以上、という異様な状況だ。必然的に社会保障費の膨張が、今以上に深刻化する事になる。それを裏付ける様なニュースが、4日の日本経済新聞に載っていた。

9月3日に厚生労働省が発表したもので、2014年度(昨年度)の医療費の総額が、40.0兆円と前年度に比べ1.8%増えたという。この1.8%のうち、0.6%分が医療の高度化によるもので、残り全てが高齢化による押し上げだというから、定期的に病院通いをしている身としては、少々肩身が狭い。また、1人当たりの医療費は、平均では31.4万円だが、75歳以上に限ってみると93.1万円にもなり、75歳未満(21.1万円)の4.4倍にもあたるのだという。75歳以上が人口に占める割合は12.5%(1,580万人強)に過ぎないのに、医療費総額に占める割合は36.3%にもなるというから、予想通りとは言え驚きの数値である。

驚きついでに、我々団塊の世代全てが75歳以上になる2024年になると一体医療費の総額はどれほどになるのか、荒っぽいシミュレーションをしてみた。このまま2014年から10年間1.8%ずつ増え続けるものと仮定すると、約48兆円にもなることが分かった。また、今から15年後の2030年には、50兆円の大台を超え53兆円にもなる。ビックリ仰天の金額だ。

現役世代は3割、高齢者世代で1割の自己負担があるとはいうものの、高齢者の利用が多いため、トータルすると患者の窓口負担は、40兆円のうち1割強に過ぎないらしい。残りの5割を保険料で、さらに残りの4割を税金で賄っているというが、このままでは日本の医療制度が立ち行かなくなるのは目に見えている。窓口負担を増やすか、保険料を引き上げるか、或いはもっと税金を投入するか、何らかの対策が必要だ。当然、治療方法も含めた医療の効率化も求められている。また、未病対策も有効だ。そこで私案だが、学校で未病対策の授業をやるというのはどうだろうか。大人になる前に学んでもらおうという考えだ。

今の中学・高校の保健体育や技術家庭などでどんなことを教えているのか良く知らないまま書くので、もし既にやっていたらご容赦願いたいのだが、生活習慣病の怖さやそれを予防するための食事や運動、未病のための食事の大切さ、そして高齢になるほど地域や他人との関わりが大切であることを教えるのだ。教えるのは、教師よりも現場で働いている医師や理学療法士、栄養士や臨床心理士などに加え、不摂生が原因で実際に大病を患った高齢者が適任だろう。本からの知識よりも、現場の話の方が具体的で分かり易い。その上、職業の内容紹介にもなるから、一挙両得だ。

また、中学生や高校生など、若いうちから生活習慣病の怖さを知っていれば、そして繰り返しそういった事を学べば、例え歳を重ねて行っても、自らが生活習慣病に罹る可能性は、かなり低くなるだろう。加えて、それ以上に期待するのが、親や祖父母への愛情溢れるアドバイスだ。医者から言われたぐらいでは中々生活習慣が改善できない頑固な大人でも、子供や孫に言われたらきっと改善に取り組むに違いない。その効果を期待したい。

しかし、そういった取り組みをしたとしても、今以上の高齢化社会が訪れるのは、もう止めようがないだろう。社会保障費の財源も有限だ。尚且つ、税による負担も限界にきている。だとすれば、それらの現実を受け入れて、国家を運営していくしかない。その一番の対策は、国民一人ひとりが健康でいることだ。そうすることによって、高齢化社会だが元気で活力ある日本、という世界に誇れる新しい社会のお手本を示すことが出来るかもしれない。

実は、もうひとつ、高齢者がいつまでも元気でいてほしい理由が出来た。特に1,580万人を超える75歳以上の高齢者は、勿論これまでもそうだったのだが、9月19日の安保法成立を境に、これまで以上にこれからの日本にとってかけがえのない人たちになった。戦後70年、敗戦の年に5歳であれば、かすかに戦時中の記憶は残っているだろう。それ以上の年齢だった人には必ず残っている。そういった人たちの戦争体験が、今ほど必要なときはない。そのためにも、高齢者にはいつまでも元気でいてもらいたものである。  


【文責:知取気亭主人】


ニラの花

  
 

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