いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『一億総活躍社会』

 

2015年9月30日

先日、安倍首相が新しい「三本の矢」を提唱した。「旧三本の矢」という呼び方が正しいのかどうかわからないが、就任当初に提唱した「大胆な金融緩和」、「機動的な財政出動」、「民間の投資を喚起する成長戦略」の三つに代わり、新しいキャッチフレーズを発表したのだ。ただ、「旧三本の矢」の終了宣言も、また結果の検証も発表になっていないだけに、唐突感は否めない。とは言うものの、国民の“これから”に大きく関わってくる新しい政策テーマであるから、注意深く見守っていく必要がある。そこで、新聞記事を参考に、新しい「三本の矢」を見てみることにする。

今度の「三本の矢」は、「強い経済」、「子育て支援」、「社会保障」である。具体的には、第一の「強い経済」として、2020年度に国内総生産(GDP)を600兆円にする、という目標数値を発表した。内閣府のデータによれば2014年度のGDPは実質約526兆円であったから、今年度も含め2020年度まで毎年、対前年度比で2%強の経済成長が必要となる。是非そうなってほしいと願ってはいるが、“これから毎年”というのが結構きつそうだ。

第二の「子育て支援」では、合計特殊出生率を2014年の1.42から1.8に回復させる目標や、保育園などの待機児童をゼロにするなどの支援策を打ち出している。既に取り組んできた課題もあり、道半ばの施策を引き継いだ感が強い。子育てのし易さという観点からすると、地方創生との連携を上手く取らないと解決できない課題が多そうだ。

三番目の「社会保障」では、親の介護のために退職しなければならない「介護離職」をゼロにする、というのを重点テーマに掲げている。確かに、我々団塊の世代が高齢者の仲間入りした今、団塊ジュニア世代の「介護離職」が大量に発生する可能性は高い。前話でも書いたが、未病対策も重要な施策になるだろう。

以上の新しい「三本の矢」で、少子高齢化という日本が抱える構造的な難題にチャレンジするのだという。そして、「一億総活躍の社会」をつくり上げる、という目標を掲げた。「一億総活躍社会」、素直に受け取れば、日本国民全員が活躍できる国にする、という宣言でもある。これに異論を唱えるつもりはない。しかし、具体的にはどんな施策を考えているのだろう。「人口減少が著しい地域に住んでいる人でも活躍する社会」という意味もあるから、今の地域間格差を是正しない限り、「一億総活躍社会」は難しい。私が住む人口46万人強の金沢市は、何も手を打たなければ、45年後の2060年には35万人を切るまでに減る、と予測されている(9月24日、北陸中日新聞)。中核都市でもこの有様であるから、既に人口減少に悩んでいる地域では、さらに加速度的な減少が予想される。

元総務相の増田寛也氏が座長を務める「日本創生会議」が昨年出した予測データでは、全国1800の市区町村のうち、実に半数近い896の自治体が消滅可能都市だとしている。人口が減れば活力も低下する。活躍の場も減っていく。やはり、首都圏一極集中を何とかしないと、根本的な地域間格差はなくなりそうもないし、ましてや、その先の「一億総活躍社会」の実現も難しい。そう思っていたら、地域間格差の是正、その先鞭をつけてくれそうな施策を、今の政府も考えている事を知った。政府機関の地方移転である。

報道によれば、8月31日に締め切った中央省庁や研究機関など政府機関の地方移転に関し、首都圏以外の43道府県から希望を募ったところ、鹿児島県を除く42道府県から69機関の要望が寄せられたという。地方創生の一環としてやられたらしい。アンケートは8月下旬に実施したというから、少々募集期間が短い気もしないではないが、素晴らしいことだ。

政府のこの取り組みに対し、複数の道府県から求愛された機関をそのまま重複してカウントすると、延べ209機関に要望が寄せられた、というから結構な人気だ。例えば、観光庁の移転を希望したのは北海道と兵庫県。また、長野県と大阪府は特許庁の誘致を希望しているという。この様に、希望する道府県が重複しているものがある一方で、複数の機関を希望している道府県もある。私が住む石川県は、産業技術総合研究所の北陸センター設置や東京国立近代美術工芸館の移転などを求めたらしい(8月30日、北陸中日新聞)。

複数を希望するとしても、「誘致を希望するのは手当たり次第」ということではなく、その地域の文化や産業、或いは特性に合った機関、ということになるのだろう。勿論、そうでなければ、活力ある日本や地域創生はおぼつかない。そこでだが、それらを踏まえて上で、以前から温めていた私のアイデアの中から、皆さんに二つご披露したい

ひとつは、高地トレーニングセンターの設置である。私が帰省の時に使う東海北陸自動車道の中間辺りに、「松の木峠」というパーキング(PA)がある。このPAは、日本の高速道路で最も標高の高い地点(1,085m)と表示されている。この周辺に屋内の陸上競技場やプール、マラソンコースやサッカー場などのスポーツ施設、加えてスポーツ医学の研究所を整備するのだ。近くには温泉もあるから、疲労回復やリハビリにも環境は良い。空気も綺麗だ。スポーツ関係者の皆さん、一考する価値があると思うのだが…。

もうひとつは、宮内庁の京都への移転である。天皇陛下や皇族方には京都にお住まいになって頂き、平安京への遷都以来続いていた京の都を復活させるというはどうだろう。京都は文化庁も希望していると報道されているが、宮内庁も移転することで、世界に誇る文化都市として冠たる地位を築けると思う。この話を関西の人達に話すと、全員が全員、もろ手を挙げて賛成してくれるのだが…。

私のアイデアはさて置いて、政府機関の移転となると、省庁の抵抗はかなり激しそうである。しかし、「一億総活躍社会」のためには、抵抗にひるんでいてはだめだ。是非、大ナタを振るい、少しでも移転を実現させてほしいものである。  


【文責:知取気亭主人】


実り多き社会になってくれればいいのだが…

  
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.