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知取気亭主人の四方山話
 

『知恵比べ』

 

2015年10月21日

妻が、友人から段ボール箱いっぱいの柿をもらってきた。ただ、残念ながらそのまま食べられる甘柿ではない。干し柿用に栽培しているという渋柿だ。まだ青みがかったものもあるが、多くは渋柿だと知らなければかぶりつきたくなるような美味しそうな色に染まっていて、見ているだけで実りの秋を実感させてくれる。目も楽しませてくれるが、失敗さえしなければ、今年は自家製の干し柿を堪能できそうだ。と言っても、私は甘い物にさほど執着はない。それよりも、孫を始めとする家族の喜ぶ顔を見るが楽しみだ。加えて、初めての干し柿作りも楽しみたい。

一日置いた次の金曜日の夜、遅めの夕食を終えると、夜なべ仕事で干し柿づくりをすることになった。皮むきと吊るすまでの下ごしらえをするのだ。我々夫婦と次女の三人総出による、久し振りの夜なべ仕事だ。まず三人で全ての皮をむき、次いで一つずつ手早く熱湯にくぐらせ、更にインターネットに書いてあった焼酎にもくぐらせて、殺菌をする。皮をむいて干すだけ、と思っていただけに、結構面倒な作業が要るものである。でも、この下ごしらえで手を抜くと、恐らく、失敗に終わる確率が高くなるのだろう。だから手抜きはできない。しっかりと丁寧にやっておく必要があるのだ。

さて、焼酎にくぐらせるのが終われば、後は紐に縛って干すだけである。いよいよここからが楽しみどころである。いろいろな縛り方・吊るし方がある様だが、場所と風通しを考え、2個を紐の両端に縛り、これを一組として物干し竿に吊るすことにした。吊るす場所は、ベランダである。そして、縛る紐にも一工夫したのだが、それはある動物との知恵比べに勝つための秘策である。

我が家は、山麓に開発された古い団地の一角にある。山手に向かって30分も歩けば、雑木林の奥深い森が広がっている。また、そこまで行かなくてもわずか50mばかりの距離には、上の団地との境をなす斜面が帯状に連なっていて、面積はさほど広くないものの、結構な高木が茂っている。妻の観察によると、その高木にカラスの巣があるらしい。加えて、我が団地は、カラスの一大営巣地である金沢城公園と、餌場となっているゴミの埋め立て場の丁度中間にあって、朝な夕なに付近の上空を一団のカラスが飛んで行く。あの独特の鳴き声とともに飛んで行く様は、気持ちの良いものではない。私が住む団地は、運悪く彼らの通勤コースに位置しているのだ。そのカラスが、通勤途中で生ゴミや丹精込めて作った野菜や果物を見つけると、人に断りもなく失敬していく。何も対策を講じなければ、後1、2週間も経ち食べごろになった我が家の干し柿も、彼らの願ってもないご馳走になってしまう。絶対に地団駄は踏みたくない。

ところが、そんな悔しい経験を持った人が、ご近所にもいた。妻が得た井戸端会議の情報によると、お隣の奥さんも干し柿を作ったことがあるそうなのだが、見事にカラスにやられたという。にっくきカラスは、皮をむくこともせず、面倒な下ごしらえもせず、あまつさえ干して食べられるような世話もせず、食べごろになったのを見計らってチャッカリと失敬するのだから腹が立つ。我が家の柿も、吊り下げた翌朝には、きっとロックオンされているに違いない。となれば、必然的に、我が家もカラスとの知恵比べに突入せざるを得なかったわけである。

とまぁ、くどくど説明すればそういうことである。では、どういう手段でカラス対策をしたかというと、まず柿を縛るのに黄色のビニール紐を使うことにした。妻の実家近くでメロンを栽培している農家の話だと、カラスは黄色の物が嫌いだから、縛るのには黄色の紐が良いという。それを聞いていた妻は、貰って帰る途中に100円均一の店に寄り、黄色のビニール紐を買ってきたという訳である。

しかし、黄色の紐で縛って吊るせば終わり、だけでは心配だ。どう見ても、ベランダの手すりは格好の止まり木になる。そこで、思いついたのが、近くのごみ集積場で釣り竿の先に吊るされている、ビニールの紐である。多分、ひらひらと風に舞い、キラキラと光る物が苦手なのだろう。その集積場には、カラスが近寄っているのを見たことがない。その例に倣って、庇から黄色の紐を垂らすことにした。そうして完成したカラス対策が、次の写真だ。


秋の風物詩、ですな! 庇から垂れ下がる黄色の紐
秋の風物詩、ですな! 庇から垂れ下がる黄色の紐

右の写真が黄色の紐を垂らした状況だが、少し心配なところがある。ビニールの紐を広げ過ぎたため、凝視しないと黄色とは気が付かない可能性があるのだ。風には良くたなびいてくれるのだが、効果の程は疑わしい。しかも、インターネットで調べると、黄色が嫌いだという話も、嫌いな色があるという通説も、どうやら眉唾ものらしい。それよりもCDのようにキラキラ光る物の方が効果的だ、との情報が多い。しかし、その効果も長続きせず、我々に害はない、とカラスが理解してしまうとダメらしい。もっとも効果的なのは、常に人間がいる、というサインなのだそうだ。

でも、そう言われても四六時中付きっ切りで見ている訳にはいかない。こうなれば、CDに最後の砦を託すしかなさそうだ。そして、朝晩ベランダに立てば、さすがのカラスも諦めるに違いない。やいカラス、この勝負貰ったぜ!  


【文責:知取気亭主人】

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