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知取気亭主人の四方山話
 

『閑話五題』

 

2015年11月11日

先日、久し振りに胸のすく新聞記事を読んだ。「最近はこの手のニュースが少ないな」と一瞬思ったのだが、その気になって探してみると、意外と多いことに気が付いた。酒に呑まれているのか、はたまた孫に振り回されているのか、或いは精神的に余裕がないのか、胸のすく話題は記憶の隅に追いやられてしまうらしい。人間の記憶などままならないものだ。そこで、「忙中閑あり」ではないが、「閑話五題」と題し、私が最近胸のすく思いをしたちょっとしたいい話を五つ紹介しよう。まず、この閑話のきっかけとなった話題からだ。

その記事は、10月30日の日本経済新聞朝刊に載っていた。第一面に掲載されている「春秋」と題するコーナーで、多分編集長が毎日感ずるところを書いている、言わばエッセイのようなものだ。いつも楽しみにしているのだが、その日の記事は、「爽快な話である」との書き出しそのもの、実に胸のすく話題であった。

空中都市として有名な南米ペルーのマチュピチュ、この世界遺産のある村が、初めて友好都市を選んだという。そのお相手がどこあろう日本のとある村だった、というからビックリだ。世界的に人気の観光地を抱えていて、世界中から熱烈なラブコールがあったというが、マチュピチュ村が選んだのは、遥か地球の裏側に位置する日本の、しかも私などはこれまで聞いたこともない田舎の村だったのだ。その最初の友好都市に選ばれたのは、福島県二本松市の南西に位置する安達郡大玉村だ。なんでも、マチュピチュ村の初代村長が移民として渡った大玉村出身の方だった、ということもあって、マチュピチュ側から申し込んでいたらしい。何とも清々しい話ではないか。また、平成の大合併の波に乗らず、「大いなる田舎」をキャッチフレーズに奮闘しているという、大玉村の心意気にもスカッとさせられる、素敵な話題であった。

第二話には、絶対外せないラグビーの話題だ。もう説明の必要はないだろう。しかし、何度聞いても胸のすく話題なので、おさらいをしておく。これまで出場したワールドカップ(以降W杯)でたった1勝しかしていない日本が、今回のW杯イングランド大会で、世界の強豪を相手に、4戦して3勝も挙げる快挙を成し遂げた。惜しくも決勝リーグ進出は逃したものの、初戦では優勝の呼び声も高かった南アフリカを劇的な逆転で下し、日本のファンのみならず、世界のラグビーファンを熱狂させた。この試合が、ファン投票で、「W杯最高の瞬間」に選ばれた。「最高の瞬間」とは、勿論、引き分けを狙わず勝ちにこだわった、終了間際の逆転トライの瞬間だ。34対32、よくぞ逆転してくれた。

この「W杯最高の瞬間」部門は、今大会から新設された表彰部門で、今大会ばかりでなく過去のW杯の試合も対象にしていて、その中から選ばれたのだから鼻も高い。体格で劣る日本チームが、世界のラグビーファンを完全に虜にした瞬間でもある。もしかしたら、私にとって今年最高のスカッとかもしれない。

三話目もスポーツの話題だ。37年ぶりの金メダル、と言えばお分かりだろう。そう、英国のグラスゴーで開かれていた第46回世界体操選手権で、日本の男子チームが、長年のライバルである中国の7連覇を阻み、37年ぶりに団体の金メダルを獲得した嬉しい話題だ。内村航平選手が個人総合で6連覇を果たしたのも含め、快挙である。それにしても、近年の内村選手などの活躍もあって、そんなに長い間金メダルに無縁だったとは知らなかった。オリンピックも含めると、2004年のアテネオリンピック以来11年ぶりになるらしい。「栄光への架け橋だ!」の名セリフからもう11年も経つとは、早いものである。この勢いのまま、来年のオリンピックでも是非スカッとさせてほしいものである。

さて、四話目は、放送倫理・番組向上機構(BPO)の話題だ。私も好きな番組、NHKの「クローズアップ現代」でやらせがあった問題で、BPOは6日、NHKに対し「重大な放送倫理違反があった」との意見書を公表した。公共放送を自認しているだけに、倫理違反認定の意味は極めて重い。NHKは厳に襟を正してもらいたいものである。加えて、この問題でNHKを厳重注意した総務省と事情聴取した自民党に対しても、「圧力をかけた」として強く批判したという。BPOが政府・与党を批判するのは極めて異例なことらしい。この背景には、自民党議員の「マスコミを懲らしめるには…」などの発言により、「政府・与党による圧力」への危機感があるとみられる。とかく長いものには巻かれる風潮の強い中で、権力に媚びることなく正々堂々と論を展開する毅然とした姿に、いたく感心した次第である。

最後は、「あしなが育英会」創始者の方の話題だ。一度は耳にしたことがあると思う交通事故遺児への進学支援を続けている「あしなが育英会」、この会の創始者の一人である玉井義臣会長が、これまでの活動が認められ、教育や人権問題などの分野において世界的に貢献した人物に贈られる米国の「エレノア・ルーズベルト・ヴァルキル勲章」を授与された。

自身の母親の交通事故死をきっかけに、1967年から交通遺児の進学支援を開始し、病気や災害遺児にも対象を広げ、1993年に「あしなが育英会」を設立したという。北陸中日新聞(8日朝刊)の記事に依れば、これまでに支えた遺児は9万5千人、集めた寄付金総額は1千億円にも上るという。これだけの子供たちを支援したのだから凄い。「アフリカの遺児支援も始めた」と書かれていて、その情熱には頭が下がる。しかし、日本では勲章に縁がなかった、というから不思議だ。お役所とぶつかる事ばかりだった、というところが日本の度量では許されないのだろうか。でも、これでやっと日が当たった。素晴らしいことだ。  


【文責:知取気亭主人】


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