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知取気亭主人の四方山話
 

『科学には明るい話題が続いているのに…』

 

2016年2月17日

2月11日、ノーベル賞を間違いなく受賞するだろうと思われる、科学上の画期的な成果が発表された。皆さん既にご存知のことと思うが、アメリカを中心とする国際研究チームLIGO(ライゴ)は、アインシュタイン(1879〜1955年)が100年前に一般相対性理論でその存在を予言した「重力波」を世界で初めて観測したと発表した。その発表の席上、研究者が「科学的には月面着陸に匹敵する」と興奮気味に語ったと報道されているが、それはそうだろう。何しろ、予言したアインシュタイン自身でさえ、「重力波は極めて微弱なため、その検証は極めて困難だ」と思っていたらしいからだ。

新聞などに書かれている重力波についての記述によれば、重力波は、物体の重さが時間と空間(時空)に“ゆがみ”を作り、物体が運動した時、その“ゆがみ”がさざ波のように光速で宇宙に伝わる現象で、物体が重くて速く動くほど強い(強いと言っても極めて微弱な)重力波が出るのだという。空間はまだしも、時間にも“ゆがみ”が生じるとは、私の脳みそでは最早ついていけない。ただ、今回の成果は、「重力波天文学」の道を開く成果だと言われている。可視光天文学や電波天文学、X線天文学などに続く、新しい天文学の誕生だ。

今後は、アメリカの研究施設に加え、2017年に本格的に観測を開始する、神岡鉱山地下に昨年完成した日本の「大型低温重力電波望遠鏡KAGURA(かぐら)」、更にはヨーロッパの観測施設が協力することで、重力波発生源の方向の特定も可能になるという。昨年ノーベル賞を受賞した梶田博士もインタビューで言っていたが、これからブラックホールのことがどんどん明らかになり、宇宙のことも生命のことも、まだ謎となっている多くの事柄が解き明かされていくに違いない。楽しみだ。

しかし、科学の進歩とはすごいものである。100年間で、検証が難しいとされた重力波でさえ観測できるようになった。アインシュタインもさぞかし喜んでいることだろう。実は、宇宙以外でも、進歩のすごさを垣間見ることができる研究成果が最近報道され、日本で話題となっている。重力波観測の報からさかのぼること約1カ月、新しい元素の命名権が発見した日本の研究チームに与えられ、元素周期表に初めて日本発の名前が付けられることになった、という日本人にとって大変嬉しいニュースが紙面を飾ったのだ。

大学受験の時に、「水兵リーベ僕の船…」と周期表を暗記した諸兄もおられるだろう。最も軽い水素から順に重たくなっていくこの周期表で、原子番号113番の新元素を、日本の理化学研究所仁科加速器研究センターのチームが合成・発見し、欧米以外で初めて新元素の命名権を獲得した、というビッグニュースがテレビや新聞を賑わした。元素は現在、118番まで見つかっているのだが、今回の113番以外の合成・発見はすべて欧米の研究者たちで、欧米以外では初の快挙だという。因みに、92番の元素はウラン238なのだが、これに続く93番以降は、人工的に合成された原子ばかりらしい。

ただ、元素の合成・発見と言われても、それがどれほど大変な事かあまりピンとこない。というのも、日ごろ元素についてほとんど意識しない私など、受験の時に元素を記号で覚えるのが関の山だったからだ。ところが、新元素の合成・発見には極めて厳しいルールがあって、そのルールをクリヤーしないと、国際機関から認定されないのだそうだ。つまり、命名権は与えられないのだ。今回の快挙は、そのルールをクリヤーするために、9年の歳月と400兆回にも及ぶ気の遠くなるような、既存の原子同士の衝突を繰り返した結果だという(理研のホームページ、http://www.nishina.riken.jp/113/より)。すごい執念である。

しかし、新元素発見への執念は各国も同じで、未発見の元素の研究をめぐり、理研の研究グループは米露独などと激しく競っているという。理研では、今回の113番の検出に使った装置の改良版を使い、119、120番の元素の合成・発見も目指しているらしい。ところで、今回合成・発見した113番には、どんな名前が付けられるのだろうか。日本にちなんで、「ジャポニウム」なども候補に挙がっているそうだが…。

さて、科学の世界では、今年に入ってこのように世界的な明るい話題が相次いで報道され、さしずめ科学年のようなスタートとなった、と思っている。ところが、同時に相反する暗いニュースも聞こえてきていて、科学技術を平和目的だけに限定して利用する難しさも感じている。北朝鮮の水爆実験と人工衛星打ち上げと称する弾道ミサイル発射実験のことだ。

各国の制止も聞かず強行した北朝鮮の蛮行は、平和利用とは真逆だ。他の核保有国も似たり寄ったりの所はあるが、それでも他の国には、自制も働き国際秩序には従うだろうという安心感を多少は持てる。ところが、自分に背けば取り巻きでさえ有無を言わさず粛清する北朝鮮は、何を仕出かすか分からない恐ろしさがある。最先端の科学技術を、国民のためにではなく、独裁を維持するためにだけ利用している様は、まるでわがままな腕白坊主だ。

独裁国家は、先進の科学技術をもてあそぶべきではない。科学技術は人類の平和のために利用してこそ価値がある。しかし、欲の深い人類は、なかなかそんな境地に辿り着けないのかもしれない。「人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする」としたノーベルの遺言は、為政者には届かないものなのだろうか。

もっとも、東京電力福島第1原発事故を受けて国が原発周辺などで行っている除染で、基準となる年間被ばく量を1ミリシーベルトとしている点について、「何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと述べた丸川珠代環境大臣が、原発事故を起こした日本の、しかも環境大臣だという事を考えると、日本の為政者にも届いていそうもない。ノーベルもきっと嘆いているに違いない。  


【文責:知取気亭主人】


丸川大臣、あなたの発言を聞いた福島の人たちの心模様です。

  
 

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