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知取気亭主人の四方山話
 

『先人の教えが通用しない』

 

2016年2月24日

科学技術の発達によって随分と便利になった現代社会でも、どこの国や民族にも、必ず先人の教えが残っているものである。それは、農業や漁業のことであったり、天候のことであったり、また日々の生活の中で気を付けなくてはいけない戒めなどだ。日本にも、そういった先人の教えがたくさんあって、諺や言い伝えとして残っている。そんな諺の中に、「覆水盆に返らず」というのがある。

中国、周代の政治家で太公望とも呼ばれていた呂尚の故事によるらしい。仕事をしないで本ばかり読んでいた太公望に愛想を尽かした妻が、離縁して出って行った。ところが、やがて彼が出世したことを知り、復縁を申し出たのだという。この妻に対し、お盆の上に水を入れた器を運んできて器の水を床にこぼしてみせ、「こぼれたこの水を盆の上に戻してみよ」と言った。当然出来るはずがない。それを見た太公望は、「一度こぼれた水は二度と盆の上に戻すことは出来ない。それと同じように私とお前との間も元に戻る事はありえない」と復縁を断ったのだという。そこから、一度起こしてしまった事は決して元に返すことはない、という我々も良く知っている教えに繋がっている。

よく知られた諺だが、この教え、今でも通用するのだろうか。「勿論通用するさ!」と断言できればいいのだが、悲しいかな、今の私には「日本ではもはや通用しないのではないか」との疑念が生じ始めている。ここ最近のニュースを聞いていると、「こぼれた水でもお盆に返せる」と思い込んでいる人達がかなりいそうな気配なのだ。特に政治家の中に…。

最近やたらと国会議員の先生方の舌禍が目立ち、気になっている。昔からそうなのかもしれないのだが、記憶に残っている最近のものだけを挙げても、結構な数に上るのだ。順不同だが、以下に思い付くまま書き並べてみた。

昨年、安保法案で国会も市中も大揺れに揺れている時期に、「安保法案の法的安定性は関係ない」とオッたまげた発言をした礒崎首相補佐官。それと呼応するように、安保法案反対の声を上げ、国会周辺のデモで中心的役割を果たしていたシールズの学生たちに対して、「『戦争に行きたくない』は利己的個人主義」と、挑発発言をした武藤貴也議員。驚きの発言は、この二人に留まらない。

自民党の外交関係合同会議で、桜田義孝元文部科学副大臣が、慰安婦問題に関し「職業としての娼婦、ビジネスだ。それを犠牲者だったかのようにしている宣伝工作に、惑わされ過ぎている」と、折角この問題に関し韓国と政治決着が見えて来たというのに、無神経な、政府の政治努力を少しも理解してない低俗発言で世間を驚かせた。テレビが入る国会の場ではないから、という気の緩みが本音を言わせたのだろうが、情けない。

また、前号の四方山話でも登場してもらったが、除染における放射能の追加被曝線量の長期目標・年間1ミリシーベルトを、「何の科学的根拠もなく、時の環境大臣が決めた」と言い放った丸川珠代環境大臣の発言にも、被災地の人たちを始め、多くの国民が耳を疑った。自分が担当する分野については、もっと勉強してもらわなくては困る。勉強不足と言えば、自分が担当する北方領土の歯舞(はぼまい)を読めなかった島尻安伊子沖縄北方担当大臣も、お粗末すぎる。二人とも担当大臣失格だ。

極めつけは、丸山和也参議院議員だろう。「黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ、ハッキリ言って…」など、米国のオバマ大統領を侮辱するような、しかも人種差別とも取れる問題発言が、親米国家を標ぼうする日本の現職の国会議員で、その上与党自民党の法務部会長によるものだというから信じられない。米国が大人の対応をしてくれているから良いようなものの、一歩間違えれば日米関係にヒビを生じさせかねない問題発言だ。しかも、その後の対応が悪い。「私の意図するところとは違う。議事録を精査して、幹事の了解を得て、訂正か削除をしたい」と、悪あがきとも取れる発言をして、印象の悪さに拍車を掛けてしまった。まさに、訂正や削除をすれば、「こぼれた水でもお盆に返すことが出来る」と思い込んでいる節がある。もっとも、これは丸山議員ばかりでなく、前出の先生方殆どに言えることだ。国会議員はそれが通せる、とでも思っているのだろう。民間では、とても許されない。

丸山議員の発言が問題視された丁度その頃、プロボクシングの世界主要四団体で6階級を制した名選手マニー・パッキャオが、スポーツ用品大手のナイキとの契約を打ち切られた、という小さな記事が新聞に載った(2月19日、北陸中日新聞朝刊)。打ち切りの原因は、彼の発言だ。母国(フィリピン)のテレビ局の取材で、「同性愛は動物以下だ」などと述べて、「あらゆる差別に反対する」とするナイキから三行半を突き付けられたというのだ。こと左様に、民間では、「撤回するから無かったことにして」は通用しない。

しかし、何時の頃から国会議員の質がこれほど低下したのだろう。しかも、低下は上述の自民党議員ばかりでなく、国会議員全体に言えそうなのだ。民主党の元大臣先生の舌禍も相当ひどい。甘利明・前経済再生担当大臣が睡眠障害の診断書を国会に提出したことを捩って、「安倍首相を睡眠障害にしちゃえ…」などと低俗な気勢を上げた中川正春・元文科大臣だ。書いているだけで溜息が出てしまう。

先生方、しっかりしてくださいよ!「覆水盆に…」ばかりでなく、「吐いた唾は飲めぬ」の諺もあるんですよ!  


【文責:知取気亭主人】


自然界では春がそこまで来ているのだが…

  
 

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