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知取気亭主人の四方山話
 

『花見』

 

2016年4月6日

卒業・入学シーズンの到来とともに、桜前線が北上中だ。この頃になるとほとんどのテレビ局で、どこまで開花宣言が出されたか、その北上の様子が頻繁に日本地図に示されるようになる。ここ金沢でも、先週の中ごろに、待ち遠しかった開花宣言が発表された。毎年のことながら、冬の間中ほとんど白黒の世界だったところに、赤や黄色など色鮮やかな春の花の競演が始まったことに加え、風景を一気に変える桜が色づいてきたこともあってか、この頃になると何となく町中が華やいでくる。

開花宣言が出されると、次に気になるのが、満開予想だ。寒さがぶり返せば満開は先に延びるし、一気に気温が上がれば日を待たずにすぐ満開になるし、満開時期と雨が重なると楽しむことなく散ってしまうこともあって、満開の桜を楽しむことができるかどうか、多くの花見好きが気を揉んでいる。私もその一人だ。「金沢の満開は6日頃になりそうだ」とのこともあり、「一気に華やぐのは来週の中ごろあたりか」と思っていたのだが、どうやら金沢の満開は駆け足でやってきたらしい。

確かに、開花宣言が出された頃は、通勤途中にある兼六園や金沢城公園の桜はチラホラ咲だった。ところが、気温が一気に上昇したためか、金曜日(1日)に車から見たときには、もう満開ではないかと思ったぐらい咲き誇っている。加えて、次の土曜日、掛かり付けの医院からの帰りに家の近くを流れる浅野川沿いを散歩したのだが、もうほとんど満開となっている。風が強かった時があったのか、道には散った花びらさえ見える。どうやら、満開は、気象台の予想より随分と早まりそうだ。しかも、月曜日は雨の予報が出ている。家内も息子夫婦も「下手をしたら月曜日の雨で散ってしまう」と思ったのだろう、孫が生まれて以来定番となっている花見を、今年も日曜日に楽しむことにした。

花見といっても、「豪華な花見弁当と大好きなお酒を持参して…」という昔のスタイルとは程遠く、おにぎりなど簡単な弁当を食べて孫たちの遊びの相手をする、という程度のものである。必ずアルコールが付き物だった以前の“花見”に比べると、個人的には随分と寂しくなってきた。もっとも、動きの予測がつかない孫相手では、多分アルコール抜きが正解だ。以前と同じであれば、帰るころには恐らく粗大ごみ化していることになる。また、車社会になってしまった現代では、金沢などの地方都市では何をするにも車が必要で、必然的にアルコールはご法度のことが増えてくる。日曜日に行った公園での花見も、アルコール抜きのいたって健康的なものとなった。

金沢市内に卯辰山という、金沢市内は勿論、晴れた日には日本海まで望める見晴らしの良い場所がある。一帯は公園として整備されていて、ゴルフ場跡地の広い芝生緑地が有ったり、相撲場が有ったりして、山全体が市民憩いの場となっている。その一角に、駐車場と周辺に40〜50本の桜の木が植えられた、サッカーコート一面ほどの公園がある。桜も愛でられるし、子供を遊ばせるにももってこいの場所で、天気の良い休日には、親子連れで賑わっている。花見に出かけた日曜日も、結構な数の親子連れが訪れていて、駐車場は満車状態だ。桜の木の下で食事をしている親子も多い。

敷物を敷きそれとなく見渡すと、殆どの親子連れは我々と同じような、アルコール抜きのスタイルで花見と遊びを楽しんでいる。ところが一角だけ、大人数で楽しんでいる人達がいて、そこには遠目でもそれと分かる生ビールの樽が、これ見よがしに鎮座している。いやしいもので、思わず喉が鳴る。景気の良い乾杯の音頭も聞こえてくる。参加者の様子だと、どこかの町内会のようにも見える。ところが、話の内容を聴くとはなしに聞いていると、どこかの宗教団体らしい。しかも、バスで乗り付けたとも話しをしていて、パッと見40、50人ほどもいる。何やら、バーベキューの用意もしているらしい。羨ましい限りだ。

しかし、乾杯や挨拶の声はスピーカー越しに聞こえるのだけれど、一向に桜の花を愛でている様子が無い。飲むことと、食べること、加えて次々と話し手が変わる話に耳を傾けるのに夢中になっているのか、桜を見ている人がほとんどいないのだ。

それを見ながら、呑兵衛は皆そうなのかな、と我が身を振り返ってみた。振り返ると、そこには彼らと全く一緒の私がいる。アルコールが入ると私も騒ぐことに一生懸命で、桜の見事さが記憶に残っている花見などというのは全くない。記憶に残っているのは、孫と一緒に出掛けるようになってからだ。孫達には聞かせられないが、本当は花見好きを気取るほど風流人ではない、ということだ。

でも、多少は桜を楽しんでいる証拠に、土日の桜をご覧いただこう。これを見れば、風流人の片鱗を感じ取って頂けるかも…。

 



公園駐車場の枝垂桜

公園周縁の桜

 

浅野川の堤防に咲く桜

【文責:知取気亭主人】

  
 

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