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知取気亭主人の四方山話
 

『なぜ“ずる”がはびこる?』

 

2016年5月25日

昨年来、自動車業界がかまびすしい。具体的な中身は違うものの、海外メーカーに端を発した不正が、国内外のメーカーに広がり始めているからだ。以前、現代自動車の燃費不正がアメリカで物議を醸しているとニュースで知った時には、「どこか遠い国の出来事だ」ぐらいに思っていたのだが、昨年、販売台数で世界1、2を争うフォルクスワーゲン社(以下、VW)が排ガス不正を働いたことが暴露され、世界のトップメーカーがそんなセコイことをするのかと驚いたものだった。

それでもまだ、とんでもない不正を働くのは海外メーカーだけだろう、と対岸の火事を決め込んでいたところ、あろうことか火の粉は国内メーカーにも飛び火し、日本ブランドに暗雲が立ち込め始めている。知っての通り、三菱自動車(以下、三菱)の排ガス不正と燃費不正に加え、スズキ自動車(以下、スズキ)も燃費試験を不正な方法で行ったことが明らかになったのだ。しかも、最近になって、VWや三菱、スズキばかりでなく、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(以下、FCA)も、VWと同じく、違法ソフトウエアを使用していた疑いが持たれていると報じられていて、火種は消えるどころか益々燃え広がっているように見える。こうした企業のやり方は、「不正」よりも「ずる」と表現する方がピンとくるかもしれない。そこで、以下は“ずる”を用いて書き進めることにする。

前述した“ずる”は、走行の安全性を根本から損なうようなものではない。しかし、私は業界そのものに“ずる”の温床があるのではないかと疑っていて、自動車業界に対する不信感は募るばかりだ。下手をすると業界全体の一大スキャンダルになりかねない、とみている。

自動車業界は、車の排気ガスが地球温暖化を促進させる原因のひとつと捉えられているため、環境に対して少しでも負荷の少ない車を提供することが求められていて、生き残りをかけた競争は激化の一途を辿っている。前述のメーカーが手を染めた、排ガスの低減も燃費の向上も、その一つである。そこは理解できる。しかし、だからと言って消費者を欺くような行為はいただけない。カタログに記載されているデータが故意に操作されているとしたら、それは詐欺だ。そして、これらの詐欺行為が会社ぐるみで行われていた可能性が高く、そういう意味でも、業界に“ずる”の温床があるのではないか、と疑っているのだ。

燃費に関して言えば、以前からカタログ値と実際の値との間に乖離があることは周知の事実で、消費者はカタログ値など殆ど信用していない。恐らく、多くの人は、カタログ値の6割とか7割程度が実際の燃費だろうと思っている。そうしたことからすると、実際とはかけ離れたカタログ値を認めている国にも責任の一端があるように思えてならない。いっそ燃費を算出する試験を第三者機関に任せたらどうだろう。決められた公道を一斉に走って、15〜18q/gのように幅を持たせて表示するのだ。同じ公道で比較すれば、姑息な手段は通用しなくなると思うのだが…。

しかし、自動車業界に限らず、世の中にはどうしてこんなに“ずる”がはびこっているのだろうか。“ずる”と縁のないように思えるスポーツ界も、蚊帳の外ではない。ロシアにあっては国家そのものの係わりも取り沙汰されているドーピング問題が、サッカー界では国際サッカー連盟(FIFA)幹部の買収問題など、世界のスポーツ界を震撼させる“ずる”が相次いでいる。リオ五輪直前の時期として気になるドーピングに焦点を当てると、アメリカ大リーグの現役を筆頭に、オリンピックのメダルを剥奪されたメダリストなど、ドーピングに手を染める選手がいまだに引きも切らない。国威発揚が強すぎるのか、それともドーピングの効果が絶大だからなのか、それともメダルの報奨金が高額だからなのか、いずれにしても“ずる”をするスポーツ選手は、これからも後を絶たないだろう。

スポーツの世界ばかりではない。もっと直接的に金銭が動く経済の世界に目を転じると、市井の人々から疑念と蔑視の目で見られる、世界的規模の“ずる”が明るみに出ようとしている。政治・経済を担う著名人が戦々恐々としている、パナマ文書である。タックスヘイブンを使った、庶民には一生縁のない“ずる”が、秘かに行われていたのが明るみに出て、お隣の国では箝口令までしかれているらしい。日本でも何人かの個人と法人名が出ているようだ。実際“ずる”をしていたかどうかは不明だが、我々からすると名前が挙がるだけでも羨ましい限りである。また、そのやり方は法の盲点を突いていて、一見すると合法的な取引として行われているとも言われていて、罪に問われない可能性もあるらしい。どう考えても釈然としない。持たない者のヒガミだと分かってはいるが、「悪銭身に付かず」を地で行ってくれないかな、と意地悪なことを考えてしまう。

パナマ文書よりももっと身近なところでも、 “ずる”で評判を落としている御仁がいる。東京都の舛添要一知事だ。詳細を書く気も起らないが、彼の思考は小学生並みだ。とても、世界の大都市東京のトップとは思えない。同じ日本人として恥ずかしい限りである。

舛添都知事に代表されるように、“ずる”をしでかした人たちは、かなり欲深だ。“ずる”をしてまで手に入れたい物があるのだから、そういわれても仕方がない。そんな人たちに、「世界一貧しい大統領」として知られたウルグアイのムヒカ前大統領の言葉を聞かせてやりたい。彼は、「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と述べていて、欲望が人の心を貧しくさせることを見抜いている。心が貧しくなれば、“ずる”にも手を染める、という訳である。

かく言う私もかなりの欲深だ。「人間浅いようで深いのが欲」とよく言われるが、今のままでも幸せを感じる尺度を持ちたいものである。


【文責:知取気亭主人】


“ずる”をしないでもアメンボのようにスイスイと世渡りをしたいものだ

  
 

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