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知取気亭主人の四方山話
 

『かゆみ』

 

2016年6月15日

ヒトは、“痛み”と“かゆみ”、どちらが我慢強いだろうか。勿論、程度にもよる。脳に近い歯だとか耳の痛み、あるいはもっと直接的な頭痛だとかは、なかなか我慢しにくい。しかし、 “かゆみ”なら我慢できるか、と言えばそうでもなく、こちらも負けず劣らずだ。掻けば一時的に治まることから、手が届くところは、かゆみを感じるとすぐに掻いてしまう。蚊に刺された時など、その典型だ。私も蚊は苦手で、かゆいし、腫れる。でも、それ以上にかゆかった経験もある。サバにあたったときだ。かゆみに加え全身にジンマシンが出て、堪らず大学病院の救急外来に駆け込んだ。ところが、かゆみの神様は悪戯好きなのか、それに劣らずかゆかったことも体験させられた。しかも2回も。犯人は、この四方山話の第1話の題材にした、チャドクガだ。

ツバキの木を剪定していて、ただの毛虫と思って構わず半そで姿で剪定していたところ、みごとにやられてしまった。あの時もかゆかった。ただ、2回目のチャドクガ事件以降は、体の広い範囲が同時にかゆくなるようなことはない。これでも、少しは学習しているのだ。しかし、その一方で、体のある特定部分が突然かゆくなる、という事態が還暦を過ぎたあたりから増えてきた。今、良くかゆくなるのは3か所だ。悪さをしている原因はこれだろう、と当たりはつくのだが、メカニズムは良く分からない。

まず1か所は耳だ。細かく言えば、耳垢が溜まる外耳道と呼ばれるところだ。確か5、6年前ごろから、外耳道の出口当りが、何の前触れもなく突然かゆくなるようになった。どちらか決まった一方ではなく、左右どちらもなる。ただ、“耳かき”で耳掃除をするだけで、かゆみは嘘みたいに直ぐに治まる。どうやら、耳垢がかゆみを誘発しているらしい。若いころはそんなことなかったのだが、加齢とともに体質まで変わってしまったのだろうか。

しかも、最近では1日に何回もかゆくなることがある。その度に耳掃除をしているから耳垢はそんなに溜まっていないのだが、とにかく耳垢が少なくてもかゆくなる。お陰で、耳の聞こえはすこぶる快調だ。ひょっとしたら、私の体自身が、耳垢が溜まって聞こえが悪くなるのを防いでいるのかもしれない。だとしたら、有り難いことである。

2か所目は、背中の左肩甲骨の下端付近で、脇に近いところだ。そこに幼児の手のひら大の“かゆみスポット”があって、よくそこがかゆくなる。夜家でパソコンに向かっている時にかゆくなることが多く、パソコン脇にある孫の手を使ったり、妻の手を使ったり、もとい、妻にかいてもらったりしている。妻の見立てだと、かゆみスポットにはニキビのような“赤いプツン”やら“ほくろの様なもの”があって、かゆみを訴えるのは、大体いつも同じところらしい。冬場にはかゆみの頻度が下がることから、体温との関係があるのかもしれない。

かゆみの原因は“赤いプツン”ではないかと疑っているのだが、本当のところはどうなのだろう。また、“ほくろ”がかゆくなるのはあまり良いことではない、とも聞いているから、時々妻にかゆみスポットの観察をお願いしているのだが、「今のところ気になるようなことはない」というので安心している。それにしても、私が命名した“かゆみスポット”など、本当にあるのだろうか。書いてはみたものの疑問が残る。

さて、最後の3カ所目は、左手首だ。丁度、腕時計のバンドが触れるところが時々かゆくなる。今しているのは、61歳の時に、子供達から“結婚30周年記念”としてもらったペアウォッチだ。バンドはステンレス。使い始めて2年目ぐらいから、少しずつかゆみを感じるようになってきた。それまでもステンレスバンドの腕時計を何十年も使っていたのだが、一度も金属アレルギーの症状が出たことはない。しかし、どう考えても、金属アレルギー以外の原因は考えにくい。何しろ、かゆくなるのがバンドの、しかも少しだけ飛び出ている止め金具が触れる場所に限られているからだ。

発疹やかぶれが起きているわけではないし、かといって掻きむしりたくなるほどかゆいわけでもないが、突然思い出したようにかゆくなる。ただ、子供たちにプレゼントしてもらった思い出の品だけに、ずっと使い続けている。でも、金属アレルギーというのは、突然発症するものなのだろうか。アレルギーの代表選手である花粉症はコップに水を少しずつ注いでいるとある日満杯になって溢れ出すのと同じようにある日突然発症する、と聞くから、金属アレルギーもその可能性は十分ある。

とは言うものの、金属に触れただけなのにかゆくなるとは不思議だ。そんな不思議な現象が少し解き明かされた、との新聞記事を読んだ。今月11日の日本経済新聞(以下、日経)朝刊だ。大阪大学の東阪和馬助教のチームが、免疫反応の引き金となる物質は体内に入った超微細な粒子(金属ナノ粒子)だ、と特定したとある。汗などによって溶け出した金属イオンが皮膚などから入って凝集し、超微細な粒子となることで金属アレルギーの発症につながるのではないか、とみているらしい。「考えられないことではないな」とは思うが、もしそうだとしたら、「恐るべし、ヒトの汗」である。

ところで、日経の昨年4月22日の朝刊に、アトピー性皮膚炎の症状は皮膚にいる一部の細菌が偏ることで起こることをマウスの実験で突き止めた、との記事が掲載されていた。また、昨年7月21日には、同じアトピー関連で、「アトピー性皮膚炎による慢性的なかゆみは、脊椎にある特定の細胞が活性化して引き起こされる」との研究成果に関する記事も掲載されていた。これら日経の3件の記事を読むと、一言で“かゆみ”と言っても、そのメカニズムは極めて複雑なことが良く分かる。

“痛み”もそうだが、“かゆみ”は「ここがおかしいぞ!」と知らせる危険信号だ、と考えれば、たかが“かゆみ”、と侮ってはいけないのかもしれない。


【文責:知取気亭主人】


ルピナス(和名:昇り藤)

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