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知取気亭主人の四方山話
 

『今年の夏は?』

 

2016年7月6日

金沢が暑い。7月の声を聞いたとたん、今シーズン初の猛暑日となる37度を記録し、富山県の高岡伏木と共に日本一の暑さを記録した。ただ、このまま猛暑の夏に突入するのかと思いきや、一転翌3日には10度近くも下がり、猛暑への覚悟を決めたばかりの体が驚いている。一体、今年の夏はどうなるのだろう。予想されているように、猛暑の夏となるのだろうか。

ニュース番組の気象コーナーで度々報道されていたように、今年は台風特異年にあたるのかその発生が遅く、7月3日になってやっと1号が発生した。気象庁のデータを調べてみると、6月末まで台風発生がゼロだったのは、統計のある1951年以降、1973年と1998年の2回しかない(http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/index.html)。半世紀以上の間にたった2回しかないのだから、極めて珍しい現象だ。

この過去2回と今年の共通点は、春まで「エルニーニョ現象」が発生していることだ(表1参照)。気になる夏の気温も似てくるのかと思い、調べてみた。ところが、金沢の8月平均気温に着目してみると、日平均気温、日最高気温、日最低気温とも、前後の年より明らかに高かったのは1973年だけで、2回目の特異年となった1998年は前後の年と比べて明らかな違いはない。日平均気温、日最高気温は逆に低いぐらいだ。

ところが、気象庁は、夏から「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高いとみていて、この「ラニーニャ現象」が生じると、太平洋高気圧が強まり、日本では気温が高くなりやすくなると判断している。そうしたことから、「今年の夏は猛暑の夏になる恐れがある」とみているのだが、果たしてこの予想は当たるのだろうか。

そこで、金沢市の8月平均気温に着目し、台風の統計がある1951年以降2015年までの気象庁データ(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php)を基に、表1と図1を作成した。なお、「エルニーニョ現象」と「ラニーニャ現象」の定義は、気象庁のホームページを参照されたい。また、図1の横軸上に、  で「ラニーニャ現象」が現れた概略の時期を示した。ただし、表1に示した時期と多少ずれたところもあるが、ご容赦願いたい。

 図1.金沢における8月平均気温


表1.エルニーニョ/ラニーニャ現象と金沢の8月平均気温

さて、「ラニーニャ現象」が現れると、本当に猛暑の夏になるのだろうか。図1に示した“日最高気温”のグラフを見ていただきたい。そのようにも見えるし、そうでもないように思える年もあって、金沢という特定の観測地点データではあるが、「“ラニーニャ現象”の年は確実に猛暑の夏になる」と明確に言い切れないことが分かる。ただ、繰り返しになるが、図1作成に使用したデータは金沢のみ、しかも8月の平均気温だけであるから、日本全体を議論するにはどだい無理があるのかもしれない。

ところが、本来知りたかった「“ラニーニャ現象”と“夏の猛暑”との因果関係」は立証できなかったものの、面白い結果を知ることができた。それは、「金沢では…」という但し書きは付くが、「1951年以降、8月平均気温の“日平均気温”と“日最低気温”は、比較的明確な上昇傾向にあるのに、“日最高気温”の上昇傾向はさほど顕著でない」という事である。ただ何となくではあるが、ここ数年感じている「金沢に来た頃から子供たちが小さかった頃まで(1970〜1990年代)に比べると最近の金沢は随分と暑くなってきた」の感覚と、少しずれているようにも思える。それには、二つの原因があるのではないかと考えている。

一つは、最高気温はさほど上昇していないのに最低気温の方が上昇しているため、夜になっても暑さが残り、結果的に一日中暑さを感じているからではないだろうか。平たく言えば、寝苦しい夜が増えてきているためではないか、ということだ。そして今一つは、冗談半分ながら、昔はなかった「猛暑日」などという言葉が毎年ニュースから流れてきて、「日本の夏は確実に暑くなってきている」と刷り込められているため、なのではないだろうか。

ただ、“日最高気温”のグラフをよく見ると、全体を通して見た場合には顕著ではないのだが、2000年以降に限ると、上昇傾向がハッキリしてきているようにも見える。多分、その傾向は正解なのだろう。だとすると、「ラニーニャ現象」が現れなくても今年は猛暑の夏になる、と予想するのだが…。さて、如何なることやら。

ところで、前話で掲載した写真の、ツマグロヒョウモンの蛹らしきものを、孫娘が見つけた。ツマグロヒョウモンは、近年の温暖化によって北に勢力を伸ばしている蝶のひとつらしい。我が家の庭で初めて見つけたこんな小さな生物が、実は、金沢での気温上昇を如実に物語っている。自然センサーは正直だ。


【文責:知取気亭主人】

ツマグロヒョウモンの幼虫  ツマグロヒョウモン(?)の蛹
ツマグロヒョウモンの幼虫 ツマグロヒョウモン(?)の蛹
  

 

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