いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『ランドセル』

 

2016年8月3日

今、日本列島は灼熱地獄の様相だ。ここ金沢もご多分に漏れず、連日うだるような猛暑が続いている。7月最後の日となった日曜日も30度を超え、外へ出る気にもなれない。こんな日は、冷房の効いた部屋でキンキンに冷えたビールを飲み、のんびり昼寝などしているのに限る。しかし、貧乏性ゆえか、休日でもなかなかノンビリできないでいる。でも、やっぱりビールと昼寝が恋しいなぁ〜。

そんな生唾の出るような欲望はさておいて、「こんな夏の暑い日の定番と聞いて連想するのは何だ?」と問われれば、子供の頃の“虫取り”や川での“水遊び”、それに子供たちをよく連れて行った“キャンプ”、各地で開かれる花火大会、そして“お盆の墓参り”などが思い浮かぶ。また、朝のラジオ体操は、今でも夏の決まりごとだ。夏と聞いて浮かんでくるのは、そんなとこだろう。

ところが、今の時代はそれ以外にも夏定番の催し物があるらしい。聞いて驚くなかれ、来年4月に一年生になる幼稚園園児や保育園児に向けてのランドセルセールが、今真っ最中だというのだ。お盆の頃がセールの最盛期らしい。まだ半年以上も有り、年が明けてからでも十分間に合うのに、こんな夏のくそ暑いときにまさか来年のランドセルのセールが行われているとは、時代が変われば変わるものである。

NHKラジオでも聞いたことがあるのだが、子供たちが夏休みに入ると、8月のお盆の頃を中心に田舎に里帰りする人たちが多く、その時に爺ちゃん・婆ちゃんが孫へのプレゼントとしてランドセルを買い求めるのが増えるのだという。そのチャンスを逃してなるものかと、商魂逞しくセールを開いている、という訳だ。それにしても、「いささか早くないかい?」と疑問を呈したくなるのだが、ところがどっこい、孫の可愛さに季節は関係ないのだ。

実はかく言う私も、孫には内緒で、昨年の暮れ辺りから、近くのショッピングセンターに出かけた際に、ちょこちょこ、どんなランドセルがあるのか様子を見ていたのだ。孫娘が年中さんの時から気に掛けていた訳で、正直、「幾らなんでも夏のセールは早すぎる」と大きな声で言える身分ではないのだ。しかし、一言でランドセルと言っても、その品数の多さにはびっくりしてしまう。また、目が飛び出るような高額商品もあって、ついつい、「こんなに高かったら、もったいなくて使わせられないのではないか」と心配になってしまう。

我が家の子供たちの頃は幾らぐらいだったかよく覚えていないのだが、今は、5万円台を中心に、3万円台から10万を超すものまである。見ただけでは値段の差はどこなのかさっぱりわからないが、とにかく種類は多い。嫁の話だと、ランドセル専門店では22万円ほどするものもあるというからビックリだ。パッと見、明らかにキャラクターの使用料が上乗せされていると思われるものもあって、「どうせ興味を示すのは低学年の時だけだろうに!」と思うと、子供には目の毒だ。

日曜日、嫁と孫娘でランドセル専門店に行ったらしく、その日の午後、「このランドセルにしたよ」と、家内の携帯に写真が送られてきた。見ると、女の子らしい赤色だ。爺の欲目を差し引いても、よく似合う。可愛らしいもんだ。思わず、相好を崩してしまう。結局、こうなるから、たとえ半年以上も前でこの夏のくそ暑い時でも、ランドセルセールは盛況なのだろう。爺・婆は、たくましい商魂に完敗である。

しかも、写真だけではない。嫁のお里のご両親と我々夫婦の両爺・婆からのプレゼントという事で、耳に当てた携帯から「ありがとう」の可愛らしい声も聞こえてきた。愛らしいプレゼントのお返しに、爺・婆はもうメロメロだ。あれほど暑さに参っていたのに、そんな気分はどこかに吹き飛んでしまった。爺・婆に対する孫の効能は、どんな高額な薬よりも有りそうだ。元気でいるためには、孫の喜ぶ顔や声が何よりの特効薬であるのは間違いなさそうである。

    

ところで、皆さんは、ランドセルの語源をご存じだろうか。手元にある旺文社の「国語辞典」には、「<オランダranselから>学童用の背負いカバン」と書かれていて、どうやら、オランダ語からきているらしい。ネットの「語源由来辞典」にもオランダ語が由来だと書かれていて、幕末に兵士が背負うリュックのような布製の袋(背嚢)として輸入されたものであったらしい (http://gogen-allguide.com/ra/ransel.html)。

同「語源由来辞典」には、現在のランドセルの原型に内閣総理大臣だった伊藤博文や皇太子だった頃の大正天皇が係わっている、とあって大変興味深い。また、ランドセルが全国の小学校に普及したのが、昭和30年代以降というのも面白い。というのも、私が入学したのが丁度昭和30年で、確かランドセルではなく布の袋を持って行ったような記憶があるからだ。当時は、敗戦からまだ10年しか経っていなくて、まだまだ物のない時代であったから、私のようにランドセルが買えない家庭がたくさんあったのだ。それを思うと、孫にはついつい甘くなる。それもこれも平和であってこそ、なのだが…。


【文責:知取気亭主人】

ムラサキツユクサ
ムラサキツユクサ

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.