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知取気亭主人の四方山話
 

『パラリンピックあれやこれや』

 

2016年9月28日

日本時間の19日朝、12日間にわたって熱い戦いが繰り広げられた「リオデジャネイロパラリンピック」が幕を閉じた。20日の北陸中日新聞には、オリンピックよりやや少ない159の国と地域、そして難民選手団の4300人以上が参加した、とある。ドーピング問題でロシア選手団が不参加となったことに加え、男子の自転車競技でイランの選手が亡くなるという悲しい出来事もあったが、あの熱戦を見るにつけ、「成功裏に終わった」と胸を張って言える大会ではなかったかと思う。

一方、「日本の成績は?」というと、132人の選手を送り込んだ日本選手団ではあったが、金メダル10個の目標には遠く及ばず、結果的に金メダルはゼロで終わってしまった。ただ、銀メダル10個、銅メダル14個の計24個のメダルを獲得し、前回ロンドンの16個(金5、銀5、銅6)を上回ることができた。そういう意味では、あっぱれの活躍だ。しかし、メダル獲得上位国と比較すると、その圧倒的な差に愕然としてしまう。

ネットの「産経ニュース」に特設された、「リオデジャネイロパラリンピック2016」の「メダル」(http://www.sankei.com/rio2016/schedule_para.html?sj_page=ME0000000)のコーナーに掲載されている一覧表によれば、金メダルの獲得数でいうと、上位5ヶ国は、中国の107個がダントツトップで、続く2位は英国の64個、3位はウクライナで41個、オリンピックで1位だった米国は僅差の40個で4位に沈み、そして5位が豪州の22個だ。この5ヶ国を含め、金メダルを1個でも獲得した国は63ヶ国に上り、残念ながら、日本はその後塵を拝してしまった。ただ、総獲得数で比べると、上位5ヵ国は金メダル獲得数と同じ順番で、中国の239個に始まって、以下147個、117個、115個、そして5位の豪州が81個で続き、24個の日本は、イランと並んで16番目にランクされ順位がグンと上がる。選手たちの頑張りに大喝采だ。とは言うものの、頑張った選手たちに比べると、国による障害者政策の頑張りは、まだまだ足りないような気がしてならない。

16番目の順位にも決して下を向く必要はないが、「メダル獲得数がその国の障害者政策を反映している」と単純に考えると、日本はまだまだ遅れていることになる。先日、目の不自由な方がホームから落ちて電車にはねられ亡くなるという悲しい事故があったが、あれなども障害者目線が欠如した結果、と言われても仕方がないと思う。「点字ブロックを遮るように柱が立っていてそれを避けようとして誤って落ちた」と報じられていたが、目の不自由な方には危険極まりない造りだ。とりあえず点字ブロックを設置さえしていれば基準は満たしている、という意識の低さを感じてしまう。

また、7年前長男が結婚するときに、嫁のお母さんが車いすを使用しているため車いすでも利用できるトイレが完備されている式場を探したところ、健常者用のトイレしかなかったり、在っても2階の式場フロアーには無かったりする結婚式場が余りに多く、障害者への配慮が遅れているのに驚いたことがある。今回のパラリンピックに出場した選手たちも、恐らく同じような悔しい経験をしているに違いない。日本の車いすバスケットの選手が「“車いすだと床に傷がつく”という理由で一般の体育館が使わせてもらえないことが多い」と悩みを打ち明けていたが、日本人の意識はその程度なのかと暗澹たる気持ちになる。これでは、障害者スポーツ大国の後塵を拝するのも頷ける。どこの国かは忘れたが、今回のパラリンピック関連の報道で、「健常者であろうが障害者であろうが同じトレーニングセンターを使うことができる」と言っていた国があったが、羨ましい限りだ。そこには、障害のあるなしに拘らずスポーツを競技として愛するスポーツマンシップが、見事に共有されている。

翻って日本はどうだろう。日本の障害者スポーツは、福祉の観点に立脚してスタートしたこともあり、競技スポーツとしての観点が遅れているのは否めない。厚生労働省のホームページには、「障害者スポーツに関する事業の移管について」という情報があって、そこには「…平成26年度より、スポーツ振興の観点から行う障害者スポーツに関する事業を厚生労働省から文部科学省に移管しました」と書かれている。以前にもこの四方山話で所管の違いを取り上げた記憶があるが、やっと、本当にやっと、オリンピックとパラリンピックを同じ省庁で所管し、同じ施策を実行できる下地が整うことになった。穿った見方をすれば、2020年のオリンピック招致が東京に決まったのが平成25年(2013年)だったから、このままではメダル確保がおぼつかない、と慌てて移管したのだろう。こうした泥縄式とも言える動きからは、縦割り行政の典型的な弊害である“既得権益の綱引き”が見え隠れする。

日本パラリンピック委員会のホームページに書かれている「パラリンピックの歴史」によれば(http://www.jsad.or.jp/paralympic/what/history.html)、1948年にロンドンオリンピックにあわせて開かれた16名(男子14名・女子2名)の車いす患者(英国退役軍人)によるアーチェリー大会がパラリンピックの原点、とある。今から凡そ70年も前のことだ。そして、1960年のローマオリンピックの後に開催された大会が、第1回パラリンピックとして位置付けられているという。“戦争で負傷した人達の競技大会”という側面があったにせよ、歴史は古い。

そもそも「パラリンピック」という名称は、1964年に開催された東京オリンピックの際に日本で名付けられた愛称であったというから、少なくとも日本とは無縁ではない。そういう意味では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多様性を認め合う国民意識の醸成とバリアフリーな社会の形成に、政治も行政も尽力してほしいものである。日本は本当に、障害者にも“おもてなし”を提供できるのか、世界はみている。


【文責:知取気亭主人】
 

アカシソの花と名前不詳のハチ(ハバチの仲間?)
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