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知取気亭主人の四方山話
 

『余分な労働、余分な出費』

 

2016年11月23日

表―1は、日本の五つの市における、2000年から2015年まで16年分の、1年間のある気象観測データを一覧表にしたものである。さて、皆さんは一体何を表した表かお分かりだろうか。また、表中でA、B、C、D、Eとアルファベットで表したのは、何県の何市か分かるだろうか。第一ヒントは、A〜Eの各市は何れも“県庁所在地”である。第二ヒントとして、表−2に、その市に設置されている気象台や測候所の緯度・経度を示した。手元に高校時代に使った地図帳でもあれば、表−2に示した緯度・経度で、大凡の見当はつくと思うのだが…。


表-1,2共に気象庁の過去の気象データより作成 


クイズ番組でもあるまい、もったいぶらないでおこう。まず表―1、「これだけ大きな値が観測されるのは恐らく降水量だろう」と直ぐに察しがついた方も多かった事と思うが、その通りで、これは各市における年間降水量を表している。単位はミリだ。また、市の名前は、Aが私の地元石川県金沢市、Bが岐阜県岐阜市、Cは三重県の津市、そしてDとEは、それぞれ栃木県の宇都宮市と茨木県水戸市である。何故この5市かと言えば、当然金沢市と比べるためだ。

表―2に示した緯度・経度を注意深く見ると、Bの岐阜市とCの津市は、金沢市と“ほぼ同じ経度”にあることが分かる。つまり、金沢市のほぼ真南に位置していることになる。一方、Dの宇都宮市とEの水戸市は、金沢市と“大体同じ緯度”だから、大体真東方向に位置していることが分かる。緯度或いは経度を金沢市と同じ条件にするために4市を選んだが、金沢市以外は全て太平洋側に位置する市だ。つまり、この表―1は、北陸の金沢市と太平洋側4市の年間降水量を比較したものだ。

その違いは、この表を見れば一目瞭然だ。「弁当忘れても傘忘れるな」と言われる金沢市の年間降水量は、最も少ない宇都宮市の実に2年分を上回り、水戸市より1,000ミリ以上も多い。最も差が小さいのは岐阜市だが、それでも500ミリ以上も金沢市の方が多い。こうした大きな差はどこから来るのかと言えば、言わずと知れた冬の天候である。

11月中ごろから3月中ごろにかけての北陸は、雪やみぞれの日が多く、太平洋側の夏場とそう変わらないほどの降水量をもたらすことが多い。北陸で山にぶつかり雪やみぞれなどを落とした空気は、山を越えるとすっかり乾燥して、太平洋側に晴天をもたらすことになる。こんなにも細長い国土なのに、日本海側と太平洋側の冬は、真逆の天候となることがほとんどだ。この約4ヶ月間が、雪国に住む生活者に、豊かな食材を提供してきた一方で、無言の力で“余分な労働”と“余分な出費”を余儀なくさせている。

代表的なのが、道路や屋根、そして家の周りなどの除雪だ。外での作業が多い建設現場も、雪の無い地方に比べるとどれだけ余分な作業が必要となるか、それは経験をしたものでないと分からない。大人ばかりでなく、子供も大変だ。通学時に使う歩道などは除雪されているところが少ないため、積雪時の通学時間は、雪の無い時期に比べて時間が掛かるし、体力も使う。そして、車社会になったお蔭で、都市機能は以前よりもずっと雪に対して脆弱になって来ていて、タイヤ一つ換えそびれると、手痛いしっぺ返しを食らうこともある。

雪の降らない太平洋側では、スノータイヤ(今ではスタッドレスというらしい)にお目に掛ることは滅多にない。その地域内を走るだけだったら、ほとんど必要ないからだ。ところが、雪国ではそうはいかない。ここ金沢では、毎年11月の声を聞くと、タイヤ交換のシーズンに突入し、11月下旬から12月上旬に最盛期を迎える。金沢市は坂が多いだけに、初雪が来る前に換えておく必要があるのだ。

我が家の車も、20日の日曜日に換えた。我が家の車両管理者を任じている長男によれば、もう5年も履いているから新品にしなければだめだという。大事な孫たちを乗せることが多いため、安全を期して、言われるままに新品にすることにした。ホイールから古いタイヤを外し、新しいタイヤを付けるとなると、素人ではできない。止む無く、近くの専門店に持ち込み、タイヤ交換一式をお願いすることになった。その費用、一式で55,800円也だ。決して安くはない。その上、今回は専門店にお願いしたが、いつもは自分たちでするのが一般的だ。体力も使う。まったく余分な労働だ。何とも、太平洋側の天気が羨ましい!


【文責:知取気亭主人】

小菊 
小菊

 

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