いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『いい夫婦の日』

 

2016年11月30日

お隣の中国には、最近になって俄然注目を浴びるようになった、「独身の日」なるものがある。1日で2兆円以上も売り上げたという、中国人の凄まじい購買力を世界に見せつける日でもある。1が四つ並ぶ11月11日が、その日だ。「ECのミカタ」というウェブサイトによれば、中国におけるEコマース最大手であるアリババグループの、今年の「独身の日」の流通総額は、1207億元(1元を16.2円で換算すると約1兆95百億円)ものとてつもない金額だったという(https://www.ecnomikata.com/ecnews/12157/)。元々の人口が桁違いに多い上に、全員が“独身貴族”だとはいうものの、小遣いの値上げ交渉に四苦八苦している身としては、何とも羨ましい話である。

その独身の日に対抗しているわけではないが、日本には「いい夫婦の日」がある。“独身の日と同じ11日”を2倍すると、当然ながら22日になる。恐らく偶然のなせる業なのだろうが、「独身同士が一緒になる日」と解釈できないわけでもない、その11月22日、日本では「いい夫婦の日」として最近盛んに喧伝されるようになってきた。先の「独身の日」ほど、インパクトのある記念日とはなっていないが、その歴史は意外と古く、今から28年前の1988年に(財)余暇開発センター(現在の(財)日本生産性本部)によって提唱されたのが始まりだという。

しかし、30年近くも実績がある記念日にも拘らず、便乗商売が派手に行われてこなかったこともあってか、中国の「独身の日」は言うに及ばず、最近急に騒がしくなってきた感のあるハロウィンに比べても、今一つ盛り上がりに欠けている。大々的なセールにあまりお目に掛らないのだ。こうした消費喚起の便乗商売が盛り上がらないのは、日本が長い低成長の時代に突入したまま抜けきらないでいるため、出費を控える堅実な夫婦が圧倒的多数なのに加え、財布の紐が緩い独身時代に比べると結婚した途端に財布の紐がきつくなった、ということなのかもしれない。それとも、セールも鳴りを潜めるほど、顧客対象となる夫婦の組数が少ないのだろうか。市場規模が意外と小さいのかもしれない。

そこで、総務省統計局(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/gaikoku/00/07.htm)のデータを調べてみた。それによれば、少し古いデータだが、平成12年に日本国内に定住していた夫婦は、同居している場合のみをカウントすると3139万4千組で、この内、外国人を含む夫婦(いずれか、又は両方が外国人)は41万2千組だったという。これだけでは、多いのか少ないのか俄かに判断し難い。そこで、私の性格に合わせ、もう少し大雑把な捉え方をしてみた。

まず、総人口に対して何パーセントぐらいが夫婦となっているのか、計算してみる。単純計算すると、3139万組の倍、約62百万人が夫婦である。次に、母数となる日本の総人口だが、平成12年に実施された国勢調査結果によれば、凡そ1億27百万人であった。この二つの数値から、実は、日本の総人口の約半分もが夫婦であることが分かる。「結婚しない男女が増えて来た」とよく耳にするが、こうしてみると結構な数だ。決して少なくはない。では、なぜセールが鳴りを潜めているのだろうか。もしかしたら、可処分所得が極端に制限される、年金暮らしの高齢夫婦が多いからなのかもしれない。そこで、再び総務省統計局のデータを調べてみた(http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/kihon1/00/09.htm)。

調べてみると、夫が65歳以上で、妻が60歳以上の夫婦のみの高齢夫婦世帯は、約366万世帯で、総夫婦組数の約12%にとどまり、想定していたよりも意外と少ない。もっとも、60歳定年制を取っている会社がまだ圧倒的に多いだろうし、地方銀行などはもっと早くて55歳で定年だとも聞く。したがって、65歳に達していなくても可処分所得が制限される夫婦を含めると、その数は総夫婦組数の1/4前後にも達するのではないかと思われる。

恐らく、定年の頃までは子育てに金が忙しく、やっと子供から手が離れたと思ったら年金暮らし、結局、独身時代が一番自由になるお金が多かった、そんな夫婦像が一般的なのだろう。結婚しても子供を作らない夫婦だとか、一流企業のエリートサラリーマンだとか、ほんの一握りの人たちしか、便乗商売に乗ってくれないのだろう。だとすると、華々しいセールやキャンペーンなどは、「いい夫婦の日」には向かないのかもしれない。それよりも、感謝の言葉や、金額は少なくても心温まるプレゼントの方がお似合いだ。

実は、私もそんなプレゼントをもらった。しかも贈ってくれた人が、知り合いだけれど全くの他人、というのが嬉しかった。それは、心がホンワカする、ある言葉だった。

26日の土曜日、かかりつけ医のT先生のところに、長男の嫁と自家中毒で体調を崩した孫息子を連れて、高血圧の定期診察に行ってきた。健康保険証を出すときに、前の週にしたインフルエンザの予防接種の領収証をもらい忘れていたのを思い出し、受付嬢にその旨を告げた。すると、「先日、お嫁さんに渡しましたよ」との返事。そこで、診察室から出てきた嫁に確かめたのだが、私ではないという。先日孫を連れて来てくれたのはお義母さんだという。「そうか、お嫁さんというのは女房のことか!」と素直に納得したのだが、「お嫁さん」の響きに、37年前の新婚時代を思い出し、妙に胸が温かくなってきた。こう言った些細なことでも、夫婦にとってはいいものである。

もっとも、この話には落ちがあって、受付嬢のチョットした勘違いで、「お嫁さん」は女房のことではなかったのが判明してしまった。ホンワカした気分になったのに…!


【文責:知取気亭主人】

カタバミ(仲良く並んで咲いているように見える) 
カタバミ(仲良く並んで咲いているように見える)

 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.