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知取気亭主人の四方山話
 

『親の心境、子の心境』

 

2017年4月5日

先週車で聞いていたNHKニュースによれば、今年は年度始まりとなる4月1日の曜日の関係もあってか、4月3日の月曜日ばかりでなく、3月31日の金曜日や4月1日の土曜日に入社式を行った会社も多かったらしい。私の知り合いの会社でも、月曜日からは通常勤務ができるように1日の土曜日に実施した、と聞いている。いずれにしてもこの入社式、多くの会社にとって新たな仲間を迎える神聖な催しであると共に、当の新入社員にとっても晴れの舞台である。新入社員は、不安も半端ではないだろうが、その一方で希望に胸を膨らませてもいて、両方が入り混じる複雑な心境でいるのに違いない。

複雑な思いをしているのは、入社式を迎える当人ばかりではない。送り出す親の方も、当人と同じように、「大丈夫かな?」の心配と共に子供に寄せる大きな期待が入り混じった、とても複雑な心境である。中でも、中学や高校などを卒業して直ぐに就職する子供の親は、期待よりも遥かに心配の方が大きいのに違いない。何しろ直前まで親の庇護の下で生活していて、世の荒波を直接受けた経験が少ないだけに、親が心配するのは当然だ。

しかし、成人した子は、ある程度人生経験も積んでいるから、親の心配は未成年に比べたらさほど大きくはないだろう。二十歳過ぎれば、自らの言動もそうだが、世間からも一丁前の大人として見られていて、それに応えようとする自我も芽生えている筈だ。また、「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」と言われているように、二十歳を過ぎて社会に出る子に対しては、自立を促すような言動で接している親が多いと思われる。

ところが、入社式など最近の就職に関する情報から察すると、私が思っていたのと随分違ってきているらしく、我々が学生だった頃には考えもつかないことがニュースに登場するようになってきた。親を対象にした会社説明会があるというのだ。昭和20年代生まれには思いもつかないことだが、就職先を親が決める家庭が増えて来たことによるらしい。売り手市場という現状があってのことだろうが、俄かに信じがたい。未成年の子の親に対する取り組みだったら多少は理解できる。しかし、それでさえも中卒や高卒の子の場合は、学校が就職先を吟味してくれている筈だ。ここまで親がかかわるということはない。昔に比べて親子の結びつきが強くなったため、なのだろうか。強くなった結果、親の子離れや、子の親離れの年齢が年々高くなってきている可能性は否定できない。

我が家(いずれも30代の4人)の場合は、親への会社説明会は一度も無く、本人が就職先を決めてきてくれたから、親は結果を聞くばかりだった。それが普通だと思っていたのだが、世の中変われば変わるものである。もっとも、そうとは思いたくないのだが、私の考えがガラパゴス化してしまっている可能性も無きにしも非ず、なのかもしれない。ただ、世の中が変わってきているということだけは、確かな様だ。

変わったと言えば、もっとビックリの情報がある。入社式に親が参加する企業まで現れた、というのだ。最初は3、4年前にテレビニュースで知ったのだが、それをやったのは、確か広島の企業だったと思う。入社式に親も参加してもらって、新入社員は親への感謝の気持ちを作文に認めて、それを式場で読み上げるというものだ。親への感謝の気持ちを表すのはもろ手を挙げて賛成だが、それが入社式というのは如何なものだろう。親への感謝の気持ちはいつでも表せる。入社式に臨んでは、会社への貢献や自分の夢を実現させる決意表明の方が相応しいと思うのだが…。

ところが、である。3日夜のテレビニュースを観ていて更に驚いた。流れて来たのは、親が同席の中、親から子への応援メッセージを先輩社員が代読する、という驚きの入社式だ。老害の兆候なのか、時代遅れなのか、私の心境は「もう何をか言わんや」である。

琴線に触れる演出は、親も子も満足なのかもしれない。しかし、こうした状況が続くと、これからの日本を背負って立つ若者に、独立心だとかチャレンジ精神だとかいった精神的な逞しさが育まれていくのか、甚だ心配だ。弱肉強食の動物の世界がそうであるように、人間の子もやがては親離れしていかなければならない。それが自然の定めである。では、その親離れの時期はいつか、早くても行けないし遅くても課題が残りそうだ。その丁度良い時期を諭している教えがある。「子育て四訓」として知られている次の教えだ。
       乳児はしっかり肌を離すな     
       幼児は肌を離せ、手を離すな     
       少年は手を離せ、目を離すな     
       青年は目を離せ、心を離すな

この教えに従えば、子離れの丁度良い時期は青年の時となる。では、青年とは何歳頃を言うのだろう。広辞苑で「青年」を調べると、「青春期の男女。多く、14、5歳から24、5歳の男子をいう」とある。したがって、二十歳を過ぎればもう立派な青年、と捉えても間違いはなさそうだ。18歳に選挙権が与えられたことを考えれば、当然と言えば当然だ。この流れからすると、高校を卒業すればもう立派な青年として扱わなければ失礼にあたる。

ところが、先日、NHKラジオで、リスナーからのこんな内容の便りが読まれ、思わず「それはないだろう」と言ってしまった。「学生である娘の就職探しを手伝いに、娘のところに行ってきます」というものだ。子供を愛おしく思うのは理解できるが、これでは手も目も離していない。日本は一体どうなってしまうのだろう?

【文責:知取気亭主人】

  

 

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