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知取気亭主人の四方山話
 

『魔性の金』

 

2017年4月26日

どうやら犯罪にも流行り廃りがあるらしい。先週は、インフルエンザの大流行よろしく、金にまつわる犯罪が猛威を振るった一週間だった。しかも、その殆どが庶民とは縁の無い、数千万円とか数億円などの途方もない額が飛び交合っていたから、事件はメディア格好のニュースソースとなり日本中を駆け巡った。

そんなニュースを聴いて抱くのは、被害者の皆さんには申し訳ないが、「世の中あるところにはあるもんだな」のやっかみ半分の感想だ。そして、やっかみついでに言わせてもらえば、被害者は総じてリスク管理が甘い、ということである。もう少し危機意識を持っていれば被害は防げたのではないか、と思える事件ばかりだ。高額な金を扱い慣れていたことも、危機意識が薄らいでいた原因なのかも知れない。しかし、扱い慣れていようがいまいが、危機意識を持ち続けることは、被害に合わないための基本である。

18日の火曜日、新潟県佐渡市は、相川郷土博物館で展示していた金塊のレプリカ5個(1個1s)が盗まれた、と発表した。盗んだ物がまさかレプリカだったとは、この報道を聞いた犯人はさぞかし悔しがったことだろう。実際の被害額は左程ではないが、本物であれば、18日のレートで2451万円相当になるらしい。防犯カメラは設置されていなかったという。

ネットで調べると、相川郷土博物館は、明治憲法下に皇室財産を管理していた御料局佐渡支庁の歴史的な建物を活用していることもあり、国指定史跡に指定されていて、見た目にもかなり古い。また、木造家屋で、見るからに安全管理は手薄な感じがする。全国の文化財が液体をまかれる被害に遭っている事を考えると、国指定史跡であるにも拘らず、防犯カメラが設置されていないのは、如何なものだろう。誠に残念ではあるが、鍵を掛けなくても泥棒に入られなかった、今はそんな古き良き時代ではないと知るべきだろう。

続く19日には、出資法違反で国際手配されていた、自称38歳の山辺節子容疑者(62歳)が、逃亡先のタイから移送中の飛行機の中で逮捕された。テレビで見た限りではとても38歳には見えないが、4月20日の北陸中日新聞朝刊によれば、北海道から宮崎県までの少なくとも70人から約7億円を集めた、というから恐れ入る。まさかハニートラップではないだろうが、一体どんな甘言で金を出させたのだろう。「世の中、そんなにうまい話はない」の格言を忘れさせるほど、容疑者の話術は巧みだったのだろうか。いずれにしても被害者は、それぞれが持っていた危機意識を簡単に突破されているのだから、今頃は反省しきりだろう。

翌20日に起こったのは、例の福岡3億8400万円強奪事件だ。福岡市のみずほ銀行福岡支店前の駐車場で、金塊を買い付けるために用意した大金を三人組の男に強奪されたのだ。23日午後7時のNHKテレビニュースによれば、被害に遭った29歳の会社員は、前日も多額の現金を下ろしているという。ただし、この時は二人で運んでいたらしい。ところが、被害に遭った20日は4億円近くもの大金をたった一人で運んでいた、というのだから驚きだ。その危機感の無さは、一体どこから来るのだろう。

驚いたのはそれだけではない。業界関係者へのインタビューによれば、相場によって変動するため金塊買い付けの取引は現金で行うのが一般的だ、というのにもビックリだ。こうしたギャング映画まがいの取引が現実にあることを初めて知ったのだが、我々の知る正常な商取引とは程遠い。例えば、銀行振り込みを確認した時点で金塊を受け取り、セコムなどのセキュリティー会社に運んでもらう、そんな方法も可能だった筈だ。それができないとなれば、何やら“曰く付きの金塊”ではないか、と思えてしまうのだが…。

“曰く付き”と言えば、同日の夜、福岡空港で約7億3000万円もの現金を持ち出そうとした韓国人4人が発見され、関税法違反(無許可輸出予備)で逮捕された。すわ例の強奪犯か、と思われたのだがどうやら違ったらしい。スーパーカーを買うための資金だったというが、「本当かな?犯罪絡みの “曰く付きの金”ではないのか?」と疑いたくもなる。恐らく、私の感は…。

これで終わりではない。21日になると現場は東京に飛び、東京銀座すずらん通りの路上で、現金4000万円が入ったバッグが奪われる事件が発生した。現場近くで貿易関係の取引をした金7200万円を持ち歩いていて事件に遭ったという。この事件も現金取引をした金が狙われていて、福岡の事件もそうだが、これだけ高額の金が動くのに現金取引とは、庶民感覚ではとても信じられない。恐らく、そこには現金取引でなければならない、特別な事情があるのだろう。そう疑いたくもなる事件であった。

さて、如何だっただろう。改めて振り返ってみると、大変な一週間だったことが分かる。どれもこれも、魔性の金に惑わされて犯罪に手を染めた事件だったと言っていい。かく言う私も、目の前にこれだけの金塊や札束を積まれれば、恐らく惑わされてしまう。「金」は「きん」とも「かね」とも読み、達観できていない人間にとっては、どちらも魅惑の響きである。しかし、時に理性をマヒさせる魔性も持ち合わせている。どれだけの人間が、その魔性によって堕落していったことか。その魔性の毒牙にかからない為にも、金銭欲は程々がよろしいようである。

【文責:知取気亭主人】

  

事件の背後には闇がありそう

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