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知取気亭主人の四方山話
 

『人見知り』

 

2017年5月3日

次男のもう直ぐ5ヶ月になる長女、私たち夫婦にとっては4人目の孫が、凡そひと月半ぶりに顔を見せてくれた。スマートだった体は、我が家の血を引く赤ちゃんらしく、随分とぽっちゃりしてきた。頭では理解していても、乳児の成長の速さには本当に驚かされる。家内と嫁とのLINEのやり取りに添付されている写真を見ると、身長も体重も順調に増えているのが良く分かる。成長した分表情はとても豊かになり、写真の中で振りまいている笑顔のその愛らしさは、恐らく目に入れたとしても痛くないのに違いない。車から降りて来たすっかり丸くなった顔を見ると、予想通りの可愛らしさだ。長男夫婦の3人の子供たちが小さかった頃とよく似ている。血は争えないものだ。

家に入ってくるのを待てずに車までお迎えに行き、家内も私も意気揚々と抱っこしたのだが、果たせるかな、つぶらな瞳でまじまじと見つめていたかと思うと大きな声で泣かれてしまった。僅かひと月半ほど前に我が家に来た時には、私の腕の中で気持ちよさそうに寝付いてくれていたのに、大きな違いである。白髪頭の、見慣れぬ大きな顔に驚いたのだろう。俗に言われる「人見知り」である。そう言えば、長男夫婦の第1子、私たち夫婦にとっての初孫にも、この子と同じように暫く抱っこできなかった時期があった。

初孫の人見知りが始まったのは、家内の記憶によると、この子とほぼ同じ生後4か月頃だったらしい。ただ、いつも周りには5人も大人がいたのにも拘らず、人見知りが激しかったのは、私と父親たる長男だけ、つまるところ近くにいる男だけであった。次女は一時だったし、母親は勿論、家内も全く泣かれなかった。たまに来る長女も次男も殆どなかった。長男と私とてそれまでは何ともなかったのに、どうしたことか、突然人見知りされるようになった。叱った訳でもないし、怖い顔をしていた訳でもないと思うのだが…。

長男は1ヶ月、私は2ヶ月ほど続いただろうか。私は半ば諦めていたのだが、実の父親である長男は何とも寂しそうな、そして困惑したような顔をしたのを今でも覚えている。人見知り期間が終われば何事も無かったように愛嬌を振りまいてくれるのだから、本当に僅かな期間だったのだが、抱っこしたいのにそれができないのは、顔では笑っているものの本当は一抹の寂しさを感じていたのだ。私でさえそうだったのだから、長男は私より数段寂しかったに違いない。そこにいくと、2番目、3番目は人一倍人懐こくて、人見知りなんてあったか、と思い出せないほどだ。

我が子を4人育て上げた家内の話によると、おっぱいやミルク、そしてオシメの世話をしてくれる人は小さくても良く分かっていて、人見知りされないのだという。いわゆる、食べる物と下の世話をしてくれる人だ。命を維持するための世話をしてくれる人は安心だ、ということなのだろう。誰が教えた訳でもないのに、しかも喋ることすらできないこんな小さな命でも、それが分かっているのだから凄い。

また、似た様な年齢の小さい兄弟がいると下の子は上の子の真似をするため、上の子が甘えている大人は大丈夫、と直感的に判断するらしい。どうりで、2番目、3番目に殆ど人見知りされなかったのも頷ける。そう言えば、テレビで放映される動物番組を観ていても、同じような様子が見て取れる。自然界の場合は人間界と比べものにならない位厳しくて、天敵ばかりでなく仲間の大人に襲われる子供も多い。したがって、どんな時でも守ってくれる母親への信頼は絶対だし、小さな頃の兄弟に寄せる信頼も絶大なものがある。こうした無意識の判断は、多くの動物に備わった本能なのだろう。そうしたことを初孫の時に教えてくれた医師がいる。掛かり付け医のT先生だ。

T先生曰く、「人見知り」は人間に備わった防衛本能だという。だから心配することは何もない。それどころか、人見知りをしない子の方が心配だという。確かに、昔から幼気な乳幼児を狙った凶悪犯罪が引きも切らない。自然界と同じで、乳幼児が犠牲となる事件は、毎年の様に必ずどこかで起こっている。そうした事件から身を守るためには、親が守ってやるべきなのだが、親の目が届かないところでは自らの力で身を守る防衛本能も必要だ。良く「知らない人に声を掛けられても付いて行っちゃダメ」と幼稚園や小学校で教えるが、子供には元々その能力が備わっていて、それが「人見知りだ」というのだ。

納得の説明だ。そう説明され、初孫の人見知りで少々寂しかった私の気持ちも、随分救われた。それと同時に、誕生したばかりの小さな命なのに、持てる本能を駆使し必死に生きようとしているのだと知ると、愛らしさにいじらしさも加わり、本当に愛おしくなる。第683話にも書いたが、妊娠し子供が生まれると、親子の間に愛着ホルモンが分泌されるのだという。母子や父親だけかと思っていたが、どうやらジジ、ババにも分泌されるらしい。乳幼児の笑顔や可愛らしい一挙手一投足には、大量のホルモン分泌を促す、そんな魔法の力があるようだ。下の写真を見れば納得である!

【文責:知取気亭主人】

  

やはり天使の笑顔だなぁ〜 

やはり天使の笑顔だなぁ〜  

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