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知取気亭主人の四方山話
 

『三爺』

 

2017年8月23日

昨年の12月、次男夫婦に初めての子が生まれた。可愛らしい女の子だ。名前を里奈ちゃんという。私たち夫婦にとっては四人目となる孫、そして三人目となる孫娘だ。次男は、5年前の夏に養子に出た後結婚し、子を授かったこともあって、孫娘には三人の爺、婆がいるという、大変贅沢なことになっている。一般的に、夫婦の実家二軒だけでも、両方が揃っているのは意外と少ないのではないかと思っているのに、三軒とも見事に揃っているのだから凄い。中でも、女性より凡そ10年も短命な我々男性が残っているのは、何とも目出度いことだ。そこで、今回は、この珍しい三人の爺の孫娘に対する愛情表現を話題にしてみた。有吉佐和子の小説「三婆」ならぬ「三爺」である。

我々三爺は、当たり前の話だが、似ているところもあれば、全く似ていないところもある。似ているところで真っ先に上がるのが、三人とも無類の酒好きということだろう。しかし、酒好きではあるけれども飲まれるほどではない、と各々自覚しているように見える。恐らくだが、三人とも、愛する家族はそんな爺の飲む姿を見ながら笑顔で許容してくれている、と勝手に思い込んでいるのだ。そういう意味では、結構図々しい爺たちである。

一方、決定的に違うのは年齢だ。一番年寄りなのは私で68歳(以降、大爺)、次が嫁のお父さんで66歳(以降、中爺)、そして一番若いのが養子先の義弟で57歳だ(以降、小爺)。決定的な違いは、もうひとつ有る。孫の数、中でも孫娘の数だ。大爺は、最初にも書いたように、孫は総勢四人で、孫娘としては今度の子で三人目となる。では中爺はというと、既に二人の孫がいるものの、二人とも男の子で初めての孫娘だ。そして小爺にとっては、初めての孫娘にして待ちに待った初孫でもある。

大爺の経験から言うと、孫は男の子でも女の子でも可愛いものである。目に入れても痛くないとよく言われるが、その通りだ。乳児のうちは男の子も女の子もその仕草は変わりなく、寝ていても、泣いていても、何をしていても、爺婆を和ませてくれる。こちらの呼びかけに笑って答えてくれようものなら、孫は天使に早変わりだ。そして、家の孫が世界一可愛い、と思い込んでしまうのだ。男の子も女の子も平等に、である。

ところが、乳児の時に男女の違いなど殆どないのだが、違いが出るものが僅かにある。着させる服やら帽子や靴下など、身の回りに用意する物だ。女の子に用意する身の回りの物は、総じて赤やピンクの色が多く、華やかで、周りをパアと明るくしてくれる。勿論男の子の物も可愛いのだが、どうしても華やかさでは女の子に負ける。大爺の隣家に男の子二人を育てた家内と同年代の女性がいるのだが、先日、初めての女の子の孫が誕生して大感激していた。婆もかくの如し、である。ましてや、華やかな色合いのものに惹きつけられる習性を持ち続けている爺が、喜ばない筈がない。我々三爺も勿論である。その三爺は、というと…。

小爺にとっては、なにせ初めての孫だ。小婆もそうだが、二人ともまだ抱き方がぎこちない。初めてのことで、しかも離れて生活しているから滅多にしか抱っこできず、慣れないのだ。こわごわ抱いているのが良く分かる。それでも、抱いている時の顔は、満面の笑みだ。見ていても微笑ましい。しかし、“ほっぺ”にチューをするなど、そこから先への一歩が踏み込めないでいるように見える。恐らく、チューをして変なものをうつしてしまわないか不安なのだろう。それもいずれは慣れてくる。優しい小爺の事、もう少しすれば、はたから見ても羨ましくなる様な愛情表現をするに違いない。ガンバレ小爺!小婆!

次は、中爺だ。中爺の様子は、次男夫婦に聞くしかないのだが、先日、「中爺らしいなぁ〜」と思わず声を上げて笑ってしまう出来事を教えてくれた。乳児を寝かせている時に、別室にいてその様子を監視できるモニターがある。娘夫婦と一緒にいた中爺が、席を立った。暫くすると、孫娘の泣く声が聞こえ、モニターを見ると中爺がほっぺにチューをしている様子が映し出されたのだというのだ。次男が孫娘のところに行くと、「来てみたら泣いていた」と言い訳をしたらしい。明らかな照れ隠しだ。

我々の世代の男は、照れ屋が多く、素直に愛情表現ができない仲間が多い。本当は心根が優しくて、愛情が一杯あるのに、照れ隠しで反対のことを言って仕舞う。中爺は、その代表選手なのかもしれない。誰も見ていないと思ったからこそ、自分の心に対し素直に愛情表現できたのだ。あのチューこそ本当の中爺だ。普段の生活ではそんな事をおくびにも出さないでいるのだと思うが、本当は人一倍愛情深いに違いない。愛すべき中爺だ。

大爺は、結構直情型だ。次男が未満児だった頃、オムツを取ってうつ伏せにしているお尻を見ているうちに、急に美味そうな御餅に見え、お尻にかぶりついたことがある。勿論、軽く歯を当てたに過ぎないが、驚いた次男に大泣きされた。愛情表現のつもりだったのだが、そうは取ってくれなかったらしい。この一件のように、思い立ったが吉日、とばかりに思いついた行動をすぐに起こしてしまう傾向があるのだ。今のところ、里奈ちゃんに嫌われるような表現は慎んでいるつもりだが、どうだろう。この先は、彼女のふくよかなほっぺが美味しそうな桃に見えない事を祈るばかりである。 

【文責:知取気亭主人】

私が三爺の天使、里奈ちゃんです!

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