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知取気亭主人の四方山話
 

『スズメバチ』

 

2017年10月11日

先週、ある会社の安全大会に参加してきた。「安全大会」と言っても何のことだか分からない人もいるかと思うが、安全大会とは、主に建設業や製造業など労働災害が多い業種で行われている、労働災害撲滅に向けた企業活動の一つである。過去1年間の労働災害の発生件数やその内容などの安全成績を発表したり、無災害を続けていて災害防止に対する意識が高いなど成績優秀な現場や個人などを表彰したり、更には安全講話や救急救命などの講習を受けたりするのを主な内容としている。

例えば、我々の建設関連業種の場合、高所からの墜落事故や、墜落してきた資材や石などによる被災などの作業現場で発生する労働災害に加え、業務上や通勤途上の交通事故なども対象となっている。また近年では、熱中症による事故も増えていて、危険な季節労働災害の一つとなっている。もうひとつ、夏から秋にかけて注意しなければいけない、思いも寄らぬ季節労働災害がある。ハチ刺されによる事故である。中でも、ひときわ大きくて攻撃性の強いスズメバチに刺される被害は、死に至ることもあり、大変危険だ。野山を動き回ることの多い業界の人にとって、熱中症やらハチやら、夏から秋にかけては受難の季節、と言っても過言ではない。

そのハチの被害だが、我が社の場合だと野山での測量や調査作業中に受けるケースが多く、私も過去に何度か刺されたことがある。低木の雑木や草を伐採していた時だ。私の場合はスズメバチではなくて大したことはなかったのだが、過去に二度もスズメバチに刺された仲間もいて、アナフィラキシーショックが心配されるから三度目は危険ですよ、と診てもらった医師に注意喚起されている。知っての通り、アナフィラキシーショック状態に陥ると死に至る危険性があるのだ。その為、万が一用にと、応急用毒吸出しキッド(ポイズンリムーバー)を持って現場に行っている。しかし、突然襲われるのだから始末が悪い。

ハチに刺されるのは、知らずに巣を触ったり、傷つけたり、或いは近づき過ぎたりした時に被害に遭うケースが殆どだが、体の近くに飛んできたハチを追い払おうとしただけで刺されるケースもあるから厄介だ。黒い物や香水などの化粧品の臭いも、ハチを刺激して攻撃される場合がある、と聞いたことがある。その時は、「じゃあ、白髪は大丈夫だ!」と冗談を言ってみたものの、こちらが危害を加えるような行動に出なくても攻撃されるのでは堪ったものではない。しかも、大切な商売道具を持っての現場作業では、身近な物でハチを簡単に撃退することも難しいから、攻撃されたらひとたまりもない。逃げ惑うしかないのだ。

ところが、そんな厄介なハチに有効な防備の方法があることを、くだんの安全大会で教えてもらった。しかも、とてもユニークな方法だ。出席者の一人が、ハチやアブの多い現場で、オニヤンマの模型を現場に置いてみたところ、その数が激減したというのだ。最近、市街地で増えすぎたカラスやムクドリを撃退するのに、鷹匠が操るタカを使う自治体が増えていると聞くが、まさにこれと一緒だ。しかも、オニヤンマの模型だけではなく、工事現場で良く使われている黄色と黒の標識ロープ(トラロープ)の切れ端でも効果があるという。ハチやアブが寄り付かないということは、オニヤンマのお腹の模様に似ているからなのだろうか。説明してくれた人は、ロープはためしていないというが、ありうる話だと思う。

オニヤンマの模型とは、私にとっては目から鱗の話だったのだが、元々オニヤンマはハチの天敵として知られているらしい。スズメバチの天敵と言えば、NHK総合テレビの番組、「ダーウィンが来た」で放映されていたクマタカぐらいしか知らなかったが、調べてみると、クマタカやオニヤンマ以外にも身近な小動物が結構いるらしい。オオカマキリもそうだし、クモもそうらしい。尤も、ユーチューブでは、カマキリを食らうスズメバチの映像も見られるから、クマタカのように圧倒的に勝利する、という訳ではなさそうだ。しかし、オニヤンマの模型や標識ロープの切れ端だったら、野山に入る時に簡単に身に付けて行けられる。しかも手軽に。

例えば、我々だったらヘルメットにオニヤンマの絵をかくとか、オニヤンマの模型や標識ロープの切れ端をヘルメットや作業服に括り付けておくことぐらいはできる。それでスズメバチからの攻撃を防げるとすれば、お安い御用である。また、登山やハイキングを楽しみに野山に入る人達は、帽子や上着の肩などにそれらを飾り付ければ、流行の最先端を行っているようで、ファッションとしても受け入れられること請け合いである。息子夫婦の借家にキイロスズメバチが巣を作ろうとしていたように、野山に入らない人でも襲われる危険性があるから、ハチ刺され防止用に真剣に考える必要があるかもしれない。

折しも、先月の11日、電動車椅子で帰宅途中の87歳の女性が、凡そ50分間にもわたって大量のスズメバチに襲われ、約150ヶ所も刺されて翌日死亡した、と報じられた。愛媛県大洲市での出来事だ。50分間も襲われていたとはむごい。通報から凡そ15分後に救急隊員が駆けつけたものの、あまりに大量のスズメバチが群がっていたため、近づけなかったという。襲われた女性の恐怖はいかばかりだっただろう。また、なす術もなくただ立ちすくんでいなければならなかった救急隊員の口惜しさも、想像するに余りある。今でも、申し訳なさと口惜しさにさいなまれているに違いない。

こうした悲劇を繰り返さないためにも、天敵利用のハチ対策を真剣に考える必要がある、と思うのだが…。皆さん、オニヤンマの飾り、如何ですか?

【文責:知取気亭主人】

 


ハチの一刺しは怖い!  

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