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知取気亭主人の四方山話
 

『家族が増える、家族が繋がる』

 

2017年11月8日

3日の文化の日、長女の結婚式が長野県の松本市であった。長野の大学を卒業し、卒業当初は新潟県の民間病院にも勤めたこともあるのだが、結局その後、卒業した大学に戻って付属病院で臨床心理士として働くことになり、婿殿も長野県で見つけたという次第である。民間の病院に勤めた時から、「恐らく金沢には戻らないだろうな」と薄々感じていた。したがって、「安曇野の人と結婚したい」と打ち明けられた時も、さして驚きはしなかった。

驚きはしなかったのだが、これまで子供たちの結婚式と言えば、長男と次男の息子たちの結婚しか経験していなかったから、初めての娘の結婚式をどんな気持ちで迎えるのだろう、と自分自身の心模様が分からないでいた。お嫁さんをもらう方と、嫁がせる方では、立場が全く違う。父親としての心情も違うはずなのだが、その経験がない。ただ、昔から映画やテレビドラマで見せる、娘を嫁に出す父親の涙ぐむシーンだけは見せまい、と密かに誓っていた。しかし、果たせるかな、寄る年波のせいもあるのだろうが、涙腺は思っていた以上に緩んでいた。

テーブルに着き、上に置かれた席札の裏にメッセージが書かれているのに気が付いた。手に取り、その文字を目で追ううちに、だんだん涙腺が怪しくなってきた。周りに気付かれないように必死にこらえるのだが、文字は少しずつ滲んできた。これはまずい、と急ぎ札を元に戻し、暫く天井のシャンデリアを眺めていた。お蔭で、同じテーブルに座った家族には知られずに済んだのではないかと思っているのだが、眺めていた筈のシャンデリアがどんな風だったのか、全く思い出せないでいる。密かな誓いは何処へやら、男なんてだらしないものである。ただ、宴の最中は、アルコールの魔力も手伝って、参列していただいた方々とは笑顔、笑顔の歓談ができた。

ところが、予想はしていたのだが、披露宴の最後に、密かな誓いを吹き飛ばすような演出が待っていた。最近の披露宴では定番になっていると思われる、新婦が親に宛てた手紙を読むシーンだ。これまで出席したどの結婚式でも、このシーンで新婦の親が涙するのを見て来ている。「人前で男が涙するのは…」と育ってきた世代であることもあって、自分の娘の結婚式では何とか止めてほしいな、と無理だとは分かっていてもそう願っていた。しかし、神様がそんな我儘を聞いてくれる筈もなく、その時はやって来た。

参列者全員の熱い視線を感じながら、娘が読むのをジッと聴いていた。一言、二言、三言…、と涙ぐみながら読む文章は、涙腺をこれでもかというぐらいに緩めてしまう。思わずハンカチで涙を拭った。「父親というものは娘に甘い」とよく言われるが、その通りだと思う。でも、嫁いで行くことを悲しんでいる訳ではない。それどころか、婿殿やご両親、また弟家族の人柄を知って、この上ない良縁だと確信し、安心もしている。ただ、何となく涙腺の紐が引っ張られやすくなっているのだ。一抹の寂しさを、知らず知らずのうちに感じているのかもしれない。

子供はいずれ親の手を離れ、新しい家族を持つのが、動物界の摂理である。そんな事は分かっている。理屈では分かっているのだが、心情とやらが心を揺さぶり、涙腺の紐を引っ張るらしい。困ったものである。とは言うものの、男としては困ったものではあるが、親としてはこれぐらい良いか、と開き直っている。そんな他愛もないことよりも、結婚をすることによって家族が増え、家族が繋がって行くことの方を、大いに喜びたい。嬉しいことに、私の家族も子供たちの成長と共に人数が増え、次の世代に確かに繋がっていることを、今回の結婚式で再認識させてもらった。そのことが、私たち夫婦にとっての、何よりのご褒美なのかもしれない。

冒頭でも書いたように、子供たちの結婚式は、今回で三人目である。長男が8年前、次男が昨年、そして今回が長女だ。誠にありがたいことに、回数を重ねる度に家族が増えている。当然のことながら、長男の時は私たち夫婦と子供4人だけだったのだが、そこに嫁が加わり、計7人の家族となった。それから7年の歳月が過ぎた昨年の次男の結婚式の時には、長男夫婦に3人の可愛らしい家族が増え10人となっていて、それに次男の嫁を加え総勢11人の家族となった。次男は家内の弟夫婦のところに養子に行ってはいるが、血の繋がりを考えれば家族に加えるのは当たり前だし、嫁のことも私達夫婦の子どもだと思っているから、当然家族の一員だ。

そして、今回の長女の結婚式では、その次男夫婦にも小さな可愛らしい命が誕生していて、また一人増えている。長女が嫁に行って計算上は11人で増減なしだが、婿殿も私達夫婦の子どもだと思っているから、結局、長女夫婦を新たに加えて、総勢13人の大家族になったことになる。これだけ少子高齢化に抗えることができるとは、ありがたいことである。4人目となる次女が結婚する時には、どれだけの家族で参列できるのか、今から楽しみだ。ただ、涙腺の緩み具合が心配ではあるのだが…。

最後に、長男の結婚以来増えた可愛い家族の写真を掲載しておく。20年後、或いは30年後にこの子たちがどんな素敵な家族に繋いでくれているのか、それが楽しみである。

私が最初よ 次はボク 三番目でちゅ 四番目でちゅよ
私が最初よ 次はボク 三番目でちゅ 四番目でちゅよ

【文責:知取気亭主人】

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