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知取気亭主人の四方山話
 

『隠し事、乳幼児は可愛いけれど…』

 

2017年11月29日

23日の勤労感謝の日、久しぶりに孫四人が勢揃いした。久しぶりといっても、長女の結婚式以来だからほぼ二十日ぶりだ。たいして長い間ではない。ところが、たった二十日間でも乳児にとっては成長著しい時期で、ちょっと見ない間に驚くほどの事ができるようになっている。来月の上旬で1歳になる四番目の孫がそうだ。もうしっかりとした足取りでつかまり立ちができ、まだ見てはいないが、もう今では一歩が踏み出せるようになったという。食事もそうだ。二十日前には離乳食だったのが、今回会った時には大人と同じご飯を食べるようになっていた。

その孫が、面白いことをやり始めたという。食事の時、食べたくない食材を手でつまんで、ママに見えないように下に落とすのだという。それを聞いた時、遊び半分なのだろうが「なかなかやるな!」と、思わず笑ってしまった。そうかと思えば、5月に2歳の誕生日を迎えた三番目の孫も、おちゃめな事をやってくれる。彼女は果物が大好きで、特にミカンには目がない。そのミカンを食べさせてもらっている時、両手にしっかりと持っているにも拘らず、新しいものをもらうのだという、先日も、ママから「ゆりちゃん、手に持っているでしょう?」と言われると、ニコニコしながら隠し持っていたミカンの小袋を見せてくれた。

こんな小さな乳幼児でも、隠し事をするとは正直驚きだ。ただ、“隠し事”などと大袈裟な表現をしたが、恐らく、本人たちはズルをしようとはとは思っていない筈だ。ズルなどという意識すらないだろう。遊び半分もあるだろうし、その仕草は逆に愛らしくもある。ところが、大の大人がやる隠し事はいただけない。大人が意図的にやる隠し事は、良心に照らし合わせると「まずいな!」と思うから隠すわけで、犯罪という闇に覆われていることが多い。長女の結婚式の3日後、11月6日に世界に流れた「パラダイスペーパー」のニュースは、そんな大人の闇を炙り出してくれたスクープだった。

「パラダイスペーパー」は、数年前に世界の富裕層を震撼させた「パナマ文書」と同じで、租税回避地タックスヘイブン関連の流出文書だ。“資産隠し”や“税逃れ”、最悪の場合には“犯罪”にまでその闇が広がっていると噂されていて、世界に知られた会社や個人の隠し事が明らかになっている。名前が取りざたされている人たちは、恐らく戦々恐々としているに違いない。各社の新聞にも載ったが、この「パラダイスペーパー」を扱った、NHKスペシャル「追跡パラダイスペーパー 疑惑の資産隠しを暴け」(11月12日放送)は、いただけない大人たちの恥部を見せられて、腹立たしさばかりが残った番組だった。

番組によれば、「パラダイスペーパー」は、ICIJ(The International Consortium of Investigative Journalists、国際調査報道ジャーナリスト連合)が、ドイツの新聞に持ち込まれた文書を、ファクトチェッカーが真偽を吟味したのち、世界に公表したものだという。ICIJと連携するNHKを含む世界67か国の96の報道機関がおよそ1年をかけてそれぞれの国での分析を進めてきたものだ。その闇は、トランプ米大統領の側近ウィルバー・ロス商務長官にまで及んでいて、主要国の政府をも震撼させている。

ロス商務長官が実質的に出資する海運会社(ナビゲーター社)が、ロシアのプーチン大統領の親族らが役員を務める企業との取り引きで巨額の収入を得ていることが分かったというもので、トランプ政権が「ロシア疑惑」に晒されている中、疑惑はますます深まってしまった感がある。その他、日本人では、元総理大臣の鳩山由紀夫氏や、ドラゴンボールの原作者として知られた漫画家の鳥山明氏などの名前が出ている。銀行から6億円をだまし取った詐欺罪で刑務所に服役中の西田信義なる人物の名前も見られるという。

NHK NEWS WEB(https://www3.nhk.or.jp/news/special/paradise-papers/)によれば、ICIJは、これまでの分析で判明したタックスヘイブンなどに設立された法人およそ2万5000社に関する情報を、11月17日にICIJのホームページ(https://www.icij.org/)で公開したという。その中には、ナイキやアップルなどの世界的企業と共に、日本の個人や会社約1000件余りの名前が出ているらしい。しかし、名前の出た人達は、もう既に羨ましくらいに裕福な筈なのに、どうして納税程度をズルしようとするのだろう。「欲望にはきりがない」とはよく言うが、全くだ。

こうした納税逃れによる損失は、くだんの番組によれば世界で58兆円、日本でも5兆円にも上るという。財務省のホームページによれば、日本の平成28年度における消費税率8%による税収は、約21.5兆円である(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/index.html)。単純計算すると1%あたり約2.7兆円となり、損失の5兆円は、先の衆議院選挙の争点となった消費税率を8%から10%へ引き上げた時の増収分と、ほぼ同じになるではないか。もし、納税逃れの5兆円を取り戻すことができれば、消費税率を引き上げる必要は無い訳である。そう考えると、こうしたズルをまかり通らせてはいけない。きっちりと納税させるべきである。そう思うのは、普通の庶民感覚だろう。

ただ、日本ではこの話題、いまいち盛り上がりに欠けている。各報道機関の取り上げ方も、一過性で終わってしまった感がある。もっとも、今回の調査に加わった日本の報道機関が、NHKと朝日新聞、それに共同通信だけだと聞くと、盛り上がらない訳も何となく見えてくる。それに加え、今回新たなタックスヘイブンとして名前の出たマン島が自治権を持ったイギリス王室の属領だと聞くと、何やら大きな忖度が働き、追及の刃(やいば)が鈍るのではないか、と懸念している。そうならないように願いたいものである。ガンバレ、ICIJ!

【文責:知取気亭主人】

下には何か隠れているかな?
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