いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『無関心』

 

2017年12月20日

今年も、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン(以下、プラン)から「2017年度プラン・インターナショナル年次報告書」が送られてきた。2016年7月から2017年6月までの、1年間にわたる活動報告書だ。プランは、「自然災害や紛争の影響下にある子供達の教育支援」や、「子供の虐待や人身売買、児童労働をなくすために、行政と専門家との連携を強化する活動」など、恵まれない子供や女性への支援を中心にした、慈善活動を行っている。私が支援しているのはプラン・スポンサーシップと呼ばれるプロジェクトで、子供の権利と保護を第一に、最終的に子供達の自立を目指す活動だ。胸を張れるほどのことをしている訳ではないが、月3千円を支援している。私の様なスポンサーは、報告書に依れば、日本で3万5,120人とある。世界では108万3,207人だと書かれているから、日本人スポンサーは約3.2%となる。この数値が高いのか、或いは低いのか、報告書には書かれていない。しかし、経済規模が世界第3位の国としては、いささか寂しい数値だと思っている。

実は、その思いは以前にも持ったことがある。第700話「世界寄付指数」で書いた、慈善活動の世界国別比較を知った時だ。英国の慈善団体「チャリティエイド基金(CAF)」が、慈善活動3項目((1)見知らぬ人を助けたか、(2)金銭を寄付したか、(3)ボランティアをしたか)について毎年統計を取って発表している「世界寄付指数」なるものがあり、3項目を平均して付けられる総合順位において、日本は140ヵ国中114位と極めて低い順位に甘んじている事を知ったのだ。先進7か国の中で最低らしい。この順位やプランへの参加状況から見えてくるのは、意外と低い日本人の慈善活動への関心だ。災害時の活発なボランティア活動を見聞きしていると意外だが、街角で行われている募金などへの人の流れを見ていると、やっぱりそうなのかな、と思ってしまう。

9日の日曜日、JRチケットを買いに金沢駅まで行ってきた。その駅の広場で、子供達がNHK歳末助け合いの募金活動をしているのに出会った。帰りに募金しようと思い、意識して回り道をして行ったのだが、人の流れがいつもと違う。殆どの人が、私と同じように脇にそれて歩いている。駅構内に向かう人達の流れは、全くと言って良いぐらい募金活動をしている子供達の前を通らないのだ。意識して避けているのは明らかだ。それではと、駅構内から出てくる人に注目してみても、無関心を装っている人が多く、子供達の前を歩く人はまばらだ。この光景を見ていて、くだんの「世界寄付指数」を知った時のことを思い出した。

チケットを買い、再び広場に向かった。子供達の周りは、来た時と同じように、相変わらずの寂しい状態だ。私の前にお爺ちゃんが一人いる限りである。どうしてみんな無関心なのだろう、そう思いながらも、僅かばかりの義援金を箱に入れ「お疲れ様。頑張ってね!」と声を掛けて、広場を抜けた。抜けた後の歩道のところで信号待ちになり、振り向いてみた。すると、やはり彼らの前だけ閑散としている。クリスマスの飾りつけは華やかなイルミネーションで彩られているのに、人の心には明かりが灯っていないらしい。本当に関心がないのだろうか?

そんなことを自問自答しながら近江町市場まで歩いてくると、駅でやっていた募金活動とは違う人達が、署名活動をしている。近づくにつれ見えて来たのは、icanの文字だ。やっていたのは、今年のノーベル平和賞を受賞した民間組織「核兵器廃絶国際キャンペーンican(international campaign to abolish nuclear weapons)」(事務局、ジュネーブ)の活動に賛同する署名活動だった。しかし、50mほど離れたところからゆっくりと近づいて行ったのだが、誰一人署名する人がいない。市場の入り口付近だっただけに結構人出も多いのに、見ている限り、先程の募金と同じように皆無視している。折しも、この日はノーベル賞授賞式の日だ。それに合わせての署名活動らしいのだが、この関心の無さは何だろう。

核兵器廃絶に賛同している私は、当然、署名しに行った。手渡されたパンフレットに挟まれていた署名用紙には、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」のタイトルと共に、「被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます。」と書かれている。被爆者としては、当然の、そして切実な願いだろう。しかし、こうした被爆者たちの声は、街の中を行く人達の無関心という雑踏に掻き消されそうだ。

無関心、それは、150ヵ国近くが賛同している「核兵器禁止条約」の交渉に向けた国際努力に、世界から最も期待されている国にも拘らず賛成しない日本国政府、とも重なってしまう。核の傘に依存しているというのが背景にあるのだが、世界で唯一の戦争被爆国である事実、そして今も被爆者が大勢いる事実は重い。どこかで決断しなければ、核兵器は無くならない。それには、一人一人が「核兵器禁止条約」に関心を待たなければダメだ。

今年のノーベル平和賞の授賞式が10日に行われ、受賞者を代表し、スウェーデン人のベアトリス・フィン事務局長とカナダ在住の被爆者、サーロー節子さんが登壇した。被爆者が授賞式で演説したのはノーベル賞史上初めてだ。画期的なことではあるのだが、しかし、これまでの日本人受賞者を見た時ほどの晴れがましさはない。むしろ、昼間見た人々の無関心さが思い出され、暗澹たる気持ちにさせる。パンフレットに掲載されている悲惨な写真を見ると、その思いは一層強くなる。

【文責:知取気亭主人】

プランの年次報告書   署名の時もらったパンフレット
プランの年次報告書   署名の時もらったパンフレット
 

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.