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知取気亭主人の四方山話
 

『数年に一度の寒波、とは言うけれど…』

 

2018年1月31日

列島が数年に一度と言われる寒波に包まれている。ここ金沢でも、日中の気温は上がらず、今月中旬以降ずっと冷蔵庫の中にいるみたいだ。近年では珍しく、最低気温が氷点下を記録する日が続いている。24日には−4.3℃の今季一番の低温を記録して、水道管の破裂被害が相次いだ。28日のニュースでは、輪島などの能登半島でも水道管の凍結や破裂の被害が出ていて、約1万世帯で断水や水の出が極端に悪い状態が続いている、と報じられている。また、新潟県の佐渡市でも広い範囲で水道管の被害が出ていて、この佐渡市や輪島市では自衛隊による給水支援も行われている。

NHKラジオからの情報によれば、気温が−4℃を下回ると水道管の破裂被害が増えるらしい。加えて、今回の寒波では風も強い。そのため、体感温度と同様に、外でむき出しになっている水道管は堪らない。恐らく、発表の最低気温よりももっと冷え込んだに違いない。この様に、各地で今冬一番の冷え込みを記録していて、雪ばかりでなく低温による生活への影響も広がり始めている。こうした水道管破裂以外にも、野菜の高騰もそうだ。その上、暖房用灯油の高騰もあって、市民の懐は痛む一方だ。そんな厳しい寒さが続く中、26日の金曜日、大雪情報発信の定番地である新潟に行ってきた。

金沢−新潟間は北陸新幹線開通以来鉄道の便が悪くなったのと、11日に発生したJR信越線の立往生に見られる様に「降雪時の電車は当てにならない」ということで、いつも通り車で行ってきた。走ってみると、北陸自動車道は全行程綺麗な雪景色で、予想通り50qの速度制限が設けられている。除雪作業も山間部を中心にここかしこで行われており、除雪車両の後ろはノロノロ運転の行列だ。ただ、これも安全通行の為には致し方ないこと、と諦めるしかない。

ところが、そんな管理者の努力も万能ではなく、サービスエリアに設けられた交通情報の掲示板を見ると、目的地までに事故や故障車の表示がそこかしこに目立つ。さすがにスリップによる立往生は無いようだが、よく見ると、降りたいインターチェンジの手前で通行止めになっているではないか。重大事故の影響らしい。つい先日も同じ区間で交通事故のため通行止めになっていた、と知り合いから聞いていたのだが、運悪く今日も交通事故が発生したらしい。高速道路を下ろされ、一般道を走ることになった。

一般道の路面状況は、高速道路ほどこまめに除雪が行われていない為、思った通り圧雪状態だ。アスファルトは全く見えないし、酷いところでは車はロデオ状態だ。これだけ雪道に悩まされるとは、近年では記憶にない。確かに数年に一度の寒波なのかもしれない。ただ、以前経験した寒波ほどではないな、と感じている。私が体験した「56豪雪」に比べると、この一般道の路面状態でもかなりましだからだ。

「56豪雪」の時の一般道は完全にアイスバーンになっていて、当時使用が許されていたスパイクタイヤでも、車のコントロールがままならなかった程だ。そして当時はちょくちょくそうした寒波に襲われていた記憶があって、今回列島を襲った寒波は、「数年に一度の寒波」と言われてはいるが前話で取り上げた1980年代後半以前の寒波に比べるとそれほど厳しくはないのではないか、と思い始めている。

そこで、前回と同じように気象庁のデータを使って、気温の経年変化を調べてみた。調べたのは、金沢と東京だ。それぞれ、金沢が1882年から、東京が1876年から、各年の最低気温、最高気温、日平均気温をプロットしたのが、図−1と図−2である。

図-1、金沢市における気温の経年変化
図-1、金沢市における気温の経年変化
気象庁データより作成(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
図-2、東京における気温の経年変化
図-2、東京における気温の経年変化
同上

東京は凡そ140年間、金沢は同じく135年間程の気温変化が上図には描かれている訳だが、最低気温、最高気温、日平均気温のいずれもが上昇傾向にある。特に、東京の最低気温の上昇傾向は、見た目にもハッキリしている。今回話題としている“寒気関連”ということで最低気温のデータを調べてみると、「56豪雪(昭和56年=1981年)」の時の金沢は−5.7℃を記録していて、やはり今回よりも低い。私の感覚は間違っていなかったのだ。また、これまでの最低気温としては、1904年に−9.7℃が観測されていて、北海道や東北地方並みの寒さを記録した年があることも分かる。

一方、思わぬ雪で大混乱した東京では、最低気温は観測開始以来1950年頃までほぼ毎年−5℃以下となっていて、今から約半世紀前迄は厳しい寒さだったことがうかがえる。例えば、青年将校たちによって起こされた2・26事件は雪の中の事件として知られているが、この年(1936年)の最低気温は−7.2℃が記録されていて、今年以上に寒かったことが分かる。やはり東京も、徐々に暖かくなって来ているのだ。なお、観測された中では、1976年に−9.2℃の最低気温を記録している。金沢と同じように東京も北海道や東北並みの寒さに襲われていた時期があったのだ。

こうして見ると、「数年に一度の寒波」とは言われているものの、半世紀ほど前に比べれば、言われるほどではないことが分かる。「すごい寒波だ!」と思ってしまうのは、身も心も地球温暖化に慣れてしまっているせい、なのかもしれない。さしずめ、ゆでガエル現象、と言ったところだろうか。早くお湯から出なくては!

【文責:知取気亭主人】

植物は強いナァー!
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