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知取気亭主人の四方山話
 

『手書きの手紙』

 

2018年2月21日

先週、日本郵便が2019年用年賀はがきの料金を10円引き上げて62円とする方針を固めた、と報じられていた。今週中にも正式決定されるらしい。昨年末に年賀はがきが発売された時、「1月7日を過ぎて投函する場合は10円切手を貼る必要があります」と発表されていたので、てっきり既に値上げされていたものと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。「1月7日以降に…」は、7日を過ぎると年賀はがきの扱いではなくなって通常はがき扱いになりますよ、という意味だったらしい。というのも、通常はがきは既に、昨年6月に値上げされていたからだ。

それにしても、1枚当たり10円の値上げとは、かなり大幅な値上げだ。率にすると約2割もアップすることになる。発行枚数の減少に歯止めがかからないのが値上げの大きな理由らしいが、一挙に2割も上げるとは独占企業ならではの強気商売、とは言い過ぎだろうか。とは言うものの、はがきを出すのは年賀状の時ぐらいだから、私個人としては思ったほどの出費にはなりそうもない。そう考えると、暫くは年賀はがきの厄介になりそうである。

しかし、年賀状はパソコンソフトの登場で随分と便利になったものである。我が家に関して言えば、20年ほど前まではもっぱら手書き、しかもご丁寧に版画を摺って出していた時期も10年近くあった。家内と私合わせて200枚ほどの年賀状を出しているから、その当時は準備から投函までにひと月近くも掛かっていた。それに比べると、パソコンでの作成は誠に効率的で、一言書き添えても1週間もあれば十分だ。また、家庭用プリンターの出現で、家にいながら、印刷会社に頼んだかのような出来栄えの年賀状を作れるようになった。しかも習字の先生が書いたかと見間違うような上手な文字だから、筆に全く自信がない私にとって、なんとも有り難い存在である。

記憶できるのも有り難い機能だ。一旦登録さえしておけば、宛名は郵便番号までスピーディーに印刷してくれる。また、図柄の作成機能もどんどん進化していて、版画を刷っていた時の苦労が嘘のようだ。好きな写真を自由に配置・印刷できる。凝った人なら、手書きの絵を印刷することも可能だ。とにかく、カーナビと一緒で、一旦使い始めてしまうと手放すのは難しい。我が家でも、この専用ソフトが使えないという状況はもう考えられなくなっている。当然のことながら、その分手書きをしなくなった。

手書きしなくなったのは、年賀状ばかりではない。仕事上のやり取りは勿論だが、個人的なやり取りも手書きとは殆ど無縁、と言っても過言ではない。理由は、携帯電話や電子メールの普及だ。お蔭で、手紙を出すこと自体めっきり減ってしまっている。私自身も、昨年一年間で手紙を出したのは指折り数えるほどしかない。しかも、礼状を除けば、手書きすることは殆どなくなった。私が昨年出した中で、手書きはたったの二通だ。恐らく、皆さんも似た様なものだと思う。元々の筆不精もあるのだが、これだけ手書きしなくなったのでは、漢字が書けなくなるのも仕方がないことである。

考え様によっては、年賀状に一言書き添えるのが一番文字を書く時なのかも知れない。それは冗談としても、手書きには書き手によって味わいがあり、字面以上のモノが伝わってくるのだが、活字ではそうはいかない。このまま手書き離れが進んでしまうと、そうした手紙文化の本来の良さが失われてしまうことになる。それを良しとするならば、機械的に連絡が取れれば良いということになって、これまで以上に携帯電話や電子メールの利用が増え、手書きどころか手紙離れそのものが一挙に進むのではないか、と思っている。さすれば、「発行枚数の減少に歯止めがかからない」などと言えるのは今のうちだけで、現実的な言い方をすれば、手紙は加速度的に減少していくに違いない。手書きの手紙は、言わずもがなである。

しかし、手書きの手紙は、手書きだと分かった瞬間に、真剣に読まなければという思いを強くする。私だけなのかも知れないが、書き手特有の特徴ある文字から、何となく相手の思いが感じ取れるからだ。下の写真は小学一年生の孫娘が私と家内に宛てて書いてくれた手紙だが、この手紙でもそうだった。

まだつたない文字だが、ワープロ文字では到底読み取れない、書いている時の孫娘の心理状態が、ハッキリと読み取れる。今回は彼女にとって初めてポストに投函した手紙であることを知っているからかもしれないが、じっくり見ていると、縄跳びを頑張っている様子や、一生懸命書いている様子が伝わってくるのだ。こうした幼子の一文字一文字にさえ、手書きには深い味わいがある。

翻って自分はどうだろう。手紙は極力手書きを心掛けてきたつもりだが、忙しさにかまけて、知らず知らずのうちに忘れてしまったらしい。優秀なビジネスマンの中には、初めて会った相手に手書きの礼状を直ぐに出す人がいる、とものの本で読んだことがある。そうした真似は出来ないまでも、せめて手紙は手書きで、を実践したいものである。


【文責:知取気亭主人】

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