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知取気亭主人の四方山話
 

『コーチ』

 

2018年2月28日

25日の日曜日、韓国で開かれていた平昌オリンピックが、17日間にわたって繰り広げられた熱戦の幕を閉じた。開幕前はそんなにテレビ観戦するつもりは無かったのだが、過去最高となる13個のメダルを獲得した日本選手の大活躍で、ついついテレビにかじりつく時間が増えた。残念ながらあと一歩のところでメダルに届かなかった競技もたくさんあったが(入賞も30の個人・団体が入り過去最多)、世界の一流選手と対等に競い合う姿は、我々に大いに感動と勇気を与えてくれた。当然、翌日の新聞を読むのも楽しみで、いつになく隅々まで読ませてもらった。

さて、メダル獲得の結果は皆さん良くご存知の通りだが、メダリストに敬意を表し長く記憶に留めるためにも、改めて栄えあるメダリストを記載しておきたい。なお、掲載の順番はそれぞれのメダルの色の中でのアイウエオ順である。

こうして改めてみると、26日のNHKラジオで聞いた、選手を「雪組」と「氷組」で分ける言い方で言えば、4対9で圧倒的に「氷組」の活躍が目立った大会であった。中でも極め付きは、13個のメダルのうち半分近い6個を獲得したスピードスケートだ。しかも女子選手ばかりというのが凄い。もう少し詳しく言えば、小平選手と高木姉妹の3人はそれぞれ複数のメダルを獲得していて、団体競技のパシュートを除いた残り5個のメダルを、この3人だけで獲得したことになる。本当に凄いことだ。

これまでの冬季オリンピックにおいて、日本の女子選手が同一大会で複数の金メダルを獲得したのは言うに及ばず、複数の違う色のメダルを獲得したのさえ初めてだという。そういう意味においても、長野大会以降に開かれた冬季オリンピックの残念な結果と比べてみても、今回は大躍進である。張本氏流に言えば、「大アッパレ!」だ。

しかし、彼女たちのこの大躍進はどうして生まれたのだろう。選手本人達のたぐいまれな素質や人一倍の努力は言うまでもない。運も味方したのかも知れない。低迷脱出を期して設立された、トップ選手が一緒に練習できる「ナショナルチーム」の発足も、大きな契機になったであろう。また、選手が所属する企業の有形無形の支援や理解も、絶対に欠かせない。しかし、それだけではないのだと思う。選手を指導したオランダ人コーチの存在が極めて大きかったのではないだろうか。

2月23日の日本経済新聞に、そんな内容の記事が載っていた。ナショナルチームに招聘されたヨハン・デビット氏、その人だ。記事によれば、日本選手の第一印象が「自信がないな!」だったため、徹底的に意識改革をして自信を持たせたのだという。その自信とは、勝つことだったらしい。いわゆる成功体験を積むことだったのである。

欧米人と比べて体格に劣る日本人はともするとテクニックに走りがちになるのだが、デビット氏は、勝つために徹底してフィジカルを鍛えたのだという。しかも、心拍数などあらゆるデータを世界の一流選手と比較して根拠を示し、劣っている点を選手に納得させた上で、とことん鍛えていったとある。一流選手にとってもかなり厳しい練習だったらしい。そんな厳しい練習に耐えられたというだけでも、大きな自信になったに違いない。

しかし、“厳しい練習”と聞くと、日本のスポーツ界では今なお根性論が幅を利かせていそうだし、高校のクラブ活動や大相撲界では、根性論の行き着く先である厳しい練習に名を借りた“シゴキ”が時々メディアを賑わしている。この新聞記事は、そんな日本スポーツ界の指導者たちに広く読ませてやりたい内容だ。根性論ではなくデータに裏付けられた論理的な指導が、如何に成果と結びつくかが読み取れると思う。

このデビット氏に代表されるように、オリンピックのような大きな国際大会で結果を出している選手を指導しているコーチは、厳しくても論理的なのだと思う。恐らく、小平選手が4年前のソチ五輪後にオランダに留学して指導を受けた、五輪メダリストのコーチもそうだったのだろう。また、銅メダルを獲得して一躍時の人となったカーリング女子には、リザーブの本橋キャプテンの隣にいつもカナダ人コーチのジェームス・ダグラス・リンド氏がいたし、66年ぶりの連覇を成し遂げた羽生選手の隣には、カナダ人コーチのブライアン・オーサー氏の姿がいつも見える。オーサー氏は、その風貌もあってか、そこにいるだけで安心できる、そんな雰囲気を醸し出している。コーチングも素晴らしいのだろう。それもあって、羽生選手の他に4カ国の選手を指導しているというから、その人気ぶりがうかがえる。こうした優秀なコーチの存在が今回の日本選手の活躍に繋がったと思うのは、恐らく私だけではないだろう。

ただ、全ての日本人コーチが外国人コーチに劣るとは全く思わない。シンクロナイズドスイミングの井村雅代コーチの例もある。また、外国人コーチが全て優秀だとも思わない。しかし、井の中の蛙にならないためにも、世界の一流選手と比較できるデータや練習内容を持ち、選手に目標を与えられることが必要だと思う。そのうえでの厳しい練習を課すことができるコーチが、一流と呼ばれるのかもしれない。ビジネスの世界も同じだと思うのだが、皆さんどう思われます?

【文責:知取気亭主人】

こんな本を読んだこともあるのだが…
こんな本を読んだこともあるのだが…
「図解 コーチングスキル」

【著者】鈴木義幸
【出版社】 ディスカヴァー・トゥエンティワン
【発行年月】 2005/7/8
【ISBN】 4-88759-389-9
【頁】 93ページ
【定価】 1080 円(税込)

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