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知取気亭主人の四方山話
 

『女人禁制』

 

2018年4月11日

「女人禁制」と書いて、「にょにんきんぜい」とも読むらしい。「にょにんきんせい」とばかり思っていたのだが、NHKのニュースで「…きんぜい」と言っているのを聞いて驚いた。さして難しい漢字ではないから、まさか自分が思っていたのと違う読み方があるとはビックリだ。広辞苑で調べてみると、「…きんぜい」も「…きんせい」もありと書かれている。要するに、NHKでは「…きんぜいと読む」と決められているのだが、実はどちらでも構わないということだ。自分の記憶が間違いではなったということで少々安心したのだが、ただ、「二通りの読み方がある」ということ自体に、この言葉の持つ意味の割り切れなさを表している様な気がしてならない。

その「女人禁制」が、今脚光を浴びている。言わずと知れた、大相撲での騒動だ。丁度1週間前の4日、京都府舞鶴市で行われていた春巡業で、舞鶴市の市長が土俵上で倒れ、医療関係者と見られる女性たちが土俵上で心臓マッサージなどを行った際、土俵から降りるようにとの場内アナウンスがあった、例の騒動である。「人命救助よりも伝統なのか!」との非難の声が上がり、次から次へと明るみに出ている暴力沙汰に続いて、相撲協会は新たな火種を抱えた格好だ。しかも、この火種はちっとやそっとでは消えそうもない。それどころか、海を越えて海外にまで飛び火していて、「時代錯誤だ」との声が大きくなりそうだ。

そもそも、大相撲の土俵はいつの頃から女人禁制になったのだろうか。少なくとも明治以降はそれが守られているとばかり思っていたのだが、日曜日に放映された日本テレビ系の番組「真相報道 バンキシャ!」では、「若緑」というしこ名の女相撲の大関が、今から凡そ60年前の1957年に(和服姿で)引退セレモニーで土俵に上がった、と報じられていた。しかも、当時の大相撲の横綱に請われて上がったのだという。ということは、女人禁制ではあったものの、「絶対にダメ」ということではなかった様である。

女人禁制は、「女性は不浄なもの」との考え方から出ていたり、「同性の神様が嫉妬をするから」との理由だったり、神様が宿ると考えられている霊山や修験者の修行する山などで良く見られる。富士山もかつてはそうであったというし、比叡山や高野山などでも行われたという。しかし、明治5年(1872)に立ち入りを認める政令が出て以降、多くが廃止になっているらしい。ただ、昨年世界遺産に登録された福岡県の沖ノ島など、宗教上の理由で今も女人禁制になっているところも少なくない。

こうしたところでは時間をかけて議論していく必要があるし、神秘性を保持するためにそのまま禁制を守ることも必要なのかもしれない。それこそ伝統を守るための議論は、十分尽くすべきだ。ところが、そんなに伝統はないのに、女人禁制が取られている場所がある。つい先日春の高校選抜野球大会が行われた甲子園球場もそうだ。大会中は危険という理由から、女性のグランドへの立ち入りが禁止されている。危険と言われれば、それもそうだなと納得してしまうのだが、ところがそうした納得できるさしたる理由もなく、女人禁制とまではいかなくても男女差別がまかり通っているスポーツもある。サッカーや柔道などだ。

まずサッカーだが、NHKラジオからの情報によれば、日本一を決める全日本サッカー選手権大会の舞台が男女で違うというのだ。調べてみると確かにそうだ。2017年の第97回男子の天皇杯サッカーの決勝が、今年の元旦に埼玉スタジアムで行われたのに対して、一方の皇后杯第39回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会の決勝は、2017年12月24日(日)に大阪・ヤンマースタジアム長居で行われたのだ。どうして会場が違うのか、参加チーム数も歴史も違うからこれまでは仕方がないのかもしれないが、オリンピックやワールドカップでの活躍を見れば、どちらが世界で活躍しているかは全国民が知っている。もうそろそろ、同じ会場で開催してもいいのではないだろうか。それくらいの度量を見せなければ男子サッカー日本代表の活躍はおぼつかない、と考えるのはやぶにらみ過ぎるのだろうか。

柔道も会場が違う。体重無差別で争われる全日本柔道選手権大会は、男子は1965年以降日本武道館で行われているのに対し、女子の皇后杯全日本女子柔道選手権大会は横浜文化体育館で行われている。女子の大会は今年(2018年)で第33回となるが、これまで日本武道館で行われたことは一度も無い。横浜文化体育館以外は、愛知県体育館や東京武道館(日本武道館ではない)で行われてきた。オリンピックでの男子に遜色ない活躍を見れば、男女で会場を分ける理由は見当たらない。分けている理由は、一体何なのだろうか?

もうひとつ、会場が違うという意味では、高校のサッカーや硬式野球もそうだ。いずれの競技も女子チームを持っている高校が少なく、まだ裾野がさほど広がっていないことから、現時点では致し方ない側面もある。しかし、男子の大会にしたって当初はチーム数が少なかった筈である。そう考えると、今の内から同じ会場にして、男女ともに憧れの聖地とすることで、すそ野の広がりを加速させることだってできるのではないだろうか。

因みに、昨年行われた全日本高等学校女子サッカー選手権大会は、第26回を数え、神戸ユニバー記念競技場で決勝が行われた。また、つい先ごろ行われた全国高等学校女子硬式野球選抜大会は、今年で第19回となり、埼玉県の加須市民運動公園野球場「加須きずなスタジアム」を会場に開催された。チームの数はどちらも発展途上だが、もうそろそろオリンピックと同じように男女同じ会場でやらせてやりたい、と思うのが人情なのだが…。

【文責:知取気亭主人】

川面を流れる桜の花びら
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