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第1話 節理・亀裂データの解析

 

現地で亀裂、節理、地層を計り、データ入力をする

 現地には様々な方向・傾斜の亀裂や節理があります。先ずはそれをスケッチし、クリノメータで走向・傾斜を計測します。

岩盤斜面 岩盤スケッチ クリノメータ

 計った走向・傾斜を、DIPS(rocsciense社製)に入力します。DIPSは平射投影法解析を簡単に作成、解析、出力できるプログラムで、現場調査した節理データから節理群の情報を得て、岩盤斜面で起きる転倒、平面、クサビ破壊の可能性を評価します。
 主要な特徴として以下の機能があります。
- 入力データ:スプレッドシートに入力、線形/平面座標データ入力可能
- 入力座標形態:dip/dip direction、strike/dip、trend/plungeなど
- データベース機能で既存データ分析や使用者定義可能
- 3次元節理情報を簡単に平面構成/破壊モード予測可能
- 出力関連:.bmp / .jpg / .emf / .wmf 拡張子支援、DXFファイル保存可能

 

平面破壊・トップリング破壊を解析する

平面破壊 トップリング
 

■平面破壊・トップリング破壊の判定手法

 破壊現象の起こり得るゾーンを、”daylight envelope”と呼びます。この領域はどのようにして設定されるのか。答えは至極簡単です。上の(a)を見てください。岩盤斜面の勾配をφf、節理面の角度をφA、φB、φCとすれば、当たり前のことですが以下の関係が成り立ちます。

 ①φA < φf  の時 平面破壊の可能性
 ②φB > φf  の時 安定
 ③φC < 90°の時 トップリング破壊の可能性

 また節理の走向については、(b)を見てください。平面破壊については斜面の走向に対して±20°の範囲が破壊発生の可能領域に設定します。

 つまり1つの平面斜面を設定した場合、強度などと関係なく、各タイプの破壊が起こり得る領域が”daylight envelope”なのです。この領域の中に実際計測した亀裂や節理がどの程度あるか 、あるいはあった場合その破壊の可能性、について解析するのです。

 次に平面破壊の可能性ですが、”daylight envelope”の中で、φA > 内部摩擦角φ  の時、物理的に発生する可能性が高いと判定します。これも当たり前のことですが、ステレオネットを用いて統計的に処理することが求められてい ます。

■平面破壊・トップリング破壊の判定例

①さあ実際にソフトを使って解析をしてみます。ステレオネットを用いて解析します。

先ずステレオネットの中心座標と節理面の内部摩擦角を入力します。

真ん中に内部摩擦角の領域ができ、この領域の内側は内部摩擦角よりも緩い面なので平面破壊は起きません。

 

②次に解析する斜面の情報を入力します。斜面自体を傾斜/走行として入力します。

右図の赤範囲はこの斜面のDaylight envelopeの範囲です。つまり赤範囲の内側にある節理は、平面破壊が発生しうるという範囲です。

 

③次にDaylight envelopeの中で、節理の走向に対する制御を行います。±20°の領域を求めます。

①、②、③に合致した領域(右図の斜線範囲)が平面破壊発生可能領域としてとらえることができます。

この領域の中に実際計測した亀裂や節理がどの程度あるかを解析するのです。

 

一方トップリング破壊は、φC < 90°かつ±20°の領域が、転倒破壊発生の可能性があると判断します。

 

クサビ破壊を解析する

    

クサビ破壊

 

■クサビ破壊の判定手法

 

 基本的にクサビ破壊も、平面破壊の判定法とよく似ています。ただしDaylight Envelope領域は必要ではありません。節理2面の組み合わせによりクサビが形成され、1面で判定できる平面破壊とは異なるのです。ただし節理2面の交線と斜面の関係では類似の判定を行うことができます。交線が φi < φf  の時 クサビ破壊の可能性があると解釈します。そしてその角度がφi > 内部摩擦角φ の時がクサビ破壊が物理的に発生する可能性が高いと判定します。

■クサビ破壊の判定例

①さあ実際にソフトを使って解析をしてみます。ステレオネットを用いて解析します。

先ずステレオネットの中心座標と節理面の内部摩擦角を入力します。

真ん中に内部摩擦角の領域ができ、この領域の内側に2個の節理面の交線があったとしても、内部摩擦角よりも緩いのでくさび破壊は起きません。

 

②斜面の走向・傾斜を入力します。内部摩擦角の領域内で、斜面よりも緩い領域が右図でのクサビ破壊がおこりやすい範囲であり、この範囲の中に2個の節理面の交線があればクサビ破壊がおこりやすい判定となります。
3面の節理面について判定します。節理面の交差点がその赤領域の中にあるものが破壊すると判断されます。この例題では1番節理と3番節理の交差点がこの領域に入っていて、1,3番節理によるクサビ破壊可能性があるように判断します。

 どうですか。データが多い場合など効率的にわかりやすい解析ができるのではないでしょうか。

 
 

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