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 三者協議会のすすめ
 

 

   福岡市が4月1日から三者協議の運用を開始しました。同県では平成19〜20年度に十数件の工事で三者協議会を実証実験していましたが、施工者やコンサルタントから好評だったことなどから本格実施に入りました。

 対象の工事は以下の通りで、設計条件、施工条件のきびしい工事が対象です。

・構造計算を伴う重要構造物(橋梁など)を含む工事
・設計条件で不確定な要素がある工事
・複雑な設計条件のある工事(地盤条件、水理条件、施工計画など)
・作業工程に制約のある工事
・工事発注後に施工者から申し出があり、発注者が必要と判断した工事

 開催時期は施工者による設計図書の照査、現地調査が終了した時点で回数は1回。設計者の旅費や人件費は発注者が負担します。三者協議会には、施工者側からは現場代理人、監理技術者、担当技術者、設計者側は詳細設計を行ったコンサルタント、発注者側は監督員や設計者、総括監督員らが参加します。

 施工者からの設計図書の照査結果や疑問点などの報告を受け回答や説明を行うほか、設計者による設計思想や施工上の留意点の説明し、3者による施工上の留意点の確認などを行います。またこれら以外にも新技術やコスト縮減に関する提案などがあれば意見交換します。協議会で設計変更の必要が確認された場合、3者で責任範囲を明確にします。

 福岡市の三者協議会の実施要領は以下の通り。(福岡市のページに直リンク)

工事実施段階における「三者協議会」実施要領 (282kbyte)pdf

 参加する設計者への費用負担の積算や業務名についても明確化されています。是非目を通し、参考とすることをお薦めします。

 発注者が経費を負担するような具体的な三者協議会の実施は、2006年ころから国交省の関東、北陸、中部、近畿の各地方整備局が試行を開始していましたが、普及にまではなかなか至っていませんでした。

 また建設コンサルタント協会の調べでは、3者合同連絡会議の開催実態について以下の通りとしており、全面的な施行には至っていない概念を強くしています。

・17年度に試行された地方整備局、自治体が多く、18年度から急増している。内訳は、国交省での実施が7割を占め、その他は3割であった。
・連絡会議が4回以上(最多は12回)開催された工事が2割程度あり、本来の目的と違う使われ方をしている面も見逃せない(たとえば、施工途中の現場条件の変更による修正設計の協議場として利用されるなど。
・通常は設計業務が終了してからの対応でもあり有償であるべきであるが、国交省では3割が、自治体では半数以上が無償での開催となっている。

参考:施工時における設計者の役割推進に向けて(2008-12)
 

 このような意味でも今回の福岡市の三者協議の運用開始は、すばらしい試みであり、また全国的にもひとつのきっかけとして技術者全員が推進していくきっかけとすべきではないでしょうか。

 

  三者協議会とは
 

 実施設計が終わり、発注へ・・・。

 工事業者が受注し、いざ施工に入ると現地での細かい検討・修正がいろいろでてきます。また会計検査を受ける際などにも多くの作業がでてくることがあります。
 この検討・修正について考えたことがありますか。

 この部分については、設計者と施工者で全く180゜逆の見方となります。

 設計者側のスタンスで見れば・・・
● 設計図面と現地との整合性がとれなくなった時呼ばれ、不備と図面の修正を指示される。
● 設計変更にともなう工法検討や設計図面の作成、構造計算などを無償で指示される。
● 現地での変更された部分に対しての会計検査への対応のために、提出項目以外の書類や資料の作成を依頼される。

 一方施工者側のスタンスで見れば・・・
● 設計図面と現地との整合性がとれないため、図面の修正を依頼される。
● 設計変更にともなう工法検討や設計図面の作成、構造計算などを無償で依頼される。
● 発注者の会計検査への対応のために、提出項目以外の書類や資料の作成を依頼される。

 ともすれば、設計者側からは「施工がもう少ししっかりしてくれれば・・・」となり、施工者側ではその逆となります。
 しかし本当にそうなのでしょうか。ほとんどの場合、そこは「新たに発生した業務」という扱いが妥当である場合が多いように思います。つまり発注者が、設計者、あるいは施工者にきちんと 清算すべき業務なのです。

 しかし現実的にはほとんど清算されていません。これは何故なのでしょうか。その最も大きな理由が、その業務そのものが、契約上の責任区分がはっきり明示されていないことによっているのです。設計者が発注者に設計図を納品して、発注者はそれを施工者に指示する。ものを造るだけの流れであれば、多分、設計者→施工者であればよりすっきりするはずです。また責任範囲も明確になるはずです。
 しかし現実的には発注者には行政上の作業があるためそれはできません。

 では現行でどのような解決策があるのでしょうか。それには国土交通省の施策をうまく利用する必要があります。それは三者会議の利用です。

 三者会議は工事目的物の品質確保を目的として、施工段階において、発注者(設計担当・工事担当)、設計者、施工者の三者による『三者会議』を実施し、設計思想の伝達及び情報共有を図るために行う定期会議です。

 工事調整会議は、施工者が設計図書を照査した後に、施工計画書の作成前に開催するもが通常で、発注者(設計担当、工事担当)、設計者(管理技術者等)、施工者(現場代理人等)が出席します。

 会議では、発注者(設計担当)・設計者から設計思想や施工上の留意事項等を説明するとともに、施工者から設計図書に対する質問や現場条件に適した技術提案などを受けます。

 国土交通省ですすめているのはこの事前の会議だけですが、施工中も定期的に会議を開き、現場で生じた問題には、そこで責任範囲を明確にし、必要であればコンサルタントには随意契約で精算します。設計費は少々かかりますが、無駄な工事は防止されます。会計検査のことも考慮し、設計・施工が一体となって現場をすすめますので、問題はほとんど起きず、起きてもすぐに解決されます。何よりも設計者、施工社ともに無駄な作業が無くなり、品質は各段にアップします。

 このような会議を持つことが無駄な工事を減らし、トータルコストを下げる道に向かうのではないでしょうか。

 
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