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 発泡スチロールブロックを用いた軽量盛土工法「EPS工法」
 

平成29年3月30日

■インフラ整備環境の移り変わり

 昨今の設計・施工物件では従来よりも現地条件の厳しい現場が増えてきているのではないでしょうか。 発注者の立場で考えると、開発計画の中では費用対効果の高い計画から発注するのがセオリーと思われます。 しかし、新規開発のピークを過ぎた昨今では開発計画の中でも現地条件の厳しい物件が残ってきていると推測されます。 そんな厳しい現地条件をクリアするための工法の一つとしてEPS工法が考えられます。

■EPS工法の概要

 EPS(Expanded Poly-Styrol)工法とは、大型の発泡スチロール(EPS)ブロックを盛土の代わりに積み重ねる工法です。 EPSブロックは軽量性、圧縮耐性、耐水性、耐候性に優れ、さらに自立性を兼ね備える優れた材料です。

 EPS工法の歴史は1972年にノルウェーで開発され、日本には1985年に導入されました。 EPS工法の最大の特徴は、自重が軽量である事による地盤や構造物への荷重軽減です。 たとえば軟弱地盤上への盛土構築の際には基礎地盤処理の低減を図る事が可能です。 特に効果が高いのは以下のような場合です。

(1) 軟弱地盤での沈下対策(軽量性)
(2) 構造物取付け部の段差防止対策(圧縮耐性・自立性)
(3) 地すべり頭部での盛土荷重低減策(軽量性)
(4) 急峻な山岳道路の切盛り低減(軽量性・自立性)

■EPS工法の特徴

<軽量性>
 EPSブロックの単位体積重量は土砂などの1/100程度です。 軟弱地盤上の盛土として用いる場合、盛土荷重を大幅に軽減でき、軟弱地盤の沈下・支持力不足などの問題を解決する工法として期待できます。

<圧縮耐性>
EPSブロックの許容圧縮強さはブロックの規格ごとに20〜350(kN/m2)であり、盛土材としての必要強度を満たしています。

<耐水性>
EPSブロックの素材である発泡スチロールは撥水性の材料であることから、吸水量は極めて少なく、ほとんど水の影響を受けません。 ただし、地下水位以下では大きな浮力が働いてしまいます。 この問題については空隙率の高い浮力対策ブロックによって対策を行う事が出来ます。

<耐候性>
EPSブロックは化学的に安定しているため、土中においてもカビなどは発生せず、腐食しません。 ただし、紫外線によって劣化する性質が有るため、保管には留意が必要となります。

<自立性>
EPSブロックは積上げるだけで鉛直な自立面を形成することが出来ます。 さらに鉛直荷重が作用しても、自立面の側方への変形は極めて小さいことが確認されています。 この特性から構造物背面に設置して、構造物に作用する土圧を大幅に低減することが可能です。 また、急傾斜地の拡幅盛土などでも、大規模な抗土圧構造物に代わって防護擁壁程度の簡易構造物で対応することが出来ます。

<施工性>
EPSブロックの標準的な寸法は1.0×2.0×0.5mであり、さらに軽量である事から人力での運搬や設置が容易です。 大型建設機械や大規模な搬入路・仮設工を必要としないため、狭隘地、急傾斜地、軟弱地盤上などでも施工が容易に行えます。 また、EPSブロックは現地での加工が容易であるというメリットもあり施工性に優れています。

 EPS工法は有機溶剤や火気に弱いという側面もありますが、扱いを間違えなければ非常に優れた特性を持っています。 このように素晴らしい特性を持つEPS工法ならば厳しい現場条件においても対応できるのではないでしょうか。

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