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 ITを活用した震災時の安否確認の変化
 

 3月の記事は碁の人工知能に関して解説する特別編でした。今月の記事は2月(CPUの進化)の続編を予定していましたが、熊本地震でITを利用した取り組みがあったため、今月も特別編としてその取り組みについてご紹介しようと思います。

 さて、震災地域に住む家族、親族や知人の安否を確認できるJ-anpi(http://anpi.jp)というサイトをご存知でしょうか?

 
図1 J-anpiのトップページ

 J-anpiでは企業・団体・自治体からの安否情報や通信事業社の伝言板を取りまとめており、名前や電話番号で検索するとその人の安否を確認できます。安否確認をしたい人は各通信事業社の伝言板や自治体のホームページなど様々な安否情報サイトを横断する必要がなくなります。被災者の立場からすると何かしら通信手段があれば、どこかの安否情報サービスや伝言板に自身の安否を登録するだけでよくなります。

 東日本大地震のときは企業・自治体による安否情報サービスや通信事業社の伝言板は存在していましたが、J-anpiのようなそれらの情報を統合したサイトやサービスはありませんでした。

 当時の安否情報サービスとしてGoogle社のパーソンファインダーがありました。これは個人の安否情報が登録できるサービスです。熊本地震でも利用されており、J-anpiからパーソンファインダー内の安否情報を検索できます。

 
Google社のパーソンファインダー(https://www.google.org/personfinder/japan)

 パーソンファインダーは東北地方太平洋沖地震が発生してから2時間以内に立ち上げられました。パーソンファインダーへの安否登録は被災者自身が行ったわけではありません。スマートフォンや携帯電話を持っている被災者が避難所の掲示板に貼られていた安否情報の紙を写真保存サイトに投稿して、被災地域以外の人々が写真の文字をテキスト化することで、被災者の安否を登録していました。

 当初、写真からのテキスト化はGoogle社内のボランティアで行っていましたが、想像以上にテキスト化には時間が掛かり、その社員らだけでは手に負えないと判断しました。そこで、Google社はパーソンファインダーというインフラを提供し、一般のボランティアに協力を仰ぎました。後には、自治体が安否情報をパーソンファインダーへ提供しました。

 その時の詳しい話はGoogleクライシスレスポンスの「パーソンファインダー、東日本大震災での進化」[1]というブログ記事で公開されています。

 筆者は一般のボランティアとしてパーソンファインダーのテキスト化に参加していました。当時は学生で研究の休憩中にTwitterを見ていたら、「テキスト化に人手が足りないので手伝ってください」という投稿を見つけました。そこに記載されていたURLを見てみると、テキスト化されていない写真が多くありました。テキスト化するルールは「Person Finderテキスト化&登録まとめ」[2]に端的に分かりやすく記載されていたため、直ぐにテキスト化に協力しました。

 投稿写真には名前、住所、電話番号が映っていましたが走り書きであるが故に、読めないものもありました。その場合は、「山田花?」と書くと、タイプミスや名前が間違っていないかをチェックする人達が「?→子だと思われます」と教えてくれました。最終的には3段階のチェックが行われていました。

 テキスト化の途中にはパーソンファインダーによって安否を確認できたとのコメントもありました。その時は本当に心から良かったと思いました。

 東日本大震災の教訓を元に企業、団体や自治体が協力して、より効率的な安否確認サイトを実現したことは非常に大きな変化です!

 本来なら、災害はあってほしくはありませんが、地震大国といわれる日本に住んでいる以上、地震からは避けることができません。もしかしたら、もっと他にITを利用して何かできることがあるかもしれません。

[1] Google Crisis Response, パーソンファインダー、東日本大震災での進化(1),
http://www.google.org/crisisresponse/kiroku311/chapter_06.html
[2] Person Finderテキスト化&登録まとめ、http://www45.atwiki.jp/ganbare-tohoku/pages/1.html

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