1/19 全国特定法面保護協会で技術委員の方にいさぼうがインタビューしました。これはその時の記録です。
(全 特)指針の改訂後非常に多くの質問が出ています。その回答を1月いっぱいでまとめる予定ですが、全国の斜面関連で最も影響の大きい「いさぼうネット」でも紹介してください。また、本質が曲がらないように「いさぼうネット」で技術的解説をわかりやすく加えてほしいのです。
(いさぼう)今回の改訂の趣旨は何ですか。
(全 特)近年吹付などの施工品質が各段に向上しています。また世の中では許容応力度照査法から性能照査法への切り替えが進行しています。今回の改訂は、のり枠工の設計照査に「限界状態設計法」を採用することと、吹付モルタルの設計基準強度を15N/mm2から18N/mm2に引き上げたことが大きな特徴です。
(いさぼう)私どもに来る質問で多いのは、"現場はいつから新指針で対応すべきか"というものです。
(全 特)協会としては、来年度発注分から、特に設計基準強度については新指針の適用をお願いしています。既に設計済みの現場については、周辺現場を鑑み判断してほしいと考えています。この際重要なのは、特記仕様書などで指示をして頂きたいということです。
また、最も誤解してほしくないのは、「性能照査」「許容応力度照査」両方を比較して安くなる方を採用するといった誤った考え方で、浸透しないことを望んでいます。
(いさぼう)改訂では移行期ということで15N/mm2を残していますが、設計する立場からの質問で15N/mm2を使用する場合、新指針を適用するのですか、旧指針を適用するのですか。
(全 特)協会としては、来年度以降の設計は全て新指針を適用していただきたいと考えています。管理の精度が上がったということで18N/mm2にしたわけですので、15N/mm2がそんなにあると想定していません。特殊な現場でどうしても18N/mm2に設定できない場合のみの適用と考えています。ただ、15N/mm2の時は性能照査ではなく許容応力度照査で行ってください。
(いさぼう)性能照査では21N/mm2以上も考えることが出来るということですか。
(全 特)そういうことになります。ただ、18N/mm2を超える設計基準強度を採用する場合は、特殊工法でそれぞれの工法の考え方が出てくると思います。ここで特に発注者に注意していただきたいのが、市場単価は18N/mm2まで、18N/mm2を超える場合は施工システムや配合が異なるということで各工法での見積となります。
(いさぼう)この指針は一般的な概念での吹付枠工への適用となると思いますが、特殊工法はまたそれぞれで規定するのですか。
(全 特)それぞれの工法で新指針への対応を考えていくはずです。
(いさぼう)ところで今回の改訂では、国土交通省監修という言葉がとれましたが。
(全 特)実際には国土交通省の方も委員会におられるので、本質は変わらないと考えています。
(全 特)今回の改訂では、指針の適用の自由度を上げていると考えています。四角書きされている部分については、原則を表し、基本的には守ってもらいたいと考えています。
(いさぼう)今回の改訂では、アンカー工に対する設計法と鉄筋挿入工に対する設計法で考え方を変えていますが。
(全 特)鉄筋挿入工を併用するのり枠については、アンカー工と同じ設計法にするとむしろ安全が損なわれることもあるので、考え方を変えました。指針では、「鉄筋挿入工を併用する場合は、のり枠工は特に張り出し部を考慮した設計としなくてもよい」(指針P41、P52、P53参照)と記載しています。分布荷重は標準の十字で考えます。
(いさぼう)くさび崩壊のところでも「のり肩からのり尻に及ぶような崩壊」には適用できないことが明記されましたね。
(全 特)旧指針(平成7年度版)にて、崩壊規模として示されている、のり枠工単体では「表層部の薄い小崩壊に対してある程度の抑止力を有する」および「部分的な表層すべり」の適用範囲を構造的な限界と規模の限界から具体的に明示しました。また、安全率のΔFs=.1.0は廃止しています。
(いさぼう)場所打ちコンクリートのり枠工についてはどう考えるのでしょうか。
(全 特)荷重係数と構造物係数は「コンクリート標準示方書」を参考にしていただきたいです。
(いさぼう)維持管理の例を載せているようですが。
(全 特)基本的にのり枠工の寿命を延ばしていきたいと考えています。それには維持管理によるところが大きいので、例として載せました。これは植生工の問題でも同一ですが、今後協会の方でデータベースを持つ必要性を感じています。
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