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(公社)日本地すべり学会「第62回研究発表会」参加レポート |
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2023.09.28 |
こんにちは。いさぼうネット調査員のMKです。
今回は、岐阜県で行われた第62回 日本地すべり学会研究発表会に参加してきましたので、その様子を報告します。
会場入口
前回と同様に口頭発表、ポスター発表、新技術紹介(ブース展示)が現地会場メインで行われ、口頭発表のみオンライン(Microsoft Teams)でライブ配信されていました。
口頭発表の講演数は特別セッション等を含め85件(前回から-7件)で、ポスター発表は44件(前回から-1件)、新技術紹介には27機関(前回から+4機関)がブースを出展していました。(口頭発表の件数が減っている理由は、前回の研究発表会が例年より1日多い3日間だったからだと思います。)
主なセッションは以下のとおりです。
主なセッション |
総セッション数 |
事例報告 |
4 |
地すべり調査・計測 |
4 |
地すべり機構 |
3 |
斜面安定・解析 |
3 |
警戒・避難、防災教育 |
1 |
対策・施設維持管理 |
1 |
特別セッション(日本の斜面対策技術の国際化の課題) |
2 |
今回わたしは研究発表以外に、特別講演も(途中から)聴講しました。わたしが聴講した特別講演では、岐阜MEの会の取り組みについて話されていました。
「MEくんと学ぼう!」という、わたしのような土木勉強中の技術者にもわかりやすいような動画の制作や、地元の小中高校生さんと図上防災訓練(DIG 演習)を行った例を紹介されていました。
講演で紹介された「MEくんと学ぼう!」の動画は現在、「第一弾 現地調査の事前準備編」と「第二弾 現地調査編 前編 〜入山前の確認〜」が公開されていますが、今後「現地調査編 中編」と、「現地調査編 後編」、「解析編」と公開されていく予定だそうです。
(動画リンク⇒ 岐阜MEが作る斜面防災コンテンツ「MEくんと学ぼう!」 −岐阜MEの会 斜面防災に関する専門部会−)
DIG演習では、山の方にある学校の高校生さんが、「学校は高いところにあるから、学校に備蓄が必要だ」と案を出されたというお話を聞いて、素晴らしい発想だと思いました。
また、豪雨災害の復旧までの様子も紹介され、現場のリアルな様子を知ることができました。大型土のうを1日に400袋製作されたということで、1日で多くの大型土のうを製作できることに驚きました。そして道路管理者・施工業者・設計者がそれぞれ直接情報共有することで、災害から40日で復旧したということが、すごいと思いました。
わたしが聴講したセッションは「特別セッション」と「斜面安定・解析」です。
その中でわたしが気になった発表は以下のとおりです。
■海外の斜面安定解析
ブロックの境界が鉛直ではないものも対応可能なSarma法というものを初めて知りました。聞き逃したかもしれませんが、なぜブロック境界が鉛直ではない切り方があるのか気になりました。
また、日本なら対策する斜面でも、海外では対策していないことがあるというのも驚きました。
■岩盤分類区分の細分化について
わたしは詳しくないので今まで軟岩と硬岩の2種類だけの分類に疑問はなかったですが、軟岩の範囲が広いことを知り、少し疑問に思うようになりました。
(この後に討論時間があり、範囲についての討論を聴いてなんとなく分かりました。)
■討論
切土勾配の範囲について、幅がある方が経験的に対応しやすかったのでは?といったご意見がありました。また、日本の基準をそのまま海外では適用できない(分類などが国で異なる)ため、海外に適用するときは気を付けなければならないことを知りました。
海外は順計算が多く、標準切土勾配が決まっていないということも初めて知りました。特に、フランスでは切土より盛土が多く、理由が盛土は人工物でコントロールしやすいから、というお話を聴いて面白いと思いました。
■大規模盛土の安定計算について
以前わたしもこの二次元分割法について触れる機会があったので、任意点の位置によって安全率が変わることについての研究発表を聴けたのは有難かったです。補正をすることにより各任意点の安全率が大体等しくなったという結果がすごいと思いました。
最後に、現地の様子についてお伝えします。
今回も建物や各会場の出入口付近など各所にアルコール消毒液が設置されていました。
口頭発表の会場は1階と3階に分かれていましたが、わたしが参加したセッションでは発表ごとに会場を出入りする方が多くいらっしゃったように見受けられ、会場の席は多い時で7割ほど埋まっている印象でした。
発表は質疑を含め15分でしたが、多くの発表者の方が15分では時間が足りない様子でした。
質疑応答は、今回も会場の聴講者にスタッフがマイクを渡してから発言する形式で、オンラインの聴講者からの質疑はチャット機能にて受け付けることになっていました。
ポスター発表の会場にわたしは行けませんでしたが、多くの方がいらっしゃったそうです。
新技術紹介の会場は通路にあまり余裕が無かったこともあり、前回に比べて多くの人が往来しているように感じました。
建物内の各階の休憩スペースに加え、建物の一室にも休憩スペースが設けられており、自由に過ごせるようになっていました。
前回、特別セッションは難しそうと思っていましたが、今回は海外での解析や対策についての発表や詳しい方々の討論を聞き、初めて知ることが多かったので面白かったです。また参加したいと思いました。
以上で報告を終わります。
五大開発株式会社の出展ブース